財投機関の一部には、民間企業では負うことのできない高いリスクを引き受けているため欠損金が累積し、あるいは初期投資段階の創業赤字から脱しきれないものが見受けられる。これらのうちには、従来の事業スキーム、財政負担の枠組みでは早期の解決が容易でないものもあり、損失の累積によって債務の累増と財政負担の拡大が懸念されたことなどから、国の関与の下で、これまでに次のような措置が執られている。
事業収支にプール制を採用する事業の中には、長期間にわたって事業計画どおりの事業収入が得られず、償還準備金も蓄積されていないため、資金繰りが悪化しているものがある。
このため、当初の事業計画で見込まれていた償還期間を改定延長したり、建設コストの負担軽減措置の範囲を拡大したりするなどの措置が講じられている。これに伴い、財政負担の範囲又は期間を一定程度拡大することも必要となっている。
十分な事業収入が得られない状況で、有利子負債が増加していくと、事業収入のほとんどが利払いに充てられ、債務が累増するおそれがある。
このため、既存投資の財源に充てられた有利子負債を無償資金に置き換え、支払利息の増加を抑制する措置が執られており、これに伴って、政府出資金の追加、無利子貸付金の交付が行われている。
無償資金型法人のうち研究開発事業に対する出資事業等を行う法人は、高いリスクの下で、国家的に重要とされる投資等を行ってきた。基盤技術研究促進センターは、産投会計に所属替えされた政府保有日本電信電話株式会社株式の配当金を主な原資とし、一部民間からも出資を受けて、先導的な基盤技術の研究を支援することとしてきた。
しかし、13年6月、基盤技術研究円滑化法の一部を改正する法律(平成13年法律第60号)が成立し、公布から2年以内の政令で定める日に解散することとされ、解散までの間は、既存事業を廃止し、事業の清算を極力実施することとなった。