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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 東日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

低速専用線回線終端装置に搭載する一般専用サービス用のパッケージについて、回線を収容していないものを活用することにより、購入費の節減を図るよう改善させたもの


低速専用線回線終端装置に搭載する一般専用サービス用のパッケージについて、回線を収容していないものを活用することにより、購入費の節減を図るよう改善させたもの

科目 設備投資勘定
部局等の名称 東日本電信電話株式会社本社
一般専用サービス用のパッケージの概要 一般専用サービスの回線を収容するため低速専用線回線終端装置に搭載するパッケージ
購入物品 一般専用サービス用のパッケージ 14,897枚
購入費 5億3318万余円 (平成12年度)
節減できた購入費(枚数) 8820万円 (2,691枚)(平成12年度)

1 購入物品の概要

(専用サービスの概要)

 東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)では、加入者が申し込んだ区間の通信サービスを専用の直通回線(以下「専用線」という。)により安定的で高品質なものとして、毎月一定額で提供する専用サービスを行っている。この専用サービスには、電話、ファクシミリ通信及びデータ伝送に適した一般専用サービス、音声からデータや映像までさまざまな情報を高速で伝送することができる高速ディジタル伝送サービスなどがある。

(一般専用サービスの通信設備の形態)

 一般専用サービスを提供する専用線は、加入者から設備センタビルまでを接続するアクセス網と設備センタビル相互間を接続する中継網から構成されている(参考図参照) 。そして、一般専用サービスに使用する通信ケーブルには、電気信号を伝送するメタリックケーブルと光信号を伝送する光ファイバケーブルがある。
 一般専用サービスの通信設備には、通信ケーブルの種類に応じて、次のような形態がある。

ア 中継網とアクセス網がともにメタリックケーブルの場合

 双方を接続する設備センタビルにおいて、中継網のメタリックケーブルとアクセス網のメタリックケーブルとを直接接続している。

イ 中継網が光ファイバケーブルで、アクセス網がメタリックケーブルの場合

 電気信号と光信号を相互に変換したり、光信号を多重化又は分離したりする装置である低速専用線回線終端装置(Low speed Data and analogue voiceband Subscriber LineTerminal。以下「LD−SLT」という。)を設備センタビルに設置し、これを介して中継網の光ファイバケーブルとアクセス網のメタリックケーブルとを接続している。

ウ 設備センタビルから配線点(注1) までの区間又はオフィスビル、集合住宅等(以下「オフィスビル等」という。)までのアクセス網が光ファイバケーブルで、その先の端末までの区間がメタリックケーブルの場合

 配線点又はオフィスビル等にLD−SLTを設置し、これを介して端末までのメタリックケーブルと設備センタビルからの光ファイバケーブルとを接続している。

(一般専用パッケージの概要)

 LD−SLTには、光信号から変換された電気信号を音声サービスやデータ通信サービスなど各種のサービスに応じた信号方式に変換する機能を有する一般専用パッケージを、1回線につき1枚搭載することになる。このパッケージには変換する信号方式の別に12種類がある。

(一般専用パッケージの管理方法)

 NTT東日本では、一般専用サービスの開始及び廃止の申込みを専用サービスセンタで受け付けている。専用サービスセンタでは、一般専用のサービス開始の申込みがあった場合、専用線の収容情報を管理する機能も備えた経路等の設計システム(以下、このシステムを「専用線設計システム」という。)を用いて、回線を収容する一般専用パッケージや通信ケーブルを選定して専用線を開通させている。また、廃止の申込みがあった場合、専用線設計システムを用いて、当該回線を収容している一般専用パッケージ等を特定し専用線を廃止させている。そして、専用サービスセンタでは、専用線設計システムにより、支店別の一般専用パッケージの使用状況を種類別に把握できる資料を半期ごとに作成し、その資料を一般専用パッケージの管理に役立てるためとして各支店に送付している。

(一般専用パッケージの調達)

