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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (3) 個別の法人ごとの資金収支と財政負担|
  • ウ 無償資金型法人の状況|
  • (イ) 支援事業型

国際協力事業団


11 国際協力事業団
((イ) 支援事業型)

 産投会計出資金は、一般会計出資金と合わせて海外移住投融資及び入植地事業の財源となっている。
 上記事業以外の事業は、政府交付金や一般会計出資金により賄われている。

(事業の概要等)

 国際協力事業団は、海外技術協力事業団と海外移住事業団の業務を承継して昭和49年度に設立された。
 同事業団は、技術協力、無償資金協力、研修員の受入れ、専門家の派遣、青年海外協力隊の派遣、人材育成等数多くの技術協力関係の事業を実施するとともに、海外移住事業を実施している。

(資本金の状況)

 同事業団の平成12年度末における資本金は1326億余円で、技術協力部門1114億余円、海外移住部門211億余円となっている。
 海外移住部門における資本金のうち、産投会計出資金は、昭和45年度以前に受け入れた54億円、一般会計出資金は、62年度まで受け入れた157億余円である。
 一方、技術協力部門における資本金はすべて一般会計出資金である。これは、開発投融資事業及び施設整備事業を対象としており、近年は主に国際センター建設のため、毎年度追加出資が行われている。
 なお、財政投融資との関係では海外移住事業のみが対象となる。

(海外移住事業の実施状況等)

 海外移住事業は、我が国の中南米に対する移住定着促進を目的として移住者に対する政策支援として行われたものであり、入植地の取得、造成、分譲及び移住者に対する投融資を主な内容として、政府出資金を主たる財源として事業を行ってきた。
 このうち、入植地事業については、その後の国内の高度成長に伴う移住希望者の減少により、入植地の造成は62年度を最後に終了した。造成地の残高は、平成元年度末の4億余円から11年度末は2億余円に減少したが、その後、分譲済みの造成地の契約解除があったため、12年度末は4億余円となっている。12年度末の入植地割賦分譲債権残高は4億余円で、このうち6箇月以上の延滞債権額は3億余円(延滞率83.3%)となっている。
 また、移住投融資事業についても、単年度の融資額は、元年度の10億余円(264件)から12年度の2億余円(13件)へと減少傾向にある。12年度末の貸付金残高は72億余円で、このうち6箇月以上の延滞債権額は44億余円(延滞率61.8%)となっている。
 このように、当初、移住者を対象としていた海外移住事業は、近年、日系人や日系人社会に対する支援に移行しており、海外における移住者を取り巻く環境の変化に対応して、その性格が変わりつつある。

(財務の状況)

 12年度末における資産1662億余円のうち、流動資産は754億余円、固定資産は908億余円である。流動資産の大半は現金・預金であり、主として未払金、前受金等の流動負債に対応したものである。固定資産の内訳は、海外移住事業関係の入植地資産、移住投融資資産のほか、技術協力事業関係の開発投融資資産、有形固定資産等となっている。開発投融資資産は、海外において開発を行う本邦法人に対する出融資資産であるが、近年その残高は減少傾向にある。有形固定資産は、主に国内の国際センター等の土地及び建物であり、これらの施設拡充に伴って残高が増加している。
 負債・資本合計1662億余円の大半は政府出資金1326億余円であり、元年度の909億余円の1.45倍となっている。この増加分は、すべて技術協力関係事業のための追加出資である。流動負債は各年度とも流動資産の範囲内であり、借入金はない。欠損金は53億余円となっているが、これは出資金で取得した資産の減価償却等によるものである。
 資金収支についてみると、12年度の収入2608億余円のうち、交付金収入は1742億余円、前年度からの繰越金は696億余円、出資金収入は25億余円で、技術協力関係事業に必要な財源のほとんどを政府交付金及び政府出資金で賄う収支構造となっている。
 この財政負担額(政府交付金及び政府出資金の合計)は、12年度では1768億余円で、元年度の1158億余円の1.52倍に増加している(グラフ)。

国際協力事業団の図1