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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第1 金融システムの安定化のための緊急対策等の実施状況について|
  • 3 検査の状況|
  • (2) 金融システムの安定化のための緊急対策等の実施状況|
  • イ 金融機能再生法の枠組みの実施状況

一般金融機関からの資産の買取り


(一般金融機関からの資産の買取り)

 整理回収機構では、金融機能再生法に基づき、13年度末までに、140の一般金融機関から計548億余円(債権元本金額ベースで計1兆3034億余円)の資産の買取りを実施している。当該資産については、13年度末までに、486億余円を回収しており、201億余円の回収益が発生している状況である。
 また、金融機関の不良債権処理を促進するなどのために、13年6月に金融機能再生法が改正されて、整理回収機構が一般金融機関からの資産の買取りを行う期間が15年度末まで延長され、また、13年12月の同法の改正により、同機構の資産の買取価格を「時価」とすることとされた。そして、整理回収機構が買い取った資産については、証券化して売却するなど処分方法の多様化に努めることとされ、当該資産の性質や、経済情勢、債務者の状況等を考慮し、当該資産の買取りから可能な限り3年を目途として回収等を行うよう努めることとされた。また、その際、当該資産の債務者の再生の可能性を早期に見極め、その可能性のある債務者については速やかな再生に努めることも定められた。
 整理回収機構の資産の買取価格については、従来は、担保不動産に対する外部の鑑定評価額から一律に40%減価するなどして決定され、同機構が11年度から13年12月末までに買い取った資産の債権元本金額に対する買取価格の比率は平均で3.7%となっていた。
 しかし、前記のとおり、資産の買取価格が「時価」とされたことにより、債務者の資金繰りの状況から回収可能額を算定するなどして弾力的な価格算定を行うこととなり、整理回収機構が14年1月から3月末までに買い取った資産の債権元本金額に対する買取価格の比率は平均で6.9%に上昇している。
 このように、整理回収機構の買取価格が上昇したことなどにより、一般金融機関からの資産の買取りが促進されると思料されるが、一方で、回収金額が買取価格を下回り、損失が生じる事態の発生も懸念される。