会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)国民健康保険助成費 |
部局等の名称 | 厚生労働本省(交付決定庁)(平成13年1月5日以前は厚生本省) 岩手県ほか3府県(支出庁) |
交付の根拠 | 国民健康保険法(昭和33年法律第192号) |
交付先 | 市2、町3、計5市町(保険者) |
療養給付費負担金の概要 | 市町村等の国民健康保険事業運営の安定化を図るために交付するもの |
上記に対する国庫負担金交付額の合計 | 13,474,972,184円 | (平成9年度〜12年度) |
不当と認める国庫負担金交付額 | 22,864,520円 | (平成9年度〜12年度) |
1 負担金の概要
国民健康保険は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)等が保険者となって、被用者保険の被保険者及びその被扶養者等を除き、当該市町村の区域内に住所を有する者等を被保険者として、その疾病、負傷、出産又は死亡に関し、療養の給付、出産育児一時金の支給、葬祭費の支給等の給付を行う保険である。
国民健康保険については各種の国庫助成が行われており、その一つとして、市町村が行う国民健康保険事業運営の安定化を図るため、療養給付費負担金(以下「国庫負担金」という。)が交付されている。
市町村の国民健康保険の被保険者は、一般被保険者と退職被保険者(注1)
及びその被扶養者(以下「退職被保険者等」という。)とに区分されている。
このうち一般被保険者に係る医療費については、老人保健法(昭和57年法律第80号)による医療を受けることができる者に係る医療費(被用者保険の保険者等が拠出する老人保健医療費拠出金等で負担)を除き、国庫負担金の交付の対象とされている。
一方、退職被保険者等に係る医療費については、国庫負担金の交付の対象とはせずに、被用者保険の保険者が拠出する療養給付費交付金等で負担されている。
毎年度の国庫負担金の交付額は、「国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令」(昭和34年政令第41号)等により、次により算定することとなっている。
このうち一般被保険者に係る医療給付費は、療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額及び入院時食事療養費、高額療養費等の支給に要する費用の額の合算額であり、その算定については、次のとおり行うものとされている。
(ア) 一部負担金に相当する額は、療養の給付に要する費用の額に10分の3を乗じて得た額及び薬剤の支給に係る所定の額とする。
(イ) 国民健康保険の被保険者の資格を取得している者が、退職被保険者となるのは、当該被保険者の年金受給権を取得した日(ただし、年金受給権の取得年月日が国民健康保険の資格取得年月日以前の場合は国民健康保険の資格取得年月日。以下「退職者該当年月日」という。)とされている。そして、当該年度において、退職被保険者等の資格が遡って発生することが確認された場合は、一般被保険者の医療給付費から、退職者該当年月日以降に一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費を控除して計算する。
(ウ) 都道府県又は市町村が、国の負担金等の交付を受けずに自らの負担で、年齢その他の事由により被保険者の全部又は一部について、その一部負担金に相当する額の全部又は一部を、当該被保険者に代わり保険医療機関等に支払うこととしている措置(以下「負担軽減措置」という。)を講じている場合がある。この負担軽減措置の対象者の延べ人数が一定の規模以上の場合には、負担軽減措置の対象となる医療給付費に、被保険者の負担の軽減の度合いに応じた所定の率を乗じて減額調整(注3)
を行う。
国庫負担金の交付手続については、〔1〕交付を受けようとする市町村は都道府県に交付申請書を提出し、〔2〕これを受理した都道府県は、その内容を添付書類により、また必要に応じて現地調査を行うことにより審査の上、厚生労働省に提出し、〔3〕厚生労働省はこれに基づき交付決定を行い国庫負担金を交付することとなっている。
そして、〔4〕当該年度の終了後に、市町村は都道府県に実績報告書を提出し、〔5〕これを受理した都道府県は、その内容を審査の上、厚生労働省に提出し、〔6〕厚生労働省はこれに基づき交付額の確定を行うこととなっている。
2 検査の結果
