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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (3) 個別の法人ごとの資金収支と財政負担|
  • ア 社会資本整備法人の状況|
  • (ア) 利用料収入型

都市基盤整備公団(鉄道勘定)


7 都市基盤整備公団(鉄道勘定)
((ア) 利用料収入型)

 鉄道の建設に際しての事業資金は、財政投融資資金、民間資金の借入金等によって調達している。
 債務は、鉄道線路の使用料収入等で償還している。
 また、建設資金については、地方公共団体から補助金、出資金等の財政支援を受けている。

(事業の概要)

 都市基盤整備公団の鉄道勘定における事業は、同公団が都市基盤の整備をしている千葉ニュータウン地区において、同公団自らが鉄道の建設及び経営(小室〜千葉ニュータウン中央〜印旛日本医大。12.5km)を行うもので、鉄道施設を北総開発鉄道株式会社に使用させて鉄道線路使用料を得ている。

(基礎的資金収支等)

 基礎的資金収支は、マイナス傾向が続き、外部資金である負債が増加している。マイナス幅は、平成元年度から4年度までは2億円から7億円程度の小幅で推移していたが、5、6両年度には路線の延長工事に伴って、建設投資額が両年度とも40億円以上に急増したため、30億円以上のマイナスとなった。工事完成後の7、8両年度には小幅のプラスとなったが、9年度以降は路線の延長工事に伴って再びマイナスとなり、全線供用した12年度のマイナスは6億余円となっている。12年度末の固定負債(債券及び長期借入金の合計)は434億余円で、元年度末の138億余円に比べて3.14倍となっている。
 建設投資額は、10年度には再び路線の延長工事に伴って急増したが、印旛日本医大駅までの区間が完成した12年度は18億余円まで減少した。
 建仮比率は、建設投資額とほぼ同様の動きであり、元年度から4年度まで20%から30%台で推移していたが、6年度には69%となった。そして、7年度から9年度に20%台に低下した後、11年度には再び55.2%となったが、12年度には6.1%へ減少した。資産効率は、5、6、10、11各年度は、建設投資が行われたため若干低下しているが、鉄道の開業等により12年度には7.2%となった。
 なお、本勘定に対する国の財政負担はない(グラフ)。

(経営状況及び累積欠損金等の状況)

 本勘定の損益状況についてみると、年度によって変動はあるものの、元年度以降毎年度10億円から20億円程度の当期損失金が発生している。これに伴い累積欠損金は、元年度の60億余円から12年度には224億余円にまで増加している。
 鉄道事業は、特に初期投資を要し長期にわたって資金回収を図る事業であり、開業後一定期間は資本費負担等がかさむことから、欠損金が発生している。これは、ニュータウン地域の人口増加が当初の計画を下回り、鉄道使用料収入に影響を及ぼす鉄道利用者数が計画どおりでなかったことが原因となっている。このため、今後の周辺地域の居住人口の動向などが経営上の重要な要因となっている。

都市基盤整備公団(鉄道勘定)の図1