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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

社会福祉施設等施設整備費補助金が過大に交付されているもの


(82)−(84)社会福祉施設等施設整備費補助金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)社会福祉施設整備費
部局等の名称 埼玉県ほか2県
補助の根拠 老人福祉法(昭和38年法律第133号)
補助事業者 埼玉県ほか2県
間接補助事業者
(事業主体)
3社会福祉法人
補助事業 社会福祉施設等施設整備 3事業
補助事業の概要 特別養護老人ホーム等を新設するため、施設の整備を行うもの
上記に対する国庫補助金交付額の合計 890,929,000円 (平成9、10両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 26,681,000円 (平成9、10両年度)

1 補助金の概要

 社会福祉施設等施設整備費補助金(以下「国庫補助金」という。)は施設入所者等の福祉の向上を図るため、老人福祉法(昭和38年法律第133号)等に基づき、市町村、社会福祉法人等が行う社会福祉施設等の施設整備事業に対し、都道府県、政令指定都市及び中核市(以下「県等」という。)が補助する場合にその補助に要する費用の一部として交付するものである。
 上記社会福祉施設等の整備事業のうち老人福祉施設の整備事業は、老人の福祉に資するため、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター等の施設を整備するものである。
 そして、国庫補助金の交付額は、「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費の国庫負担(補助)について」(平成3年厚生省社第409号)により、施設ごとに次のように算定することとなっている。
(ア)本体工事費、冷暖房設備工事費、浄化槽設備工事費、スプリンクラー設備工事費等の経費の種目ごとに、基準額と補助対象となる経費の実支出額(以下「実支出額」という。)とを比較して少ない方の額を選定する。
(イ)(ア)により経費の種目ごとに選定した額の合算額と、施設整備に係る総事業費から寄付金その他の収入額(社会福祉法人等の場合は寄付金収入額を除く。)を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
(ウ)(イ)により選定した額に県等の補助率4分の3(沖縄県の場合は10分の8.75)を乗じて得た額と、県等が社会福祉法人等に補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに国庫補助率3分の2(沖縄県の場合は8.75分の7.5)を乗じて得た額の範囲内の額を交付額とする。
 上記のうち、スプリンクラー設備工事費の実支出額については、スプリンクラー設備に必要な自家発電設備、配管配線設備、自動警報装置等の経費を計上することとなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか16府県及び7市が補助した97社会福祉法人等について検査した結果、埼玉県ほか2県の3社会福祉法人が実施した特別養護老人ホーム等の施設整備の3事業に係る補助対象事業費が過大に算定されていて国庫補助金26,681,000円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、県において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを県別に示すと次のとおりである。

県名 事業主体
(所在地)
補助事業 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円
 
(82) 埼玉県 社会福祉法人シャローム埼玉
(坂戸市)
特別養護老人ホーム等施設整備 9、10 540,246 360,162 5,445 3,630 補助金の過大交付
 上記の社会福祉法人では、当該施設整備に係る実支出額を算出する際、スプリンクラー設備工事費の実支出額として計上すべき自家発電設備の経費3,412,500円を本体工事費の実支出額に含めるなどしていたため、補助対象事業費が5,445,000円過大に算定されていた。
 したがって、本体工事費及びスプリンクラー設備工事費に係る適正な実支出額に基づいて国庫補助金を算定すると356,532,000円となり、3,630,000円が過大に交付されていた。
(83) 高知県 社会福祉法人土佐香美福祉会
(香美郡土佐山田町)
特別養護老人ホーム等施設整備 10 360,201 240,134 3,674 2,450 補助金等の過大交付
 上記の社会福祉法人では、当該施設整備に係る実支出額を算出する際、スプリンクラー設備工事費の実支出額として計上すべき自家発電設備の経費7,120,007円を本体工事費の実支出額に含めるなどしていたため、補助対象事業費が3,674,000円過大に算定されていた。
 したがって、本体工事費及びスプリンクラー設備工事費に係る適正な実支出額に基づいて国庫補助金を算定すると237,684,000円となり、2,450,000円が過大に交付されていた。
(84) 沖縄県 社会福祉粟国福祉会
(島尻郡粟国村)
特別養護老人ホーム等施設整備 9、10 339,074 290,633 24,035 20,601 補助金の過大交付
 上記の社会福祉法人では、冷暖房設備工事費、浄化糟設備工事費、スプリンクラー設備工事費等に係るそれぞれの実支出額を算出する際、契約金額ではなく、この金額よりも高額な設計業者から徴した見積書の金額に基づいたため、補助対象事業費が24,035,000円過大に算定されていた。
 したがって、契約金額による適正な実支出額に基づいて国庫補助金を算定すると270,032,000円となり、20,601,000円が過大に交付されていた。
(82)-(84)の計 1,239,521 890,929 33,154 26,681