会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)児童保護費 |
部局等の名称 | 北海道ほか11府県 |
国庫負担の根拠 | 児童福祉法(昭和22年法律第164号) |
補助事業者 (事業主体) |
市6、町19、計25市町 |
国庫負担対象事業 | 保育所運営事業 |
国庫負担対象事業の概要 | 保護者の労働や疾病等により保育に欠ける児童を保育所において保育するもの |
上記に対する国庫負担金交付額の合計 | 11,232,977,441円 | (平成12年度) |
不当と認める国庫負担金交付額 | 92,323,480円 | (平成12年度) |
1 負担金の概要
児童保護費等負担金(保育所運営費国庫負担金に係る分)は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、保護者の労働又は疾病等の事由により保育に欠ける児童を保育所において保育する場合に、その費用の一部を国が負担するものである。
そして、この負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。
この費用の額及び徴収金の額は、次のとおり算定することとなっている。
(ア) 費用の額は、〔1〕 保育所の所在地域、入所定員、児童の年齢等の別に児童1人当たり月額で定められている保育単価により算出した年間の額と、〔2〕 市町村が実際に児童の保育に要した額から寄附金を控除して得た額とを比較して少ない方の額による。
(イ) 徴収金の額は、児童の扶養義務者の前年分の所得税額又は前年度分の市町村民税の課税の有無等に応じて階層別に児童1人当たり月額で定められている徴収金基準額などから算出した年間の額による。
上記の徴収金基準額は、保育所徴収金基準額表(以下「基準額表」という。)により7階層に区分して定められているが、平成12年度に、所得税課税世帯を税額に応じて区分している第4階層から第7階層について、税額区分の改定が行われている。
2 検査の結果
北海道ほか23都府県の129事業主体について検査したところ、北海道ほか11府県の25事業主体では、基準額表が改定されているのに改定前の基準額表を用いていて児童の扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤ったり、扶養義務者の所得税額等を誤認したりなどして徴収金の額を過小に算定していたり、保育単価の適用を誤るなどして費用の額を過大に算定していたりしていた。
このため国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、国庫負担金92,323,480円が不当と認められる。
上記のうち徴収金の額を過小に算定していた事態について一例を示すと次のとおりである。
<事例> 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたもの
A事業主体では、平成12年度に、児童B(4歳)について、その扶養義務者である父母の11年分の所得税額が計65,500円であることから、基準額表の第4階層に該当するとして徴収金の額を324,000円と算定していた。しかし、A事業主体が用いた基準額表は11年度のものであり、改定された12年度の基準額表では、この所得税額に対応する階層は第5階層となる。そして、これにより計算すると徴収金の額は498,000円となり、差し引き174,000円過小となっていた。
これは、基準額表が改定されているのに、A事業主体で本件国庫負担金の算定事務に用いているコンピュータプログラムを修正していなかったことによるもので、同事業主体では、ほかに669人の児童についても同様に階層の適用を誤っており、上記児童Bの分を合わせて徴収金の額が計88,899,590円過小となっていた。
このような事態が生じていたのは、事業主体において,基準額表が改定されたことの認識が十分でなかったこと、徴収金の額及び費用の額の算定に当たっての調査確認が十分でなかったこと、また、道府県において適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを道府県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
道府県名 | 事業主体 | 年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(66) | 北海道 | 中川郡 幕別町 |
12 | 153,758 | 76,879 | 4,373 | 2,186 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたもの |
(67) | 岩手県 | 東磐井郡 千厩町 |
12 | 70,171 | 35,085 | 1,572 | 786 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(68) | 栃木県 | 芳賀郡 益子町 |
12 | 219,923 | 109,961 | 1,206 | 603 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(69) | 静岡県 | 藤枝市 | 12 | 337,235 | 168,617 | 2,669 | 1,334 | 同 |
(70) | 同 | 駿東郡 小山町 |
12 | 108,904 | 54,452 | 6,690 | 3,345 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたもの |
(71) | 同 | 磐田郡 豊田町 |
12 | 153,504 | 76,752 | 9,461 | 4,730 | 扶養義務者の所得税額等に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(72) | 滋賀県 | 犬上郡 甲良町 |
12 | 49,448 | 24,724 | 1,326 | 663 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(73) | 同 | 坂田郡米原町 | 12 | 100,439 | 50,219 | 3,203 | 1,601 | 同 |
(74) | 大阪府 | 大阪市 | 12 | 17,061,373 | 8,530,686 | 3,849 | 1,924 | 同 |
(75) | 同 | 高槻市 | 12 | 1,818,503 | 909,251 | 90,788 | 45,394 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(76) | 同 | 交野市 | 12 | 436,067 | 218,033 | 1,566 | 783 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(77) | 兵庫県 | 津名郡 五色町 |
12 | 106,289 | 53,144 | 2,090 | 1,045 | 扶養義務者の所得税額を誤認していたものなど |
(78) | 奈良県 | 生駒市 | 12 | 402,412 | 201,206 | 27,585 | 13,792 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(79) | 和歌山県 | 御坊市 | 12 | 245,238 | 122,619 | 1,956 | 978 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(80) | 同 | 那賀郡 桃山町 |
12 | 31,214 | 15,607 | 3,530 | 1,765 | 扶養義務者の所得税額に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(81) | 同 | 有田郡 広川町 |
12 | 85,175 | 42,587 | 5,057 | 2,528 | 扶養義務者の所得税額を誤認していたものなど |
(82) | 同 | 西牟婁郡 上富田町 |
12 | 104,828 | 52,414 | 4,667 | 2,333 | 扶養義務者の所得税額等に対応する階層の適用を誤っていたものなど |
(83) | 徳島県 | 勝浦郡 勝浦町 |
12 | 52,957 | 26,478 | 1,987 | 993 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(84) | 同 | 名西郡 石井町 |
12 | 217,993 | 108,996 | 2,878 | 1,439 | 扶養義務者の所得税額を誤認していたものなど |
(85) | 同 | 那賀郡 羽ノ浦町 |
12 | 144,524 | 72,262 | 1,164 | 582 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(86) | 同 | 板野郡 松茂町 |
12 | 142,815 | 71,407 | 1,172 | 586 | 同 |
(87) | 同 | 阿波郡 市場町 |
12 | 87,335 | 43,667 | 1,779 | 889 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたもの |
(88) | 長崎県 | 南高来郡 南串山町 |
12 | 151,000 | 75,500 | 1,335 | 667 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(89) | 宮崎県 | 児湯郡 木城町 |
12 | 96,690 | 48,345 | 1,255 | 627 | 扶養義務者の所得税額を誤認していたもの |
(90) | 同 | 東臼杵郡 北川町 |
12 | 88,147 | 44,073 | 1,479 | 739 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(66)-(90)の計 | 22,465,954 | 11,232,977 | 184,646 | 92,323 |