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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (3) 個別の法人ごとの資金収支と財政負担|
  • イ 政策金融法人の状況|
  • (イ) 非補給金型

国際協力銀行(国際金融等勘定のうちの一般勘定)


13 国際協力銀行(国際金融等勘定のうちの一般勘定)

((イ) 非補給金型)

 財政投融資資金からの借入金、政保債の発行による調達資金等を財源として貸付けを行い、回収元利金をこれら有償資金の償還財源に充てている。
 収支相償を原則として、順ざやで貸付けを行っている。例えば、輸銀アンタイドローンの貸付金利は財投金利を下限とし、通常、長期プライムレートより0.2%低い金利で設定されている。
 また、産投会計から出資金を受け入れている。

(資金収支等)

 国際協力銀行は、平成11年10月1日、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の業務を承継して設立された。日本輸出入銀行の業務は国際金融等勘定で、また、海外経済協力基金の業務は海外経済協力勘定でそれぞれ経理されている。
 国際金融等勘定のうちの一般勘定では、我が国の輸出入、海外における経済活動の促進、国際金融秩序の安定に寄与するための業務を行っている。すなわち、〔1〕我が国企業の設備や技術の輸出に関して我が国の輸出者、外国の輸入者などに対する融資等(輸出金融)、〔2〕我が国企業の物資等の輸入などに関して我が国の輸入者や外国の輸出者に対する融資等(輸入金融)、〔3〕我が国企業の海外投融資に関して我が国の投資者や日系合弁企業などに対する融資等(海外投資金融)、〔4〕開発途上国などが行う構造調整や外国の国際収支の均衡、通貨の安定などに関して、日本から資機材を調達することを条件とせずに外国政府等に対して行う融資(アンタイドローン)等の業務を行っている。なお、同勘定は、財務の健全性を保つため、債務の償還確実性、収支相償の原則の下に貸付業務等を行っている。
 借入金等の外部資金調達の主な変動要因は、新規貸付けの増減である。元年度から8年度にかけての新規貸付けの増減幅は小幅なものであったため、借入金等の残高は微増が続いた。しかし、9、10両年度は新規借入金が大幅に増加した一方、11、12両年度は逆に大幅に減少するなど大きく変動している。
 12年度末の負債(債券及び借入金の合計)は9兆3976億余円で元年度末の4兆6044億余円の2倍、また、12年度末の貸付金資産は10兆3391億余円で元年度末の5兆7139億余円の1.8倍に、それぞれ増加している。なお、外貨建ての長期金銭債権・債務は、先物為替予約が付されているものについては確定している円貨額で、また、外貨債券等により調達した資産に係るノンエクスチェンジ取引については各年度末時点での基準外国為替相場に基づく円価額でそれぞれ換算している。

国際協力銀行(国際金融等勘定のうちの一般勘定)の図1

 元年度から5年度にかけて借入金等が徐々に増加した主な要因は、国際収支の不均衡拡大に対応する資金還流措置の一環として、アジア向けの融資が大幅に伸び、その融資増加分を借入金等の外部資金で賄ったことによるものである。6年度から8年度にかけて横ばいとなったのは、繰上償還が若干増加するとともに、資金需要の停滞から新規貸付けの伸びが鈍化したことなどによるものである。
 9、10両年度に借入金等が大幅に増加したのは、9年7月に発生したアジア通貨危機に対し大型の金融支援を行ったため、アンタイドローン等が7381億円(融資実行額ベース)と大幅に伸び、借入金等が大幅に増加したことなどによる。また、12年度に借入金等が減少しているのは、アジア経済の混乱が収まり、早期の返済を認めていたことなどもあって貸付回収金の3割強を占める繰上償還が発生する一方、アンタイドローン等の新規貸付けが2720億円へと減少(11年度実績の4割)したことなどによるものである。
 収益性の状況についてみると、10年度までの貸付金利回りは資金調達利回りをわずかに下回って推移しており、11年度から順ざやとなっている。この勘定では、貸付金資産が負債(債券及び借入金の合計)より各年度とも1兆円前後多いことから、損益計算上、貸付利息等は借入利息等より多くなっている。12年度末の資本の合計は1兆5961億円であり、自己資本の厚みが収益の安定性に寄与している。この結果、毎年度、継続的に当年度利益金を計上し、国庫納付を行っており、12年度には409億余円を納付している。
 延滞債権の状況についてみると、延滞債権率は他の法人に比べて特に高くはないが、債権国会議において公的債務の返済繰延べの合意がなされているものが、12年度末で4349億余円あり、同年度末の貸付金残高の4.2%となっている。これらは一時的な流動性支援のために繰り延べられた債権であり、今後のリスケジュール(債務繰延契約)によって正常債権化されるものである。貸倒引当金の繰入限度率は1000分の3であるが、公的債務救済措置(ナポリターム)の適格国に対して有する貸付金については、大蔵省告示に基づき、期末対象債権残高に各国ごとに適用される債務削減率を乗じて算出した額の合計額に2分の1を乗じて算出した額以下の金額を追加的に繰り入れることとなっている。これに係る12年度末の貸倒引当金は、358億余円となっている。
 財政負担の状況についてみると、12年度末の産投会計からの出資金は9855億円となっており、最近では4、5両年度に計182億円の出資が行われただけである。
 外貨建資産・負債に係るリスクヘッジの状況をみると、12年度末の外貨建資産は5兆0773億余円、外貨建負債は1兆5665億余円である。外貨建資産のうち約9割の4兆6673億余円は外貨貸付金であり、外貨及び円貨で調達した資金を用いている。また、外貨建負債のうち約8割の1兆3660億余円は外貨建ての債券である。外貨建資産・負債に係る為替リスクは、通貨スワップ等によりヘッジされている。
 なお、13年10月に1000億円の財投機関債が発行されている。