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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (3) 個別の法人ごとの資金収支と財政負担|
  • ウ 無償資金型法人の状況|
  • (イ) 支援事業型

情報処理振興事業協会


13 情報処理振興事業協会(振興業務勘定、技術事業勘定、地域事業推進業務勘定)

((イ) 支援事業型)

 (1) 振興業務勘定

 高度プログラム安定供給業務に必要な事業資金は、産投会計出資金及びプログラム普及収入で賄い、開発を行う事業会社に対して汎用プログラムの開発を請け負わせている。開発されたプログラムに関する権利は開発者と情報処理振興事業協会で共有し、権利共有の対価として、開発終了後に開発費の80%相当額を5年間の均等分割で開発者から徴収している。
 また、開発者は、開発プログラムの普及販売を行い、その販売実績に応じて同協会にロイヤリティ(実施料)を支払うこととしている。
 一方、特定プログラム高度利用等業務の事業等に必要な資金は、国庫補助金、一般会計出資金、プログラム普及収入(ロイヤリティを含む。)等により賄われている。

(事業の概要)

 情報処理振興事業協会の振興業務勘定の高度プログラム安定供給業務は、ITの中核的役割を担い、良質な汎用プログラムを安定的に開発し流通させることにより、ソフトウェア産業の育成を図ることを目的として、同協会が特定分野のプログラムを対象に開発テーマと開発企業を公募により募集し、プログラムの開発・普及事業を行っている。
 また、特定プログラム高度利用等業務等は、情報技術の急速な発展や国際的な情報化の進展の中で、新たな情報技術環境への対応を目的として、先進的な情報技術の創造・活用、情報化社会を円滑に実現するためのソフトウェア開発、電子政府実現のための技術開発、情報セキュリティ対策事業、教育分野、医療分野などの国民生活向上のための技術開発、ベンチャー・中小零細企業の情報化推進のためのシステム開発等の事業を行っている。

(資産の状況)

 同勘定の平成12年度末における資産合計2432億余円の内訳は、流動資産570億余円、固定資産776億余円及び繰延資産1085億余円となっている。
 流動資産にはプログラム譲渡債権220億余円が含まれる。開発プログラムは、開発を請け負った開発会社と権利を共有するが、開発会社においてパッケージソフトとしての販売を認めていることから、その対価として5年間の均等分割で開発費の80%を納付させており、プログラム譲渡債権はこの徴収すべき80%に相当する債権である。
 固定資産には、同協会が権利を有する開発ソフトウェアに係る無形固定資産684億円が含まれており、3年間の均等償却としている。
 繰延資産はすべてプログラムの開発費であり、5年間の均等償却としている。

(出資金等の状況)

 同勘定のうち、高度プログラム安定供給業務に係る産投会計出資金受入額は、ほぼ30億円前後の規模で推移し、元年度以降12年間の産投会計出資金受入額は392億余円となっている。その結果、12年度末における産投会計出資金は455億余円となっている。
 なお、同勘定で受け入れている特定プログラム高度利用等業務に係る一般会計出資金と合算した政府出資金額は、12年度末において2906億余円となっている。
 高度プログラム安定供給事業費は、財源である出資金受入額とほぼ比例した規模で、おおむね30億円から40億円の間で推移しており、元年度から12年度までにおける事業費の累計額は407億余円で、同期間の産投会計出資金受入額の全額を事業費に充てている。
 高度プログラム安定供給業務に係るプログラム普及収入は、元年度の13億余円から12年度の31億余円へと、事業費の増加とともに増加傾向にある。しかし、12年度までの現状では、プログラム普及収入(元年度から12年度までの累計額281億余円)は高度プログラム安定供給事業費を賄えない状況となっている(グラフ1)。

(欠損金の状況)

 同勘定のうち、高度プログラム安定供給業務の12年度当期欠損金は32億円となっている。なお、同勘定全体における当期損失金の推移は、元年度の12億余円から12年度の182億余円へと増加している。これは、7年度以降における累次の補正予算により開発したプログラムの償却があったためである。
 このように、当期損失金が経常的に発生しているのは、投下資金により開発したソフトウェアが償却費として費用計上され、それに見合う収入が得られない収支構造となっているためである。
 高度プログラム安定供給業務に係る12年度末の累積欠損金は、元年度末の27億余円の11倍に相当する316億余円となっている。なお、同勘定全体では、元年度末の27.6倍に相当する748億余円に増加している(グラフ2)。

(プログラム譲渡債権等に係る延滞の状況)

 プログラム譲渡債権及び未収金に係る12年度末の延滞債権(弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている債権の元金残高)の状況は、次表のとおりである。

区分 資産額 額延滞債権額 延滞率

プログラム譲渡債権
千円
22,032,003
(9,364,980)
千円
769,860
(769,860)


3.4
(8.0)
未収金(プログラム普及収入分) 284,523
(284,523)
22,316,526
(9,649,503)
769,860
(769,860)
3.4
(8.0)
(注)( )内の数字は高度プログラム安定供給業務に係る分である。


情報処理振興事業協会の図1

情報処理振興事業協会の図2

 (2) 技術事業勘定

 ソフトウェア開発の生産性向上を図るためのシステム開発に必要な事業資金は、産投会計出資金、民間からの出資金、借入金等で賄われていた。
 出資金については、このシステムの利用料収入により剰余金が発生すれば、出資額に応じた配当で国庫納付などにより回収されることとなる。

