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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

地域ベンチャー中小企業等商品化・新事業可能性調査事業の実施に当たり、補助の対象となる機械装置等の購入限度額を明確にするよう改善させたもの


(1) 地域ベンチャー中小企業等商品化・新事業可能性調査事業の実施に当たり、補助の対象となる機械装置等の購入限度額を明確にするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)経済産業省 (項)地域経済活性化対策費
平成12年度以前は、
 (組織)通商産業省 (項)通商産業本省
部局等の名称 経済産業本省、関東、中部、近畿、中国、四国、九州各経済産業局、内閣府沖縄総合事務局(平成13年1月5日以前は通商産業本省、関東、中部、近畿、中国、四国、九州各通商産業局、沖縄開発庁沖縄総合事務局)
補助の根拠 予算補助
補助事業者 京都府ほか9県
間接補助事業者
(事業主体)
京都府ほか9県の10中核的支援機関
補助事業 地域ベンチャー中小企業等商品化・新事業可能性調査事業
補助事業の概要 地域における新事業創出促進のため、活用されていない技術等の事業化の実現可能性等について委託して調査を行うもの
事業費 6億0248万余円 (平成11年度〜13年度)
上記に対する国庫補助金交付額 3億0074万余円  
補助の対象とならない機械装置等の購入費 9565万余円 (平成11年度〜13年度)
上記に対する国庫補助金相当額 4712万円  

 

1 事業の概要

(地域新産業創出総合支援事業の概要)

 経済産業省(平成13年1月5日以前は通商産業省)では、地域における新しい事業の創出を促進するため、地域新産業創出総合支援事業費補助金交付要綱(注1) (平成12年平成12・03・14立第3号。以下「交付要綱等」という。)に基づき、地域新産業創出総合支援事業(以下「支援事業」という。)を実施する中小企業振興公社等の中核的支援機関に対し、都道府県等が補助する場合に、これに要する費用の一部として補助金を交付している。
 この支援事業は、地域の産業資源を有効に活用して地域産業の自立的発展を促進する環境を整備するもので、地域起業化・新事業資源発掘事業、地域ベンチャー中小企業等商品化・新事業可能性調査事業(注2) (以下「可能性調査事業」という。)等の事業がある。

(可能性調査事業の概要)

 同省では、上記支援事業のうち可能性調査事業は、地域において蓄積されたまま活用されていない技術、研究成果について、市場の需要動向、商品の販路開拓の方法等を調査するなどして、商品化、事業化の実現可能性等を調査するソフト事業であって、新たな技術の研究開発のように高額な機械装置等を購入して実施するものではないとしている。
 この事業の実施に当たっては、中核的支援機関は、新事業創出のための支援を行っている中小企業支援センター、大学、企業等に委託して行っている。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 可能性調査事業は、既にある活用されていない技術等を事業化できるかなどの実現可能性等について委託して調査を行うものであることから、委託により実施された事業の内容がその目的に沿ったものになっているかなどに着眼して検査を実施した。

(検査の対象)

 北海道ほか17府県及び京都市ほか1市(注3) の20中核的支援機関が11年度から13年度までの間に実施した可能性調査事業(事業費9億4097万余円、国庫補助金4億6998万余円)を対象に検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、上記のうち京都府ほか9県(注4) の10中核的支援機関が実施した可能性調査事業(事業費6億0248万余円、国庫補助金3億0074万余円)において、次のような事態が見受けられた。
 上記の10中核的支援機関が大学、企業等に委託した可能性調査事業の内容についてみると、技術等を商品化、事業化することの可能性等の調査だけではなく、機会装置等を購入して技術等の研究開発を行うことを委託内容に含むものが多数見受けられた。そして、これらの中には、50万円以上の高額な機械装置等を購入して研究開発を行うなどしているものがあり、このために購入した50万円以上の機械装置等は計72点で、購入費9565万余円、これに対する国庫補助金相当額4712万余円となっていた。
 しかし、可能性調査事業は、地域に蓄積されたままとなっている技術等の活用を図るためのソフト事業であり、高額な機械装置等を購入することなく実施できるものである。
 したがって、上記のように、可能性調査事業の目的を逸脱した研究開発を含む事業を実施するための高額な機械装置等の購入費について補助の対象としているのは適切とは認められず、改善の要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、同省において、交付要綱等で、可能性調査事業の補助の対象となる機械装置等の購入限度額を明確に定めていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、経済産業省では、14年10月に交付要綱等を改正し、可能性調査事業の補助の対象となる機械装置等の購入限度額を明確にし、一定額以上の機械装置等の購入費については補助の対象としないこととする処置を講じた。

(注1)  平成11年度については地域産業総合支援事業費補助金交付要綱(平成11年平成11・05・26立第1号)。14年度については中小企業経営資源強化対策費等補助金交付要綱(平成14年平成14・03・25財中第3号)及び中小企業経営資源強化対策費補助金実施要領(平成14年平成14・03・25財中第4号)
(注2)  平成11年度については商品化・事業化可能性調査事業。14年度については新事業推進企画・調査事業等
(注3) 北海道ほか17府県及び京都市ほか1市 北海道、京都府、千葉、神奈川、静岡、山梨、三重、石川、鳥取、広島、徳島、高知、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄各県、京都、大阪両市
(注4) 京都府ほか9県 京都府、千葉、石川、広島、徳島、高知、福岡、長崎、熊本、沖縄各県