1 本院が表示した改善の意見
文部科学省(平成13年1月5日以前は文部省)では、国立大学の医学部等に附属する病院(以下「大学病院」という。)を設置しており、大学病院では、臨床医学の教育・研究を行うほか、保険医療機関として患者の診療を行っている。
大学病院における診療報酬の請求不足の事態については、6年度決算検査報告に掲記して以降継続的に検査を実施していたが、請求不足額は減少する傾向にあるものの、なお多額となっており、また、大学病院間でその額に相当の開差を生じていた。そこで、診療報酬請求に係る事務処理体制を改善できないかに着眼して、12大学病院間で比較するなどの方法により検査したところ、伝票の記載内容、コンピュータヘの入力内容及び特定保険医療材料の価格等が登録されたデータファイルの登録内容の審査体制並びに入院基本料加算に係る診療・料金算定部門間の連絡体制の整備が十分でないと認められる事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、診療報酬の内容が複雑になっていることなどにもよるが、各大学病院において、診療報酬請求に係る事務処理体制の整備についての検討が十分でなかったことなどによると認められた。
診療報酬請求に係る事務処理体制の整備が十分図られるよう、文部科学省において、参考となる多様な事例を各大学病院に示すなどして、各大学病院において、適切かつ有効な事務処理体制を検討させるため、より一層の指導を行うよう、文部科学大臣に対し13年11月に会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
2 当局が講じた改善の処置
文部科学省では、本院指摘の趣旨に沿い、14年3月及び8月に各大学病院長等に対して通知を発し、参考となる多様な事例を示すなどし、適切かつ有効な事務処理体制の整備を検討するよう指導する処置を講じた。また、前記の12大学病院では、適切かつ有効な事務処理体制が整備された。