科目 | (項)一般管理費 |
部局等の名称 | 那珂研究所 |
固定資産税等の概要 | 研究所、事業所等の土地に係る固定資産税及び都市計画税 |
固定資産税等の納付額 | 1億3909万余円 | (平成13年度) |
節減できた納付額 | 2818万円 |
1 土地に係る固定資産税等の概要
(土地に係る固定資産税等)
日本原子力研究所(以下「原研」という。)では、原子力施設の安全性研究、核融合研究等を行うための研究所、事業所等を所有しており、これらの土地は合計で1,079筆、6,080,396.3m2
となっている。
これらの土地には、地方税法(昭和25年法律第226号)に基づいて、その所在の市町村等から固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)が、それぞれ課税されており、平成13年度固定資産税等の納付額は、本部ほか6研究所等(注)(以下「各研究所等」という。)で、総額5億7339万余円となっている。
固定資産税等は、課税標準額に所定の税率を乗じて算定することとなっているが、この課税標準額は、原則として固定資産の価格であり、総務大臣が告示した固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)により市町村長等が決定しなければならないとされている。
固定資産の価格の決定に際して、市町村長等は土地の評価の基本となる地目について認定するものとされている。
地目とは、土地を利用面から分類した名称で宅地、山林、雑種地等に分類され、土地の評価に当たっては、地目ごとに評価方法が定められている。ただし、宅地のうちに介在する山林、雑種地等の場合は、付近の宅地の価額に比準して評価額を算出することとなっている。
そして、地目の認定は、賦課期日である1月1日現在の土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して、原則として一筆ごとに客観的に判断して行うこととなっている。
また、宅地については、原則として一筆の宅地を一画地と認定するが、例外として、隣接する二筆以上の宅地について、その形状、利用状況等からみて、これらを合わせる必要がある場合においては、その一体を成している部分の宅地ごとに一画地として地目を認定することとなっている。
市町村長等は、地方税法に基づき、固定資産の価格等を決定した場合においては、直ちにその価格等を固定資産課税台帳に登録し、毎年3月1日から20日以上の期間、固定資産課税台帳を関係者の縦覧に供しなければならないとされている。そして、固定資産税等の納税者は、固定資産の価格について不服がある場合には、縦覧期間の初日から納税通知書の交付を受けた日後30日までの間に、審査の申出をすることができることとされている。
2 検査の結果
各研究所等において現況が取得当時から大きく変化している土地が見受けられることから、土地に係る固定資産税等の納付が、その現況に対応して適切に行われているかに着眼して検査した。
各研究所等の土地1,079筆、6,080,396.3m2 に係る13年度の固定資産税等の納付額5億7339万余円を対象として検査した。
検査したところ、那珂研究所における土地の利用状況、固定資産税等の課税状況などについて、次のような事態が見受けられた。
ア 土地の取得
原研では、核融合の研究開発のため、昭和54年度から62年度までの間に茨城県開発公社から工業団地用地等、計329筆、1,318,926.6m2 を総額92億0095万余円で取得し、60年4月に那珂研究所を設立した。
イ 固定資産税等の課税状況
那珂研究所が所在する茨城県那珂郡那珂町では、当該土地の地目の認定に当たってはその利用目的に重点を置き、利用目的が研究施設等の設置であること及び土地全体が原子力用地であることから、取得当初から土地全体を一画地の宅地として認定していた(平成13年度評価額9,800円/m2
、計129億2956万余円)。
そして、原研では、毎年度同町から交付された納税通知書に従って固定資産税等を納付しており、13年度は1億3909万余円を納付していた。
ウ 土地の利用計画と現況の変化
原研が土地取得当時に策定した利用計画(昭和53年8月策定)では、研究施設等として、昭和50年代後半までに臨界プラズマ試験装置(JT−60)を、さらに60年代後半を目途に核融合実験炉等を、土地全体に順次設置することとしていた。
そして、一部の区域については、57年から平成7年にかけて研究施設等として臨界プラズマ試験装置関連施設、管理研究棟等を建設したり、昭和55年から平成元年にかけて緑地及び緩衝帯として植栽等を行ったりしていた。
しかし、核融合実験炉等の研究施設等の建設は行われておらず、上記以外の区域についてはそのまま放置され、近年では杉又は雑木等が繁っている状況であった。
このように、那珂研究所の土地329筆、1,318,926.6m2
のうち154筆、637,053.2m2
については、全体が粗造成されていた取得当時の状況とは大きく異なっていた。
したがって、那珂研究所の一部の土地については、現況が取得当時から大きく変化してきている状況にかんがみ、土地に係る固定資産税等の納付に当たっては、土地の現況を把握するなどして、土地全体を一画地の宅地とした従来の評価を見直すよう、町に対して所要の手続を行うことにより、固定資産税等の節減を図ることが可能な状況であったと認められた。
前記の土地154筆、637,053.2m2 について、土地全体を一画地とした従来の評価を見直し、その地目を現況に基づき山林(66筆、248,779.2m2 、評価額2,940円/m2 )及び雑種地(88筆、388,274m2 、評価額7,840円/m2 )とする認定の変更を受け、これにより13年度の固定資産税等の額を算定すると1億1091万余円となって、前記の納付額1億3909万余円を2818万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、原研において、各研究所等の土地に係る固定資産税等の納付に当たって、土地の現況の変化に配慮することなく、納税通知書に従ってそのまま納付していたことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、原研では、14年1月、那珂町に対し、固定資産税等の課税評価の根拠について照会をして、現況が取得当時から大きく変化している土地について、その現況に即した地目とする認定の変更を受け、14年度の納付からその節減を図る処置を講じた。
また、各研究所等に対して通知を発し、土地に係る固定資産税等の納付に当たっては、地目の変更が必要な場合は所要の手続を行うよう周知徹底を図った。