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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (4) 財投機関の資金調達構造の変化と収支改善の状況|
  • ア 最近12年間における財務構造の変化

内部資金の変化


〔2〕内部資金の変化

 財投機関の事業資産や貸付金に投入されていて、まだ回収されていない資金は、外部資金とそれ以外の内部資金とに分けられる。外部資金は、各種の負債から成り、元利償還が必要な資金である。内部資金は、出資金及び蓄積された利益を源泉とするものであり、現に国庫に納付しあるいは利益処分により配当している法人を除くと、一般に事業を継続する限り返済の不要な資金である。この内部資金の財源構成に占める比率は、事業の採算性が向上して特別法上の引当金等及び剰余金を積み立てたり、あるいは出資等の財政負担が行われて、資本金や資産見返勘定が増加したりすることによって高まる。
 したがって、収益性の状況や出資等による財政負担の状況は、財源構成に占める内部資金の比率の変化として現れる。56勘定について元年度末と12年度末の負債・資本合計に占める各項目の財源構成の変化をみると、表15のとおりである。なお、実質的に長期負債に相当する割賦元金や長期前受金は長期負債に加えている。また、実際に資金投入が行われているわけではない保証債務は負債・資本合計から控除して比率を計算している法人がある。
 56勘定全体としてみると、外部資金である長期負債は、元年度末の85.15%から12年度末の82.66%に減少し、資本金及び内部留保からなる内部資金がその分増加している。
 長期負債の構成比が高まっているものは20勘定、減少しているものは26勘定となっている。長期負債の減少したもののうち資本金の構成比が高まっているものは19勘定である。また、元年度も12年度も長期負債がゼロのものは9勘定、元年度に設置されていないものが1勘定となっている。
 一方、内部資金の内訳をみると、資本金は5.43%から7.32%へ、特別法上の引当金等は2.37%から4.59%へ、資産見返勘定は0.72%から1.64%へそれぞれ増加し、剰余金は0.30%からマイナス0.36%へと減少している。資本金と資産見返勘定等が増加しているのは、財政資金の投入がなされたためと考えられる。
 内部資金の変化と長期負債の関係をみると、長期負債の減少分2.49ポイントに対して、内部資金全体の増加は、主に財政資金の投入を背景とする増加分2.81ポイント(資本金1.89、資産見返勘定0.92)、事業収益を源泉とする特別法上の引当金等の増加分2.22ポイント、欠損金の増加分0.66ポイント、計4.37ポイントとなっている。また、内部資金の増加分と長期負債の減少分との差は、表中の項目以外の流動負債等の減少分1.88ポイントとなっている。
 資本金は、特に研究開発法人で大きく変化している。例えば、通信・放送機構(衛星所有勘定)では98.78%から238.54%へ、情報処理振興事業協会(技術事業勘定)では114.56%から413.35%へ変化している。
 12年度末において財源に占める資本金の割合が1%以下のものは11勘定で、水資源開発公団、緑資源公団(林道勘定、農用地整備勘定)、日本下水道事業団(建設業務勘定)、住宅金融公庫、労働福祉事業団(融資勘定)、社会福祉・医療事業団(一般勘定のうちの一般経理)、日本育英会(特別勘定)、雇用・能力開発機構(雇用促進融資勘定、勤労者財産形成促進事業勘定)、公営企業金融公庫である。
 12年度末において財源に占める資本金の割合が100%を超えているものは、欠損金を抱える勘定のうちの7勘定で、通信・放送機構(研究開発出資勘定、衛星所有勘定)、中小企業総合事業団信用保険部門(中小企業信用保険事業・融資事業)、科学技術振興事業団(文献情報提供勘定)、情報処理振興事業協会(振興業務勘定、技術事業勘定、地域事業推進業務勘定)である。
 次に、12年度に欠損金が資本金を上回っている債務超過のものは3勘定(勘定に資本金の置かれていないものを除く。)で、本州四国連絡橋公団、都市基盤整備公団(鉄道勘定)、雇用・能力開発機構(勤労者財産形成促進事業勘定)である。
 上記3勘定を含めて、欠損金を計上している勘定は、元年度の11勘定から12年度は22勘定に増加している。
 前項と同じく、日本道路公団の場合をみると、事業資産の減価償却を行っていないため、事業資産に対する外部資金の比率が年々低下し、特別法上の引当金等である償還準備金の比率が高まっている。