(事業の概要)

 同協会の技術事業勘定においては、昭和60年度に、ソフトウェア開発の工程を自動化・機械化し、その生産性を飛躍的に向上させることを目的として、今日のITの根幹を成すオープンシステム化、ネットワーク化等の基本方針に沿って、いわゆるシグマシステム(ソフトウェア生産工業化システム)の開発に必要なシステム構築のための開発事業を発足させた。そして、ソフトウェア開発環境の整備のため、オペレーティング・システムの標準仕様の策定と開発の推進、基本ツール群、分野別ツール群の開発等を行ってきた。これらの開発は平成元年度に完了し、シグマシステムの普及・拡充を事業として推進するために民間の出資で2年度に設立された株式会社シグマシステムに対して、同協会の所有するソフトウェアの利用許諾を与え、それ以降は同会社が実質的なシグマシステムの普及拡充の事業等を行っている。このため、同勘定は、現在、同会社から納付される普及収入等の管理勘定となっている。

(出資金等の推移)

 資本金の推移についてみると、4年度から6年度までシグマシステムの機能拡充のために計22億余円の追加出資が行われ、12年度末における資本金は197億余円で、元年度末における174億余円の1.1倍となっている(グラフ3)。
 損益の推移についてみると、開発費償却等を含む技術事業費は、元年度から3年度までは15億円台から18億円台であったが、償却が進んだ4年度以降はおおむね10億円前後に低下している。また、プログラム普及収入、利用許諾料等収入を合わせた収益は、利用許諾初年度の2年度に18億円台であったが、次第に減少し、6年度から12年度にかけて2億円台から70万円程度にまで減少している(グラフ4)。

(欠損金等の状況)

 当期損失金の推移についてみると、2年度に59百万余円の当期利益金を計上したほかは、4年度まで10億円以上の当期損失金が発生している。5年度には当期損失金が6億円台に減少したものの、その後は徐々に増加し12年度には9億余円まで増加している。
 2年度だけ当期利益金が発生したのは、前記のとおり、同会社から納付された初年度の利用許諾料が多額に上ったためである。一方、毎年度経常的に当期損失金が発生しているのは、開発費償却等に見合う収益が得られていないためである。
 この結果、累積欠損金は逐年増加し続け、元年度の65億余円から12年度にはその2.4倍の160億余円に増加している。資本金は、7年度以降197億余円で、現時点ではまだ累積欠損金を上回っているが、今後、少なくとも開発費の償却費等を賄うに足る利用許諾料、プログラム普及収入が発生しないと、産投会計出資金の回収にも影響が生じてくることとなる(グラフ3)。

情報処理振興事業協会の図3

情報処理振興事業協会の図4

 (3) 地域事業推進業務勘定

 地域ソフトウェアセンターで使用される研修用ソフトウェアの開発等に必要な事業資金は、産投会計出資金、雇用・能力開発機構からの助成金、プログラム普及収入等で賄われていた。
 出資金については、開発したソフトウェアの普及収入により剰余金が発生すれば、出資額に応じた配当で国庫納付などにより回収されることとなる。

(事業の概要等)

 同協会及び地方公共団体が全国で出資設立している地域ソフトウェアセンター(第3セクター。以下「センター」という。)では、地域におけるソフトウェアの供給を向上させるため、高度なソフトウェア開発能力を有する人材の育成と開発環境整備を推進してきた。同協会の地域事業推進業務勘定においては、平成元年度からセンターの事業を支援・推進するため、センター等で使用する人材研修用教材の開発及び提供、センターへの運営上の指導・助言等を行ってきた。
 なお、出資金の受入れについては、当該勘定に係る法律の廃止に伴って、10年度が最後となっており、現在この勘定は管理勘定となっている。

(出資金等の推移)

 資本金の推移についてみると、2年度から5年度まで及び7年度から10年度まで追加出資を受け入れ、12年度末現在における資本金は17億余円で、元年度末における資本金4億円の4.37倍となっている(グラフ5)。
 損益の推移についてみると、ソフトウェア開発費や開発償却費を含む地域事業推進業務費は、元年度から10年度にかけて1億余円から6億円に増加し続け、10年度にソフトウェア開発事業が一段落したため、11年度の業務費は3億余円に減少した。一方、収益の柱であるプログラム普及収入は、2年度から6年度にかけて順調に増加してきており、その後は11年度まで2億5千万円前後で推移している。雇用・能力開発機構助成金収入は、2億7千万円前後で推移してきた(グラフ6)。

(欠損金等の状況)

 当期損失金の推移についてみると、毎年度、当期損失金が発生しており、利益が発生した年度はない。当期損失金のピークは8年度の1億余円で、12年度は41百万余円に低下している。毎年度経常的に当期損失金が発生しているのは、ソフトウェア開発費や開発費償却等の費用に見合う収益が発生していないためである。
 この結果、累積欠損金は、元年度の3百万余円から12年度には251倍の9億余円に増加している。12年度末現在における資本金17億余円に比べると、累積欠損金は2分の1程度にすぎないが、今後、少なくともプログラム譲渡原価及び開発償却費等を賄うに足るプログラム普及収入等が得られないと、産投会計出資金の回収にも影響が生じてくる(グラフ5)。

情報処理振興事業協会の図5

情報処理振興事業協会の図6