会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)生活保護費 |
部局等の名称 | 北海道ほか9都県 |
国庫負担の根拠 | 生活保護法(昭和25年法律第144号) |
補助事業者 (事業主体) |
市10、特別区3、計13市区 |
国庫負担対象事業 | 生活保護事業 |
国庫負担対象事業の概要 | 生活に困窮する者に対し最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行うもの |
上記に対する国庫負担金交付額の合計 | 307,769,728円 |
不当と認める国庫負担金交付額 | 100,185,715円 |
1 負担金の概要
生活保護費負担金(昭和61年度以前は「生活保護費補助金」)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、生活に困窮する者に対し、最低限度の生活を保障するため、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う場合に、その費用の一部を国が負担するものである。この保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としている。
そして、この負担金の各事業主体に対する交付額は、次により算定することとなっている。
この費用の額及び返還金等の額は、それぞれ次により算定することとなっている。
(ア) 費用の額は、次の〔1〕及び〔2〕に〔3〕を加えて算定する。
〔1〕 保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、その所在地域、構成員の数、年齢等の別に応じて算定される生活費の額から、被保護世帯における就労収入、年金受給額等を基に収入として認定される額を控除して決定された保護費の額の合計額
〔2〕 被保護者が医療機関で診察、治療等の診療を受けるなどの場合の費用(診療報酬等)について、その全額又は一部を事業主体が負担するものとして決定された保護費の額の合計額
〔3〕 事業主体の事務経費
(イ) 返還金等の額は、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた者が、資産を売却するなどして収入を得たときに返還した保護費の額等の合計額とする。
2 検査の結果
生活保護は、生活に困窮するすべての者に対しひとしく最低限度の生活を保障する制度であり、公正な運営が強く求められていることから、事業主体において、収入の認定等が適切に行われ保護が適正なものとなっているかに着眼して、北海道ほか26都府県の111事業主体について検査した。
検査したところ、北海道ほか9都県の釧路市ほか12事業主体では、次のとおり、保護費の支給が適正でなかったため、国庫負担金100,185,715円が過大に交付されていて不当と認められる。
(ア) 被保護者が就労して収入を得ていたり、年金を受給していたり、一時金収入を得ていたりしているのに、被保護世帯から事実と相違した届出がなされ、これにより収入を実際の額より過小に認定するなどして保護費の額を決定していた。
(イ) 被保護者に健康保険の適用があるのにないとして、同人に係る診療報酬等の全額を負担することとして保護費の額を決定していた。
このような事態が生じていたのは、被保護世帯において事実と相違した届出を行っているのに事業主体において収入の認定等に当たっての調査確認が十分でなかったこと、都道県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを都道県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
都道県名 | 事業主体 | 年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(93) | 北海道 | 釧路市 | 平成5〜13 | 183,471 | 137,603 | 47,143 | 35,357 | 年金収入を過小に認定していたものなど |
(94) | 福島県 | 須賀川市 | 平成6〜8 | 3,055 | 2,291 | 2,767 | 2,075 | 診療報酬等の負担額を過大に認定していたもの |
(95) | 埼玉県 | 深谷市 | 平成6〜13 | 33,929 | 25,446 | 17,717 | 13,287 | 就労収入を認定していなかったものなど |
(96) | 同 | さいたま市 | 平成5〜13 | 36,051 | 27,038 | 4,644 | 3,483 | 就労収入を過小に認定していたものなど |
(97) | 千葉県 | 船橋市 | 昭和60〜平成13 | 26,653 | 19,864 | 10,792 | 8,007 | 一時金収入を認定していなかったものなど |
(98) | 東京都 | 大田区 | 平成10〜13 | 11,358 | 8,518 | 7,728 | 5,796 | 就労収入を認定していなかったものなど |
(99) | 同 | 中野区 | 平成5〜13 | 14,660 | 10,995 | 4,248 | 3,186 | 年金収入を過小に認定していたもの |
(100) | 同 | 板橋区 | 平成9〜13 | 19,159 | 14,369 | 5,845 | 4,384 | 年金収入を過小に認定していたものなど |
(101) | 静岡県 | 伊東市 | 平成11〜14 | 4,902 | 3,676 | 4,754 | 3,566 | 就労収入を過小に認定していたもの |
(102) | 愛知県 | 豊橋市 | 平成4〜13 | 18,495 | 13,871 | 4,695 | 3,521 | 一時金収入を認定していなかったもの |
(103) | 奈良県 | 奈良市 | 平成2〜13 | 40,000 | 30,000 | 8,508 | 6,381 | 就労収入を過小に認定していたものなど |
(104) | 岡山県 | 岡山市 | 平成8〜14 | 12,719 | 9,539 | 11,140 | 8,355 | 就労収入を過小に認定していたもの |
(105) | 広島県 | 広島市 | 平成10〜13 | 6,070 | 4,552 | 3,709 | 2,781 | 年金収入を認定していなかったものなど |
(93)-(105)の計 | 410,526 | 307,769 | 133,696 | 100,185 |