表15 財源構成の状況(負債・資本合計に占める割合) (単位:%)
勘定名 元年度末 12年度末
長期
負債
特別法
上の引
当金等
資産見
返勘定
資本金 剰余金
(欠損金)
長期
負債
特別法
上の引
当金等
資産見
返勘定
資本金 剰余金
(欠損金)
日本道路公団 80.36 13.99 0.01 3.51 0.10 97.99 68.27 25.02 0.37 5.04 0.08 98.79
首都高速道路公団 67.61 21.51 2.07 6.58 0.05 97.85 69.75 19.68 0.87 8.74 0.00 99.07
阪神高速道路公団 75.09 14.91 1.09 6.55 97.65 75.11 7.97 5.90 9.69 98.69
本州四国連絡橋公団 84.00 0.04 16.78 6.54 -8.37 99.00 96.02 0.28 8.76 19.11 -24.94 99.24
新東京国際空港公団 65.98 0.57 29.07 -0.98 94.65 59.90 0.71 0.22 32.67 -0.58 92.93
関西国際空港株式会社 62.48 33.55 -0.27 95.76 65.33 37.02 -10.81 91.54
都市基盤整備公団(鉄道勘定) 151.62 10.05 -65.96 95.71 173.89 11.93 -89.67 96.14
帝都高速度交通営団 80.33 6.00 2.45 88.79 73.73 4.45 2.68 80.87
都市基盤整備公団(都市基盤整備勘定) 87.01 2.26 0.89 0.00 90.16 87.62 1.43 3.90 -0.07 92.89
地域振興整備公団(地方都市開発整備等事業勘定) 84.83 1.30 1.99 88.13 90.35 4.67 2.35 97.39
地域振興整備公団(工業再配置等事業勘定) 60.55 5.41 10.84 76.81 61.07 8.01 22.34 91.43
地域振興整備公団(産炭地域振興事業勘定) 44.92 6.18 0.75 31.51 5.23 88.60 41.53 4.67 2.44 40.19 6.68 95.53
水資源開発公団 78.20 18.14 0.06 0.76 97.17 45.84 50.38 0.05 1.00 97.28
緑資源公団(林道勘定) 97.72 0.81 98.53 98.67 0.20 98.87
緑資源公団(農用地整備勘定) 91.69 0.55 1.81 94.06 93.43 0.45 1.81 95.70
日本鉄道建設公団(一般勘定) 66.81 0.10 3.32 4.77 0.01 75.03 58.31 0.07 25.46 1.13 2.99 87.98
環境事業団(一般業務勘定) 94.86 0.01 0.11 0.00 94.99 96.62 0.00 0.01 1.59 0.00 98.24
運輸施設整備事業団(船舶勘定) 98.80 0.76 99.57 95.81 3.07 98.89
日本下水道事業団(建設業務勘定) 76.47 14.18 1.36 92.02 73.50 45.00 -19.27 99.23
電源開発株式会社 89.58 0.02 4.92 0.99 95.52 86.89 0.01 2.99 2.34 92.25
石油公団(石油備蓄勘定) 82.07 0.87 0.01 11.62 94.58 85.12 0.87 0.01 13.98 99.99
金属鉱業事業団(一般勘定) 63.53 0.61 0.15 24.93 0.00 89.23 61.07 0.10 0.67 35.36 -1.35 95.87
緑資源公団(造林勘定) 34.67 63.94 0.49 99.11 25.31 73.87 0.28 99.47
国民生活金融公庫 94.66 0.52 95.18 96.14 2.92 0.00 99.07
住宅金融公庫 98.04 0.25 1.39 99.69 98.59 0.21 0.19 99.00
農林漁業金融公庫 94.64 3.04 97.69 88.11 7.53 95.65
中小企業金融公庫 92.87 1.01 93.88 93.64 5.33 98.97
沖縄振興開発金融公庫 92.47 2.89 0.11 95.48 91.21 3.53 0.08 94.83
国際協力銀行(海外経済協力勘定) 57.08 43.81 -1.17 99.72 43.67 54.50 1.65 99.83
