沖縄振興開発金融公庫は、一般の金融機関による融通が困難で、沖縄県における経済振興開発に必要な長期資金を貸し付けている。
借入金等の外部資金調達額の主な変動要因は、新規貸付け及び回収金(繰上償還)の増減である。平成6年度までは、新規貸付けが5%から20%の伸びを続けたため、貸付財源の不足を借入金等の外部資金の調達で補っている。7年度以降は、資金需要が停滞したため、新規貸付けは減少後伸び悩み、12年度には更に減少している。12年度末の負債(債券、借入金及び寄託金の合計)は1兆6321億余円で元年度末の8967億余円の1.8倍、また、12年度末の貸付金資産は1兆7212億余円で元年度末の9285億余円の1.9倍と、ほぼ同様に増加している。
7年度に借入金が減少したのは、金利の低下に伴い、回収金のうち5割に及ぶ1056億余円の繰上償還があったことなどが主な要因である。公庫は、外部資金の調達を減らして貸付けを行っている。繰上償還は、8年度以降も回収金の4割から5割に及ぶ高水準で推移したため、借入金も11年度までは1割程度の増減幅で横ばい傾向が続いている。また、12年度には新規貸付けも落ち込んだため、借入金は急減している。
収益性の状況についてみると、貸付金利回りが資金調達利回りより低く逆ざや基調であったが、金利低下が続く中で逆ざや幅は縮小し、順ざや基調に転じつつある。
延滞債権の状況についてみると、11年度に19億余円、12年度に25億余円の貸付金償却を行ったが、厳しい経済環境が続く中で延滞債権率は2%台に上昇している。
財政負担の状況についてみると、逆ざや相当分のほか、多額の繰上償還に伴う損失や事務経費等に充てるため、元年度以降、56億円から130億円の補給金を受け入れている。また、7年度から12年度までの自己資本比率(11年度末時点で3.75%)が他の公庫に比べて低かったことから、資本増強による経営基盤強化等を目的として、一般会計から出資金305億余円を受け入れている。
同公庫は、繰上償還の対応策として、10年8月に内部規程を改正し、繰上償還を認める際に、特定の資金(産業開発資金、中小企業資金、医療資金及び農林漁業資金)については債務者等から繰上弁済補償金を徴収することができることとした。