ページトップ
  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

生活保護費負担金の経理が不当と認められるもの


(86)−(96)生活保護費負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)生活保護費
部局等の名称 茨城県ほか8都府県
国庫負担の根拠 生活保護法(昭和25年法律第144号)
補助事業者
(事業主体)
県1、市8、特別区2、計11県市区
国庫負担対象事業 生活保護事業
国庫負担対象事業の概要 生活に困窮する者に対し最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行うもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計 214,056,757円
不当と認める国庫負担金交付額 77,294,799円

1 負担金の概要

 生活保護費負担金(昭和61年度以前は「生活保護費補助金」)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、生活に困窮する者に対し、最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う場合に、その費用の一部を国が負担するものである。この保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としている。
 そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。

生活保護費負担金の経理が不当と認められるものの図1

(ア)費用の額は、保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、その所在地域、構成員の数、年齢等の別に応じて算定される生活費の額から、被保護世帯における就労収入、年金受給額等を基に収入として認定される額を控除するなどして決定された保護費の額の合計額に事業主体の事務経費を加える。
(イ)返還金等の額は、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者が、資産を売却するなどして収入を得たときに返還した保護費の額等の合計額とする。

2 検査の結果

 生活保護は、生活に困窮するすべての者に対しひとしく最低限度の生活を保障する制度であり、公正な運営が強く求められていることから、事業主体において、収入の認定等が適切に行われ保護が適正なものとなっているかに着眼して、北海道ほか23都府県の釧路市ほか132事業主体について検査した。
 検査したところ、茨城県ほか8都府県の古河市ほか10事業主体では、次のとおり保護費の支給が適正でなかった。
 すなわち、上記の11事業主体では、被保護者が就労して相当額の収入を得ていたり、年金を受給していたり、一時金収入を得ていたりなどしているのに、被保護世帯から事実と相違した届出がなされ、これにより収入を実際の額より過小に認定するなどして保護費の額を決定していた。この結果、国庫負担金77,294,799円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、被保護世帯において事実と相違した届出を行っているのに事業主体において収入の認定等に当たっての調査確認が十分でなかったこと、都県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを都府県別・事業主体別に示すと次のとおりである

県名 事業主体 年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金 摘要
千円 千円 千円 千円
(86) 茨城県 古河市 昭和53〜
平成8
11,297 8,519 4,238 3,194 年金収入を過小に認定していたもの
(87) 東京都 中央区 平成8〜
12
14,536 10,902 7,547 5,660 就労収入を過小に認定していたものなど
(88)  同 江東区 昭和59〜
平成12
25,750 19,168 5,003 3,732 年金収入を過小に認定していたものなど
(89)  同 三鷹市 昭和63〜
平成12
26,710 20,012 8,379 6,279 一時金収入を認定していなかったものなど
(90) 新潟県 新潟市 平成6〜
13
26,650 19,987 11,013 8,259 就労収入を過小に認定していたものなど
(91) 三重県 上野市 平成8〜
13
29,658 22,243 8,456 6,342 就労収入を過小に認定していたもの
(92) 京都府 京都市 平成3〜
12
17,318 12,989 8,199 6,149 年金収入を認定していなかったもの
(93) 大阪府 大阪市 平成8〜
12
21,715 16,286 7,812 5,859 就労収入を過小に認定していたものなど
(94) 高知県 高知市 平成8〜
12
72,177 54,133 25,787 19,340 就労収入を過小に認定していたものなど
(95) 福岡県 福岡県 平成4〜
12
27,546 20,659 8,443 6,332 就労収入を認定していなかったもの
(96) 熊本県 玉名市 昭和59〜
平成13
12,315 9,152 8,279 6,142 年金収入を過小に認定していたもの
(86)−(96)の計 285,679 214,056 103,161 77,294