科目 | 貸付金 |
部局等の名称 | 中小企業事業団(平成11年7月1日以降は中小企業総合事業団) |
貸付けの根拠 | 中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)(平成11年7月1日以降は「中小企業総合事業団法」(平成11年法律第19号)) |
貸付金の種類 | 小売商業等商店街近代化資金貸付金(構造改善等高度化(特定)) |
貸付けの内容 | 中小企業者に対し中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け |
貸付先 | 沖縄県 |
貸付金額 | 281,106,000円(平成8、10両年度) |
県の貸付先及び貸付金額 | 商店街振興組合の5組合員 416,456,000円 |
県の不当貸付金額 | 83,387,136円 |
貸付けの目的に沿わない事業団の貸付金相当額 | 56,284,519円 |
1 貸付金の概要
中小企業事業団(平成11年7月1日以降は中小企業総合事業団。以下「事業団」という。)は、中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)(11年7月1日以降は「中小企業総合事業団法」(平成11年法律第19号))に基づき、中小企業者が事業の共同化、工場・店舗等の集団化等を図るための事業の用に供する土地、建物その他の施設の取得等を行う場合に、これに必要な資金として中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対して、その財源の一部を貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子から年4.1%までとし、償還期限を20年以内としている。
都道府県は、この借入金に自己資金を合わせて中小企業者に貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子又は年2.7%とし、償還期限を上記と同様20年以内としている。
そして、事業団が都道府県に中小企業高度化資金を貸し付ける場合は、あらかじめ都道府県において借入申込者の事業計画について診断を実施し、事業団はその診断結果と事業計画の内容を審査した上、妥当と認めたものについて貸し付けることとしている。
また、貸付後、都道府県は、事業費の支払状況等を確認することとなっている。
事業団は、8年5月及び10年5月、沖縄県に対して、小売商業等商店街近代化資金貸付金(構造改善等高度化(特定))計281,106,000円を無利子で貸し付けていた。同県は、上記の貸付金に県費計135,350,000円を合わせて貸付財源とし、平良市所在の商店街振興組合の5組合員に対して、それぞれの店舗等の新築に必要な資金計773,346,000円(うち貸付対象事業費計520,573,000円)の一部として、計416,456,000円を無利子で貸し付けていた。
2 検査の結果
上記の5組合員に対する貸付けについて調査したところ、次のような事態となっていた。
5組合員は、店舗等の新築を計773,346,000円で実施したとしているが、このうち店舗等新築工事に係る額計707,699,000円は契約額を水増ししたもので、実際は、計574,624,700円で実施していた。
また、同県では、10年5月に貸し付けた1組合員の貸付対象事業費を算定するに当たり、店舗等面積2,548.5m2
のうち貸付対象面積を1,879,8m2
とすべきところ、数値を取り違えて2,047.5m2
としていた。
したがって、5組合員に対する貸付けに係る適切な貸付金額を計算すると、計333,068,864円(うち事業団貸付金相当額計224,821,481円)となるので、本件貸付金額計416,456,000円(うち事業団貸付金相当額計281,106,000円)との差額83,387,136円(うち事業団貸付金相当額56,284,519円)が過大な貸付けとなっている。
この内訳を、組合員別に示すと次のとおりである。
県の貸付先 | 貸付対象 | 貸付年月 | 貸付金額 | 左のうち不当貸付金額 | 貸付けの目的に沿わない事業団の貸付金相当額 | 摘要 |
(所在地) | (貸付利率) | 同上に対する事業団の貸付金相当額 | ||||
千円 | 千円 | 千円 | ||||
小売業者 (平良市) |
店舖等 | 8.5 (無利子) |
22,001 (14,850) |
8,724 | 5,888 | 低額設置 |
小売業者 (同) |
同 | 8.5 (無利子) |
27,220 (18,373) |
7,925 | 5,349 | 同 |
不動産業者 (同) |
同 | 8.5 (無利子) |
20,116 (13,578) |
3,943 | 2,661 | 同 |
小売業者 (同) |
同 | 8.5 (無利子) |
31,187 (21,051) |
5,939 | 4,009 | 同 |
宿泊業者 (同) |
同 | 10.5 (無利子) |
315,932 (213,254) |
56,853 | 38,376 | 低額設置及び貸付対象事業費の過大計上 |
計 | 416,456 (281,106) |
83,387 | 56,284 |
このような事態が生じていたのは、同県が10年2月及び11年3月に実施した完了検査において事業費の支払状況等の確認が十分でなかったこと、及び完了検査の際に確認すべき事項について、事業団の同県に対する周知徹底が十分でなかったことなどによると認められる。
なお、本件の不当貸付金残高81,618,777円(事業団の貸付金相当額55,090,956円)については、14年10月に繰上償還の措置が執られた。