ページトップ
  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

造園工事におけるインターロッキングブロック舗装工事費の積算を適切なものとするよう改善させたもの


 造園工事におけるインターロッキングブロック舗装工事費の積算を適切なものとするよう改善させたもの

科目 (項)高速道路建設費
(項)一般有料道路建設費
(項)高速道路改良費
部局等の名称 東北、北陸、中部(平成13年1月31日以前は名古屋管理局)、関西、中国、四国、九州各支社、東京建設局、東京管理局(平成14年1月31日以前は東京第一管理局及び東京第三管理局)
工事名 東北縦貫自動車道 八戸北IC造園工事ほか51工事
工事の概要 高速道路等の建設及び改良のための造園工事の一環として、インターロッキングブロック舗装等を行う工事
工事費 57億1974万余円(平成12、13両年度)
請負人 八戸緑地株式会社ほか37会社
契約 平成11年7月〜14年3月 指名競争契約
インターロッキングブロック舗装工事費の積算額 3億1772万余円 (平成12、13両年度)
低減できたインターロッキングブロック舗装工事費の積算額 5670万円 (平成12、13両年度)

1 工事の概要

(工事の内容)

 日本道路公団(以下「公団」という。)では、平成12、13両年度に、高速道路のサービスエリア、インターチェシジ等において、より良好な道路景観の形成、道路交通の快適性の向上等を図るため、植栽工事、インターロッキングブロック(以下「ILB」という。)舗装工事等の造園工事を52工事(工事費総額57億1974万余円)施行している。

(ILB舗装工事の概要)

 上記の造園工事におけるILB舗装工事は、サービスエリア内の広場や料金所の歩道等において、砕石路盤の上に敷砂を施工し、その上にILB(一辺の長さ10cm×20cm程度、厚さ6cm又は8cm)を敷き並べ、その間に目地砂を施工するものである(参考図参照)

(ILB舗装工事費の積算)

 本件各工事のILB舗装工事費の積算に当たっては、公団制定の「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づき、敷砂、ILB敷設等の作業歩掛かり(0.17人日/m )を基に算出した労務費に、1m 当たりのILBの材料費を加算するなどし、ILB舗装工の施工単価を1m 当たり5,319円から13,329円と算定し、施工面積計37,506m で総額3億1772万余円と積算していた。

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 近年、公団においては、道路景観をより良好なものとするため、サービスエリア内にILBを敷いた広場を整備するなどILB舗装工事を多数施工していることから、その工事費の積算が適切なものとなっているかに着眼して検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、ILB舗装工事費の積算について、次のような事態が見受けられた。
ILB舗装工事については、近年、元請業者と専門工事業者の間で通常取引されている実態を調査し公表した積算参考資料の市場単価を用いる市場単価方式により積算を行っている機関等が多くなっている。
 しかし、公団では、ILB舗装工事は、施工箇所の多くがサービスエリア、パーキングエリア内であって、関連する建築工事、植栽工事等と同一現場内で同時並行して行われるとしているなど市場単価方式が想定している施工条件と異なるとして、市場単価ではなく積算要領に基づき算定した施工単価により積算していた。
 そこで、本院において、本件各工事のILB舗装工事の施工状況等を調査したところ、ILB舗装工事の施工に当たっては、現場内の他の関連する工事との間で作業時期の調整を行い、関連工事終了後にILB舗装工事を行うなど効率的に施工していて、その施工条件等は市場単価が適用されている他の工事と同様であると認められた。
 現に、本院の実態調査の結果によっても前記の作業歩掛かりと比べ35%程度効率よく施工されている状況であった。
 そして、本件ILB舗装工事費について、公団が算定した前記の施工単価と市場単価とを比較したところ、市場単価は1m 当たり4,100円から11,744円となり、本件各工事の施工単価を相当程度下回っていた。
 したがって、公団において、ILB舗装工事費の積算に当たっては、市場単価を適用することが合理的であると認められた。

(低減できた積算額)

 上記により、市場単価を用いて本件各工事のILB舗装工事費を修正計算すると、2億6098万余円となり、前記の積算額3億1772万余円を約5670万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、ILB舗装工事費の積算に当たり、施工条件等が市場単価を適用している他の工事と同様となっているのに、公団において市場単価方式を採用することの検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、公団では、14年10月に、造園工事におけるILB舗装工事費の積算に当たっては、市場単価により行うよう積算要領を改正し、同年12月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

(参考図)

(参考図)