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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

道路管理データベースシステムのデータ更新業務を経済的なものとするよう改善させたもの


(1) 道路管理データベースシステムのデータ更新業務を経済的なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 道路整備特別会計  (項)道路事業費
 (項)北海道道路事業費
 (項)沖縄道路事業費
 (項)道路環境整備事業費
 (項)北海道道路環境整備事業費
 (項)沖縄道路環境整備事業費
部局等の名称 東北地方整備局ほか4地方整備局、北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局
業務の概要 道路施設の諸元や図面等を提供する道路管理データベースシステムのデータを更新するため、データの収集、データシートの作成等の作業を行うもの
データ更新業務に係る業務費 8億7781万余円 (平成13年度)
節減できた業務費 4010万円 (平成13年度)

1 業務の概要

(システムの概要)

 国土交通省では、道路法(昭和27年法律第180号)の規定に基づき、全国の一般国道のうち法令によって指定された区間について、各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局(以下、これらを合わせて「地方整備局等」という。)管内の工事事務所等(以下「事務所」という。)及び出張所等において、維持、修繕、災害復旧その他の管理(以下「道路管理」という。)を行っている。
 道路管理を行うに当たっては、橋りょう、トンネル、道路標識等の施設(以下「道路施設」という。)の諸元に係る文字・数値データや図面及び写真の画像データを迅速に把握する必要がある。このため、国土交通省では、全国的に統一した基本仕様により、これらのデータを電子情報化し、データを瞬時に検索できるようにした道路管理データベースシステム(以下「システム」という。)を整備しており、昭和63年度から各事務所に順次導入してきている。

(業務の内容)

 システムは、その検索・加工編集機能を活用して質の高い道路管理を行うために導入されているものであるが、そのためにはシステムに蓄積されているデータが常に最新のものに更新されている必要がある。そこで、国土交通省では、道路施設の新設工事等により必要となるデータの更新業務を外部に委託するなどして常時実施しており、その業務の主な内容は次のとおりとなっている。
(ア) 基礎データの収集
 データ更新の対象となる工事について、データシートの作成のために必要な工事完成図書等の資料を収集し、整理する。
(イ) データシートの作成
 収集した資料からデータ更新に必要となる道路施設の諸元や図面、写真等を抽出し、所定の書式によりデータシートを作成する。
(ウ) データの入力
 データシートから道路施設の諸元を入力したり、図面及び写真をスキャナーで取り込んだりして、これらのデータをフロッピーディスク等に記憶させる。
(エ) データの審査
 道路施設の諸元や図面等が正確に入力されているか、関連する道路施設のデータと整合性が保たれているかなどを総合的に審査する。
(オ) データの更新
 審査後の最新データを取りまとめて、事務所のサーバに蓄積されているデータの更新を行う。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 システムは全国的に統一した基本仕様により整備されているが、各事務所におけるデータ更新業務に係る費用が毎年度多額に上っており、これらの業務が経済的、効率的に実施されているかという点に着眼して検査した。

(検査の対象)

 東北地方整備局ほか9地方整備局等(注1) 管内の岩手工事事務所ほか26事務所(注2) が、平成13年度に実施したデータ更新業務に係る業務費(総額11億7066万余円)を対象として検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、東北地方整備局ほか6地方整備局等(注3) 管内の岩手工事事務所ほか19事務所(注4) では、データ更新業務(業務費総額8億7781万余円)のうち前記の(ア)及び(イ)の作業を、データ更新の対象となる工事に係る契約とは別の契約で実施していた。
 この別の契約においては、これらの作業を実施するに当たり、事務所等に保管されている前年度にしゅん工した工事に係る工事完成図書等を収集・整理する作業を行うことになっていた。また、道路施設が建設された現地へ赴くなどして、完成した道路施設と工事完成図面等との照査・確認を行った上で画像データの基となる写真撮影を行い、収集した資料からデータシートを作成することになっていた。これらの作業は相当の作業量に上り、多額の費用を要するものとなっていた。
 しかし、上記の工事に係る契約においては、しゅん工した道路施設について工事完成図書等を作成することになっており、前記の(ア)及び(イ)の作業は、その工事契約の請負業者にとっては、自らが作成し管理している工事完成図書等から所要の文字・数値を転記したり、工事完成図面及び工事完成写真の写しを作成したりする作業にすぎず、工事契約に含めて実施することとすると効率的に行えるものである。
 したがって、工事契約の中に道路施設の諸元や図面等に係るデータシートの作成を含めることとして、出来形管理資料、工程管理資料等と同様に工事完成図書の一部として提出させることとすれば、データ更新業務を経済的、効率的に実施することができると認められた。
 現に、中部、四国及び九州各地方整備局管内の事務所においては、各工事契約の特記仕様書に明示することにより、工事のしゅん工の都度、諸元及び図面等に係るデータシートを工事完成図書の一部として提出させているが、工事や業務に特段の支障は生じていない状況であった。

(節減できた業務費)

 上記により、業務の契約方法の見直しを行うこととすると、新たに必要となる工事契約の請負業者に対するこれらの作業に係る指導・説明等の支援に要する費用を考慮したとしても、前記のデータ更新業務に係る業務費8億7781万余円を初年度で約4010万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、国土交通省において、システムのデータ更新業務の実態についての把握が十分でなかったこと、経済性を考慮した業務を行うことについて地方整備局等に対する指導が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省では、14年10月に文書を発し、システムのデータ更新業務のうち、基礎データの収集作業及びデータシートの作成作業に係る業務については、工事契約に含めて実施することとして、データの更新業務を経済的なものとするよう各地方整備局等を指導する処置を講じた。

(注1) 東北地方整備局ほか9地方整備局等 東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局
(注2) 岩手工事事務所ほか26事務所 岩手、仙台、郡山国道、大宮国道、北首都国道、千葉国道、新潟国道、高田、多治見、岐阜国道、姫路、奈良国道、和歌山、松江国道、広島国道、山口、松山、土佐国道、福岡国道、佐賀国道、長崎各工事事務所、札幌、小樽、室蘭、旭川、留萌各開発建設部、北部国道事務所
(注3) 東北地方整備局ほか6地方整備局等 東北、関東、北陸、近畿、中国各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局
(注4) 岩手工事事務所ほか19事務所 岩手、仙台、郡山国道、大宮国道、北首都国道、千葉国道、新潟国道、高田、姫路、奈良国道、和歌山、松江国道、広島国道、山口各工事事務所、札幌、小樽、室蘭、旭川、留萌各開発建設部、北部国道事務所