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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(73)労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働局ほか18労働局(平成12年度以降)
群馬労働基準局ほか11労働基準局及び群馬県ほか10都県(平成11年度以前)
保険料納付義務者 徴収不足があった事業主数393事業主
徴収過大があった事業主数176事業主
徴収過不足額 徴収不足額 325,282,704円 (平成10年度〜13年度)
徴収過大額 80,660,373円 (平成10年度〜13年度)

1.保険料の概要

(労働保険)

 労働保険は、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものである。このうち、〔1〕労災保険は、労働者の業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対する療養補償給付等を行う保険であり、原則として、事業所に使用されるすべての労働者が対象となる。また、〔2〕雇用保険は、労働者の失業等に対する失業等給付、雇用安定事業等を行う保険であり、常時雇用される労働者のほか、企業で雇用されるいわゆるパートタイマー等や国又は地方公共団体で雇用される非常勤職員のうち1週間の所定労働時間が20時間以上で引き続き1年以上雇用されることが見込まれるなどの要件を満たす労働者などが被保険者となる。

(保険料の徴収)

 保険料は、〔1〕労災保険分については事業主が負担し、〔2〕雇用保険分については、失業等給付に充てる部分を労働者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分を事業主が負担して、〔1〕と〔2〕のいずれも事業主が納付することとなっている。
 保険料の納付は、原則として次のとおり行われることとなっている。
(ア)毎年度の初めに、事業主は、都道府県労働局(平成11年度以前は都道府県労働基準局又は都道府県)に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に保険料率(注) を乗じて算定した概算保険料を申告し、納付する。
(イ)次の年度の初めに、事業主は、都道府県労働局に対し、前年度に実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出する。
(ウ)都道府県労働局は、この申告書の記載内容を審査し、その結果に基づき保険料の過不足分が精算される。
 この労働保険の保険料の12年度の収納済額は3兆0780億余円に上っている。

保険料率 労災保険率と雇用保険率に分かれており、それぞれ次のとおりである。
〔1〕 労災保険率は、労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに平成12年度の場合は最低1000分の6から最高1000分の134となっている。
〔2〕 雇用保険率は、失業等給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められて おり、12年度の場合は1000分の11.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の13.5、建設の事業は1000分の14.5)となっている。

2 検査の結果

(検査の対象)

 近年、企業で雇用されるいわゆるパートタイマー等や国又は地方公共団体で雇用される非常勤職員が増加していることから、北海道労働局ほか18労働局管内の事業主のうち、主としてこれらの労働者を雇用している割合の高い事業主等842事業主を選定して、10年度から13年度までの間における保険料の徴収の適否を検査した。

(徴収過不足の事態)

 検査したところ、上記の842事業主のうち、393事業主について徴収額が325,282,704円不足しており、176事業主について徴収額が80,660,373円過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度を十分理解していなかったり、計算誤りをしたりしていて、賃金総額の記載が次のように事実と相違しているなどしていたのに、前記の都道府県労働局等において、これに対する調査確認が十分でなかったことによると認められる。
(ア)雇用保険分の保険料の算定において、同保険の加入要件を満たすパートタイマー等や非常勤職員を保険加入させていなかったため、その賃金が算入漏れとなっていた。
(イ)労災保険分の保険料の算定において、出向元と出向先の両者で賃金を負担している出向労働者について、出向先でその賃金を合算して計上することになっていたのに、出向先が負担した賃金のみを計上していたため、賃金の一部が算入漏れとなっていた。
 なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。
 これらの徴収不足額及び徴収過大額を都道府県労働局等ごとに示すと次のとおりである。

労働局等名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)

北海道労働局

44

23
12
千円
4,601
△2,878
青森労働局 34 10
4
2,735
△1,037
岩手労働局 30 7
4
898
△392
宮城労働局 46 27
11
12,763
△6,406
群馬労働局
群馬労働基準局
群馬県
28 16
8
6,754
△3,312
埼玉労働局
埼玉労働基準局
埼玉県
79 29
16
19,992
△15,273
東京労働局
東京労働基準局
東京都
138 72
46
132,683
△34,218
神奈川労働局 54 32
7
29,570
△520
富山労働局
富山労働基準局
富山県
29 13
5
8,082
△1,004
福井労働局
福井労働基準局
福井県
37 19
5
5,004
△507
長野労働局 39 10
8
6,759
△2,622
滋賀労働局
滋賀労働基準局
滋賀県
32 13
4
3,473
△544
大阪労働局 53 30
5
29,549
△1,312
鳥取労働局
鳥取労働基準局
鳥取県
27 11
4
5,076
△613
山口労働局
山口労働基準局
山口県
33 12
6
3,221
△904
徳島労働局
徳島労働基準局
徳島県
23 10
4
14,108
△2,530
愛媛労働局
愛媛労働基準局
47 28
10
15,556
△2,314
宮崎労働局
宮崎労働基準局
宮崎県
21 9
6
14,624
△2,514
鹿児島労働局
鹿児島労働基準局
鹿児島県
48 22
11
9,826
△1,749
19労働局
12労働基準局
11都県
842 393
176
325,282
△80,660