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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第10 通信・放送機構|
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研究開発に係る委託費の精算に当たり、労務費の計上が適切を欠いたため、支払額が過大となっているもの


(225)研究開発に係る委託費の精算に当たり、労務費の計上が適切を欠いたため、支払額が過大となっているもの

科目 研究開発推進勘定 (項)研究開発事業費
部局等の名称 通信・放送機構本社
委託研究の概要 高度セキュリティネットワークシステムの研究開発として、大容量のデータを、不正利用を防止しつつ、ネットワークを介して配信する機能を有するクレジットカードオンライン課金システムを開発するもの
契約の相手方 株式会社国際情報科学研究所
契約 平成11年5月
支払 平成12年3月
支払額 49,682,752円
過大になっている支払額 13,869,190円

1 委託研究契約の概要

(委託研究の概要)

 通信・放送機構(以下「機構」という。)本社では、平成11年5月に「高度セキュリティネットワークシステムの研究開発」を課題とした委託研究契約を株式会社国際情報科学研究所(以下「受託者」という。)との間で締結している。
 この研究開発は、大容量のプログラム等のデータを、無断コピー等の不正利用を防止しつつ、 安全にネットワークを介して配信する機能を有するクレジットカードオンライン課金システムを開発することを目的としたもので、11年5月から12年3月までを契約期間としている。

(委託費の支払)

 本件委託研究に係る委託費の支払額は、契約により、5000万円と受託者が実際に委託研究に要した経費の実支出額のいずれか低い額となっている。この実支出額は、機構の「委託経費算定基準(民間企業関係)」(平成8年達第12号)により算定される労務費、機械装置等開発費、消耗品その他の経費、一般管理費等とすることとなっている。このうち労務費は、委託研究に直接従事した研究者ごとに基本給、賞与及び諸手当の合計額から算出した1時間当たり単価に直接従事した時間数を乗じて得た額の合計額となっている。
 機構本社では、12年3月、本件委託研究について、受託者から49,682,752円の概算払の請求を受け同額を支払い、同年4月、受託者から提出された実績報告書に基づき同額で委託費を精算している。この委託費のうち労務費の実支出額は29,141,322円としている。

2 検査の結果

 検査したところ、労務費の算定が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、上記労務費の実支出額は、受託者において、研究者7人が本件委託研究に延べ9,058時間従事したとして算定していたものであった。しかし、実際は、研究者のうち4人について、本件委託研究に従事していた時間と他の研究に従事していた時間とを区分しないまま、1日の研究時間数を本件委託契約の直接従事時間数として計上するなどして算定したものであった。このため、他の研究に従事していた時間数など本件委託研究の直接従事時間数に含めるべきでない時間数が延べ3,142時間含まれており、これを控除した延べ5,916時間が本件委託研究に直接従事した時間数と認められた。この時間数に基づき労務費を算定すると、精算の基礎とした実績報告書より低額な16,910,995円となり、精算が過大となっている。
 このような事態が生じていたのは、受託者から事実と相違した実績報告書が提出されていたのに、これに対する機構本社の検査確認が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、直接従事時間数の実績に基づいて委託費を算定すると35,813,562円となり、支払額との差額13,869,190円が過大に支払われていて、不当と認められる。