科目 | (一般勘定)貸付金 |
部局等の名称 | 社会福祉・医療事業団 |
貸付けの根拠 | 社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号) |
貸付けの種類 | 経営資金 |
貸付けの内容 | 介護保険制度への移行に伴い必要となる経営資金の社会福祉法人等への貸付け |
貸付件数 | 3件 |
貸付金額の合計 | 215,900,000円 | (平成12年度) |
不当貸付金額 | 60,600,000円 | (平成12年度) |
1 貸付金の概要
社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)では、社会福祉事業に関する必要な助成等を行うことにより社会福祉の増進等を図ることを目的として、社会福祉・医療事業団法(昭和59年法律第75号)に基づき、特別養護老人ホーム等の施設を設置し又は経営したり、在宅サービス事業を経営したりする社会福祉法人等に対し、必要な資金を貸し付けている。
平成12年4月に介護保険制度が導入されたことにより、従来、市町村から社会福祉法人等に対して支払われていた措置費又は委託費(注)
は介護報酬に切り替わり、その支払時期も、当月支払から翌々月の月末支払になった。このため、事業団では、介護報酬の入金がない12年4月から6月末までの間の経営資金を必要とする施設や事業所を経営する社会福祉法人等に対して、必要となる経営資金(以下「つなぎ資金」という。)を貸し付けることとした。このつなぎ資金の貸付件数は1,533件、これに係る貸付金額は727億6740万円となっている。
つなぎ資金の貸付対象となる施設又は事業所は、介護保険法(平成9年法律第123号)の規定による指定を受けた特別養護老人ホーム等(以下「指定介護老人福祉施設」という。)及び訪問介護事業等を行う事業所(以下「指定居宅サービス事業所」という。)であって、介護保険制度への移行前の12年3月までに開設又は開業し、措置費等を受けているものとされている。また、その貸付金額は、12年4月から6月までの3箇月分の介護報酬の見込額として算定した金額の範囲内とされており、さらに、その使途は、指定介護老人福祉施設及び指定居宅サービス事業所に係る12年4月から6月までの経営のために必要な資金とされている。
事業団では、この貸付けに当たり、社会福祉法人等の借入申込者から提出された借入要望書等の内容を審査し、上記の条件に適合していると認めたものについて貸付けの決定を行っている。そして、貸付金の債権管理に当たっては、その使途について留意することとなっており、これを確認する場合は、借入者の施設等に出向き調査することなどとしている。
2 検査の結果
事業団におけるつなぎ資金315件の貸付けについて検査したところ、3件215,900,000円において、60,600,000円が他の法人に流用されるなど貸付けの目的外に使用されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、借入者においてつなぎ資金の使途についての認識が十分でなかったこと、事業団において借入者に対する指導及び使途の確認が十分でなかったことによると認められる。
なお、これらの不当貸付金については、すべて借入者から繰上償還された。
これを貸付先別に示すと次のとおりである。
貸付先 (所在地) |
貸付年月 (貸付利率) |
貸付金額 | 貸付金額のうち不当と認める額 | 適用 | |
千円 | 千円 | ||||
(217) | 株式会社 (東京都墨田区) |
12.4 (年2.2%) |
65,000 | 10,000 | 目的外使用 |
この貸付けは、指定居宅サービス事業所である訪問介護事業を行う事業所の経営のために必要なつなぎ資金として65,000,000円を貸し付けたものである。 しかし、このうち10,000,000円は借入者の代表取締役等に貸し付けられ、株券購入のために使用されていた。 したがって、上記10,000,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。 |
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(218) | 社会福祉法人 (福岡県北九州市) |
12.4 (年2.1%) |
84,000 | 47,000 | 目的外使用 |
この貸付けは、指定介護老人福祉施設である特別養護老人ホーム等の経営のために必要なつなぎ資金として84,000,000円を貸し付けたものである。 しかし、このうち47,000,000円は他の医療法人の運営経費に流用されていた。 したがって、上記47,000,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。 |
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(219) | 社会福祉法人 (大分県別府市) |
12.4 (年2.1%) |
66,900 | 3,600 | 目的外使用 |
この貸付けは、指定介護老人福祉施設である特別養護老人ホーム等の経営のために必要なつなぎ資金として66,900,000円を貸し付けたものである。 しかし、このうち3,600,000円は当該施設の経営に使用されておらず、使途も不明となっていた。 したがって、上記3,600,000円は貸付けの目的外に使用されていたものである。 |
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(217)-(219)の計 | 215,900 | 60,600 |