北海道ほか27都府県の310市区町村において、国庫負担金の交付について検査した結果、岩手県ほか3府県の5市町において、国庫負担金交付額計13,474,972,184円のうち計22,864,520円が過大に交付されていて不当と認められる。
これを態様別に示すと次のとおりである。
(1) 遡及して退職被保険者等となった者に係る遡及期間の医療給付費を控除していないもの | |
2町 | 13,884,326円 |
(2) 負担軽減措置の対象となっている医療給付費について減額調整を行っていないもの | |
2市 | 5,137,652円 |
(3) 一般被保険者に係る医療給付費の算定において、その計算を誤っているもの | |
1町 | 3,842,542円 |
このような事態が生じていたのは、上記の5市町において制度の理解が十分でなかったり事務処理が適切でなかったりしたため、適正な交付申請及び実績報告を行っていなかったこと及びこれに対する岩手県ほか3府県の審査が十分でなかったことによると認められる。
これを府県別・交付先(保険者)別に示すと次のとおりである。
府県名 | 交付先 (保険者) |
年度 | 国庫負担対象費用額 | 左に対する国庫負担金 | 不当と認める国庫負担対象費用額 | 不当と認める国庫負担金 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||
(1) 遡及して退職被保険者等となった者に係る遡及期間の医療給付費を控除していないもの | |||||||
(129) | 岩手県 | 稗貫郡 大迫町 |
12 | 243,319 | 97,327 | 23,053 | 9,221 |
(130) | 同 | 和賀郡 東和町 |
12 | 370,174 | 148,069 | 11,657 | 4,662 |
(1)の計 | 613,494 | 245,397 | 34,710 | 13,884 | |||
上記の2町では、国庫負担金の交付申請等に当たり、一般被保険者に係る医療給付費の算定において、遡及して退職被保険者等の資格を取得した者の一部しか、退職者該当年月日以降に一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費を控除しておらず、その結果、国庫負担対象費用額が過大に算定されていた。 | |||||||
したがって、適正な国庫負担対象費用額に基づいて国庫負担金の交付額を算定すると、計231,513,377円となり、計13,884,326円が過大に交付されていた。 | |||||||
(2) 負担軽減措置の対象となっている医療給付費について減額調整を行っていないもの | |||||||
(131) | 山形県 | 山形市 | 11 | 6,083,983 | 2,426,396 | 9,438 | 3,775 |
(132) | 大阪府 | 堺市 | 12 | 24,487,177 | 9,772,675 | 3,405 | 1,362 |
(2)の計 | 30,571,161 | 12,199,071 | 12,844 | 5,137 | |||
上記の2市では、国庫負担金の交付申請等に当たり、一般被保険者に係る医療給付費の算定において、負担軽減措置の対象となっている医療給付費の一部について減額調整を行っておらず、その結果、国庫負担対象費用額が過大に算定されていた。 | |||||||
したがって、適正な国庫負担対象費用額に基づいて国庫負担金の交付額を算定すると、計12,193,933,776円となり、計5,137,652円が過大に交付されていた。 | |||||||
(3) 一般被保険者に係る医療給付費の算定において、その計算を誤っているもの | |||||||
(133) | 香川県 | 大川郡 大内町 |
9〜12 | 2,577,361 | 1,030,503 | 9,606 | 3,842 |
大内町では、国庫負担金の交付申請等に当たり、一般被保険者に係る医療給付費の算定において、基礎資料からの集計を誤ったため、療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額を過大に計算するなどしており、その結果、国庫負担対象費用額が過大に算定されていた。 | |||||||
したがって、適正な国庫負担対象費用額に基づいて国庫負担金の交付額を算定すると、計1,026,660,511円となり、計3,842,542円が過大に交付されていた。 | |||||||
(1)〜(3)の計 | 33,762,016 | 13,474,972 | 57,161 | 22,864 |