労働福祉事業団(融資勘定) 99.46 0.53 100.00 98.20 1.40 99.60
社会福祉・医療事業団(一般勘定のうちの一般経理) 86.17 0.00 9.35 0.00 95.52 94.97 0.03 0.43 0.00 95.45
日本育英会(特別勘定) 99.84 0.04 99.88 99.38 0.55 0.05 99.99
雇用・能力開発機構(雇用促進融資勘定) 96.80 2.15 98.95 99.63 -0.35 99.28
雇用・能力開発機構(勤労者財産形成促進事業勘定) 94.12 0.00 1.22 1.28 96.64 102.90 0.24 -5.31 97.82
公営企業金融公庫 94.09 0.18 0.12 94.40 89.55 5.12 0.06 94.74
日本政策投資銀行 88.93 2.81 0.37 92.12 87.61 5.60 -0.07 93.14
国際協力銀行(国際金融等勘定のうちの一般勘定) 77.64 16.31 93.96 81.43 8.53 0.70 90.68
日本私立学校振興・共済事業団(助成勘定のうちの一般経理) 93.38 6.15 0.17 99.71 92.83 6.71 0.14 99.69
中小企業総合事業団(高度化、新事業開拓促進及び指導研修勘定のうちの高度化融資経理) 16.56 74.04 9.11 99.72 12.54 84.85 2.26 99.67
奄美群島振興開発基金(融資出資勘定) 70.10 32.05 -3.33 98.82 40.61 59.57 -1.10 99.08
商工組合中央金庫 70.58 1.92 0.47 72.98 73.21 0.00 3.52 0.64 77.38
基盤技術研究促進センター 23.93 0.18 75,86 99.98 7.39 0.14 99.68 -7.83 99.38
医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(研究振興勘定) 15.10 83.37 1.35 99.83 4.96 0.37 93.79 0.46 99.59
生物系特定産業技術研究推進機構(民間研究促進業務勘定) 36.55 0.10 63.07 99.73 15.26 0.26 85.04 -0.70 99.87
情報処理振興事業協会(地域事業出資業務勘定)− 100.00 100.00 100.00 100.00
通信・放送機構(研究開発出資勘定) 109.63 -9.65 99.97
新エネルギー・産業技術総合開発機構(産業技術研究基盤出資勘定) 83.40 15,91 99.32 90.38 9.59 99.98
中小企業総合事業団信用保険部門(中小企業信用保険事業・融資事業 71.78 71.78 117.82 -25.06 92.75
奄美群島振興開発基金(保証勘定) 58.69 15.54 74.23 89.55 -10.96 78.58
産業基盤整備基金(出資特別勘定) 91.92 8.07 100.00 96.34 3.65 100.00
科学技術振興事業団(文献情報提供勘定) 192.37 -100.94 91.43 267.27 -175.69 91.58
国際協力事業団 3.13 75.91 -3.18 75.86 2.27 79.75 -3.06 78.97
通信・放送機構(衛生所有勘定) 98.78 98.78 238.54 -138.61 99.93
情報処理振興事業協会(振興業務勘定) 5.16 2.31 134.25 -43.51 98.21 0.01 0.64 119.50 -30.75 89.41
情報処理振興事業協会(技術事業勘定) 20.67 114.56 -42.82 92.41 413.35 -336.30 77.05
情報処理振興事業協会(地域事業推進業務勘定) 10.41 2.81 86.76 -0.86 99.13 0.80 156.25 -83.12 73.92
合計 85.15 2.37 0.72 5.43 0.30 93.99 82.66 4.59 1.64 7.32 -0.36 95.87
元年度との差 -2.49 2.22 0.92 1.89 -0.66 1.88
注(1) 本表は法人の財務諸表に基づいて作成している。
各欄は小数第2位未満を切り捨てているので、各欄の合計と計欄の数値とは符合しないものがある。
また、計欄は、表中の項目だけの計であるので、合計しても100%にはならない。
注(2) 剰余金(欠損金)は、繰越利益金(損失金)と当期発生分を加えたものである。