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  • 平成13年|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 外務省|
  • 平成12年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

物品・役務調達契約について


(1) 物品・役務調達契約について

(平成12年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 外務省では、物品・役務の調達に当たっては、予算の範囲内で予定する調達内容や契約方式等を記載した事前決裁書を作成し、これに見積書を添付して会計課長に送付し、当該調達の妥当性について会計課長の決裁を得ることになっている。
 そして、事前決裁書に対する会計課長の決裁を受けた後に、会計課が、事前決裁書の内容に基づいて、調達内容、契約方式、契約の相手方等を正式に決定し、契約の締結及び発注をすることとなっている。
 また、給付の確認については、会計課の職員を検査職員として任命し、契約内容の給付の完了を確認することとしている。
 この物品・役務調達契約について検査したところ、本来会計課が行うべき事務を事業を担当する課(以下「担当課」という。)が行っていたり、適切な契約方式によっていなかったり、十分な競争を確保しないまま安易に契約の相手方を選定したり、給付の確認を十分に行っていなかったりなどして、会計法令等に基づいた物品・役務調達契約の事務が適正に行われていない事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、外務省において、物品・役務調達契約の事務の執行に当たり、会計法令等を遵守するよう職員に対し徹底していなかったり、これらの事務を適正に執行する体制が整っていなかったりしていることなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 外務省において、物品・役務調達契約に際し、会計法令等を遵守して、透明性、公正性及び競争性を確保し、予算の適正な執行を図るよう、次のとおり、外務大臣に対し平成13年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
(ア) 物品・役務調達契約の事務の執行に当たっては、原則として、会計課においてその事務を行うこととし、各担当課が実質的に契約の内容等を決定しているなどの体制を抜本的に改めること
(イ) 契約の締結に当たっては、原則として競争に付することとし、やむを得ず随意契約による場合でも、その理由を具体的に明らかにした上で見積書を適切に徴すること
(ウ) 給付の確認に当たっては、これに必要な関係書類をそろえるとともに、任命を受けた職員が確実に実施する体制を整備すること

2 当局の処置状況

 外務省では、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を執っている。
 (イ)については、14年7月に会計課長名で各担当課長あてに、「物品・役務の調達の一元化について」を発し、契約の締結に当たっては、原則として競争に付することについて周知徹底を図った。そして、やむを得ず随意契約による場合でも、各担当課から会計課に提出される事前決裁書にその理由を具体的に明示することとし、会計課においてこれを厳格に審査することにした。また、見積書の徴取に際しては、会計課が見積先となる業者を選定して直接見積書を徴取することとした。
 (ウ)については、会計課において検査マニュアルを作成し、検査の実施に当たっては、契約の内容を確認するのに必要な書類を契約の相手方に求めることなどを検査職員に周知徹底した。また、国際会議開催やハイヤー借上げ等、役務が各担当課に直接提供される契約に係る給付の確認については、各担当課に行わせることとし、原則として各担当課の職員を検査職員に発令することとした。
 (ア)については、14年4月より順次会計課による物品・役務調達契約の事務の一元化を図っているところである。しかし、情報通信課(情報管理室を含む。)及び在外公館課が行う物品・役務調達契約の事務については、専門性、特殊性を必要とすることなどの理由から会計課においてその事務を行わず、各担当課が実質的に契約の内容等を決定している事態が一部においていまだに見受けられる状況となっている。そして、これら担当課が行う物品・役務調達契約の事務については、外務省において、本院の指摘及び上記物品・役務調達契約の事務の内容を踏まえ、引き続き検討を行っていくこととしている。