 設備センタビル内のLD−SLTに搭載する一般専用パッケージの調達については、支店が専用サービスセンタと調整の上、購入又は転用により実施している。また、配線点及びオフィスビル等のLD−SLTに搭載する一般専用のパッケージ調達については、支店から工事の依頼を受けた技術総合センタが支店と調整の上、購入又は転用により実施している。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 NTT東日本では、管路の有効利用を図るなどのため、通信ケーブルをメタリックケーブルから光ファイバケーブルへ更改している。そして、この更改に伴いLD−SLTが必要になり、毎年度、多数の一般専用パッケージを調達している。
 一方、NTT東日本の専用サービスのうち一般専用サービスの契約回線数は、高速ディジタル伝送サービスの契約回線数の増加に伴い減少傾向にある。このため、既設のLD−SLT内では、回線を収容していない一般専用パッケージの数が増加傾向にある。
 このような状況において、一般専用パッケージの調達が適切かつ効率的なものになっているかなどに着眼して検査した。

(検査の対象)

 東京支店ほか16支店(注2) において、平成12年度に購入した一般専用パッケージ11種類計14,897枚(購入金額5億3318万余円)を対象として検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、11年度第4四半期の一般専用パッケージの使用状況に関する資料が保存されていた東京支店ほか14支店(注3) では、設備センタビル内のLD−SLT内に回線を収容していない一般専用パッケージが12種類計208,661枚あった。
 このような状況において、次のような事態が見受けられた。
ア 東京支店ほか12支店(注4) では、各支店内に回線を収容していない一般専用パッケージがあったのに、これを活用することなく一般専用パッケージ8種類計998枚を購入していた。
イ 東京支店ほか5支店(注5) では、他支店に回線を収容していない一般専用パッケージがあったのに、これを活用することなく一般専用パッケージ6種類計1,693枚を購入していた。
 したがって、LD−SLTに搭載する一般専用パッケージを調達する際は、社内の連絡調整を十分行い、回線を収容していない一般専用パッケージを活用することによりその購入費の節減を図る要があると認められた。

(節減できた購入費)

 上記により、回線を収容していない一般専用パッケージを支店内又は支店間で転用したとすれば、12年度に東京支店ほか14支店(注6) において購入した8種類計2,691枚の一般専用パッケージは購入の要はなく、約8820万円が節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
ア 支店において、支店内の一般専用パッケージの使用状況について、専用サービスセンタから情報の提供を受けていたにもかかわらず、その情報を十分に利用していなかったこと、及び専用サービスセンタとの連絡調整を十分行っていなかったこと
イ 専用サービスセンタにおいて、各支店が他支店の一般専用パッケージの使用状況を把握できるような措置を講じていなかったこと
ウ 本社において、社内に回線を収容していない一般専用パッケージが多数あるにもかかわらず、購入の停止又は抑止の措置を執らなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本では、13年10月に、各支店及び各専用サービスセンタに指示文書を発し、支店内又は支店間で一般専用パッケージの転用を促進するための具体的な指示・指導を行うとともに、一般専用パッケージの購入を停止又は抑止することにより、一般専用パッケージの購入費の節減を図る処置を講じた。

(注1) 配線点 加入者線交換機等を設置している設備センタビルから加入者までを結ぶケーブルは、設備センタビルを出た直後は地下の管路に敷設される。そして、加入者まである程度の距離に達した地点で分岐して、以後は方面ごとに加入者まで配線される。配線点は、このケーブルが分岐する点をいう。
(注2) 東京支店ほか16支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店
(注3) 東京支店ほか14支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店
(注4) 東京支店ほか12支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、宮城、福島、青森、山形、秋田、北海道各支店
(注5) 東京支店ほか5支店 東京、千葉、埼玉、栃木、長野、新潟各支店
(注6) 東京支店ほか14支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、長野、新潟、宮城、福島、青森、山形、秋田、北海道各支店

(参考図)

(参考図)