4 情報処理振興事業協会(地域事業出資業務勘定)
((ア) 出資型)
情報処理振興事業協会は、高度情報社会を支える情報化基盤を強化するため、システムエンジニア等の人材を育成し、高度な開発技術の実践指導を行う施設等を運営する第3セクターである全国の地域ソフトウェアセンター(以下「センター」という。)に出資を行っている。当該出資事業は、10年間の臨時措置法に基づくものであり、現在この勘定は管理勘定となっている。
出資業務に必要な財源は、産投会計からの出資金40億円及び雇用・能力開発機構からの出資金40億円であり、同協会は、センター20社に合計80億円を出資している。また、センターへの出資は平成6年度までで終了している。
各年度の新規の出資事業出資金の額は、当該年度に国等から受け入れている産投会計出資金等と同額となっており、12年度末現在における産投会計出資金等80億円に対して、出資事業出資金の累計額は同額の80億円となっている(グラフ)。
同協会の出資金は、センターの施設整備等に使用されていくが、出資先のセンターにおいて施設利用料等の収益で人材育成と開発技術の実践指導等に要する費用が賄えない場合、センターの財務上、欠損金として累積していくことになる。
センター20社についてみると、12年度末における出資金累計額80億円に対応するセンターの累積欠損金は、15億余円(同協会の出資持分に応じて計算した額)となっている。そして、出資金累計額に対する累積欠損金の比率は19.8%となっている。
このように、現状では、センターにおいて上記のような欠損金が発生しており、これに対応する回収リスクを抱えている。出資金は、将来、センターの事業収入及び施設使用料収入が増加して収益を生む場合には、配当などで協会の出資金の一部が回収される可能性もある。しかし、センター側において、将来にわたって事業収入等で費用を賄うことができない場合には、同協会の出資金の回収は困難となり、センター清算の時点で同協会の財務上、欠損金が生じる可能性もある。