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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第1 金融システムの安定化のための緊急対策等の実施状況について|
  • 3 検査の状況|
  • (4) 預金保険機構の財務状況

欠損金の推移と欠損金が増加している要因


(欠損金の推移と欠損金が増加している要因)

(ア) 概況

 預金保険機構では、8年度に特例業務勘定の前身である信用協同組合特別勘定において同機構設立以来初の当期損失金を計上した。以降毎年度における欠損金の合計額は、表18のとおり9年度以降年々増加しており、13年度決算で計4兆5756億余円となっている。

表18 剰余金(▲欠損金)の推移
(単位:億円)

年度
勘定名
8 9 10 11 12 13
一般 ▲7,579 ▲13,142 ▲24,648 ▲30,553
特例業務 ▲6,006 ▲2,384 ▲4,296 ▲5,825 ▲6,807 ▲7,428
金融再生 ▲0 ▲4,522 ▲6,387 ▲7,698
金融機能早期健全化 ▲0 ▲1 243 883
住専 0 0 0 ▲230 ▲565 ▲958
合計 ▲6,006 ▲2,384 ▲11,877 ▲23,722 ▲38,165 ▲45,756

(イ) 一般勘定及び特例業務勘定の欠損金

 13年度末の欠損金のうち3兆7982億余円は、資金援助等の業務を行うための一般勘定及び特例業務勘定に係るものである。両勘定の欠損金の主な要因は、借入金等を財源として多額の資金援助が実施されたことなどである。
 両勘定の恒常的な収入は、金融機関から納付される一般保険料(一般勘定)、特別保険料(特例業務勘定)があるが、13年度の保険料収入の実績は、それぞれ2920億余円、2190億余円、計5110億余円となっている。
 破綻金融機関の預金等を全額保護するための特別保険料の徴収は13年度末をもって終了したが、12年5月の預金保険法の改正による特例措置として、普通預金等の流動性預金については、14年度末まで全額保護されることとなっている。このため預金保険機構では、14年度の保険料率について、預金等の全額保護を行うこととしていた13年末までの保険料率0.084%から、全額保護が継続される流動性預金については0.094%に引き上げ、全額保護が終了する定期性預金については、0.080%へ引き下げる改定を行った。これによる14年度の保険料収入見込額は5139億円とされている。
 特例業務勘定は14年度末において廃止され、その際同勘定に属する資産及び負債は一般勘定に帰属することとなる。そして、特別資金援助等すべての業務終了の日において、特例業務勘定に欠損金がある場合、預金保険機構は、当該欠損金から、交付国債の使用の対象とならない、株式会社福徳、株式会社なにわ両銀行の特定合併の際に実施した資産の買取りに要した借入金の利息等を控除した額に対して、交付国債を使用できることとなっている。

(ウ) 金融再生勘定の欠損金

 金融再生勘定の13年度末の欠損金7698億余円の主な要因は、11、12両年度に、日本長期信用銀行及び日本債券信用銀行の特別公的管理期間中に両銀行の適資産から発生した損失に対する補てんを計4500億余円行ったこと、破綻した日本長期信用銀行、日本債券信用銀行に対して実施された資本注入に係る優先株式等の償却等に伴う整理回収機構への損失補てんを計1582億余円行ったこと、瑕疵担保条項に基づき新銀行から返還を受けた貸出関連資産に対して、13年度に1644億余円の貸倒引当金の繰入れを行ったことなどである。
 同勘定の欠損金に対する国からの損失の補てんの規定はなく、欠損金の主な解消方法としては、資本注入に係る整理回収機構からの利益納付金(注24) 、預金保険機構が買い取った特別公的管理銀行保有株式の配当金等が見込まれる。上記の利益納付金及び特別公的管理銀行保有株式の配当金の13年度の実績は、それぞれ211億余円及び196億余円となっている。

 利益納付金 整理回収機構が取得している優先株式等の配当金等の収入から、資本注入に係る借入金の利息等の費用を控除した額

(エ) 住専勘定の欠損金

 住専勘定の13年度末の欠損金958億余円の主な要因は、譲受債権等の回収により生じた二次損失の金額の2分の1に相当する金額(13年度実績501億余円)が、当該二次損失の補てん財源となる関係金融機関等からの拠出金からなる金融安定化拠出基金9070億余円の運用収入(13年度実績107億余円)を上回っている状況が続いていることなどによるものである。
 また、前記のとおり、特定住専に係る譲受債権等の回収額そのものは年々減少しており、今後回収が一層困難な状況になると、国は、預金保険機構が損失補てん助成金を整理回収機構に交付するために必要となる費用を補助金として交付しなければならない可能性もある。