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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(200)−(203)中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 通商産業省東北、関東、九州各通商産業局(平成13年1月6日以降は経済産業省東北、関東、九州各経済産業局)
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 秋田県ほか2県
事業の内容 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け
貸付件数 4件(4中小企業者)
貸付金額の合計 81,840,000円
(国庫補助金相当額40,920,000円)
不当貸付金額 39,126,073円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 19,563,036円

1 補助金の概要

 中小企業庁では、中小企業近代化資金等助成法(注) (昭和31年法律第115号)に基づき、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の2分の1以内の額を中小企業設備近代化補助金として交付している。
 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上4000万円以下、償還期間は原則として5年となっている。また、貸付対象設備については、代金の支払が翌年度の9月30日までに完了する売買契約により購入されるものであることなどとなっている。そして、借主は事業完了後に完了報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

 中小企業近代化資金等助成法は平成11年12月に「中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律」(平成11年法律第222号)により小規模企業者等設備導入資金助成法に改正された。これにより、中小企業設備近代化資金の貸付事業は11年度をもって終了し、12年度からは小規模企業者等設備導入資金貸付事業が開始された。

2 検査の結果

 北海道ほか29都府県における中小企業設備近代化資金の貸付けのうち621件の貸付けについて検査したところ、秋田県ほか2県の4中小企業者に対する4件81,840,000円の貸付けにおいて、借主が、設備の購入代金の支払を所定の支払期限までに完了していなかったり、設備の購入に必要な長期資金を金融機関から借り入れた後に重複して貸付けを受けたりなどしていた。このため、39,126,073円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額19,563,036円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。
 このような事態が生じていたのは、借主が事実と相違した内容の貸付申請や完了報告を行っていたこと、これに対する県の審査及び確認が適切でなかったことなどによると認められる。
 これを県別・貸付先別に示すと次のとおりである。

県名 貸付先 貸付対象設備 貸付年月 貸付対象事業費 貸付対象として適切でない事業費 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 摘要
同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金相当額
千円 千円 千円
(200) 秋田県 電気工事業者 建柱車 10.7 11,340
(5,670)
11,340
(5,670)
2,835 重複融資
 この貸付けは、建柱車1台の購入に必要な資金11,696,000円(うち貸付対象事業費分11,340,000円)の一部として、5,670,000円を貸し付けたものである。しかし、借主は、この貸付けを受ける前に、この設備の購入のために国民金融公庫から長期資金11,340,000円を借り入れており、本件資金は重複して貸し付けられていた。
 したがって、本件貸付けはその要がないものである。
(201) 静岡県 建設業者 ショベル系掘削機 11.1 57,558
(28,770)
57,558
(28,770)
14,385 貸付対象外
 この貸付けは、ショベル系掘削機2台の購入に必要な資金57,558,270円(うち貸付対象事業費分57,558,000円)の一部として、28,770,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を57,558,270円で購入し、その代金を平成11年1月31日までに支払ったとしているが、実際は、10年11月から16年10月までの長期の割賦販売契約(72回払い)により購入していた。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。
(202) 大分県 産業廃棄物処理業者 産業廃棄物貯留・運搬車両 11.9 28,874
(14,400)
4,974
(2,450)
1,225 低額設置
 この貸付けは、産業廃棄物を収納する容器を搭載した車両1台の購入に必要な資金29,670,662円(うち貸付対象事業費分28,874,000円)の一部として、14,400,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を29,670,662円で購入したとしているが、このうち車両部分に係る額14,550,662円(うち貸付対象事業費分13,754,000円)は契約額を水増ししたもので、実際は、9,552,662円(うち貸付対象事業費分8,779,149円)で購入していた。
 したがって、この設備の購入に対する適切な貸付金額を計算すると11,949,574円となるので、本件貸付金額との差額2,450,426円が過大な貸付けとなっている。
(203) 大分県 印刷業者 印刷機 11.10 66,081
(33,000)
4,553
(2,235)
1,117 貸付対象事業費の過大計上
 この貸付けは、印刷機1台の設置に必要な資金66,081,750円の一部として、33,000,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は貸付対象にならない建物建築等の工事費を含めて過大に計上していたもので、適切な貸付対象事業費は61,528,706円であった。
 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると30,764,353円となるので、本件貸付金額との差額2,235,647円が過大な貸付けとなっている。
(200)-(203)の計 163,853
(81,840)
78,425
(39,126)
19,563