出資型(研究開発等)法人では、出資した資金は、出資先会社が研究開発活動を実施する過程で、一定の期間内に研究経費として費消されていく。
研究開発が成功し、研究成果として特許料等の収入が計上された場合には、配当などで出資金を回収できることもあるが、研究成果が収益に結びつかない場合には、出資先の会社において欠損金が累積することになる。出資先会社清算まで出資金は資産計上され、出資先会社清算の際に初めて損失金が発生する可能性がある。
研究開発事業等は、広い意味での国民の資産形成につながるものであり、これら研究開発費の原資としては、従来から、一般税収を財源とする補助金、交付金等ではなく、政府出資金が投入されてきた。また、政府出資金には、公債発行経費(財政法第4条)に該当するものがあり、国債発行の対象となってきた。
しかし、研究開発によって得られる成果は、科学技術上の重要な発見・知見の獲得、研究ノウハウや産業技術等の民間移転、知的インフラの形成といった観点からみて重要な意義を有し、国民の資産とみなすべきものであるが、その多くが目に見える資産形成が行われるものではない。
したがって、研究機器等を除けば、出資金の大半は研究開発の過程で研究経費として費消されていき、出資金見合いの資産が存在しないことから欠損金が累積する。その結果、追加出資を受け入れる一方で累積欠損金が増加している法人が多い。各法人の12年度末現在の政府出資金と累積欠損金は、次表のとおりである。
表13 累積欠損金 | (単位:億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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