国の会計経理は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令165号。以下「予決令」という。)等の会計法令のほか、国の機関自らが定めた会計経理事務に関する内部規程等に基づき実施されており、会計経理の適正性を確保するため、制度的に内部牽制を行う仕組みとなっている。すなわち、会計法令の規定では、会計機関相互の事務分担(会計法第13条の5、第26条等)、各種帳簿の整備、各種報告書・計算書の作成(同法第47条等)、出納官吏の交替時等における帳簿金庫の検査(予決令第116条等)等を通じて、会計機関による一定の内部牽制が行われることとなっている。
会計監査は、このような会計機関による内部牽制の機能を検証するとともに、これらでカバーできない部分についての評価等を目的として行われるものであり、国の機関における会計経理は、内部牽制と会計監査という二重のチェックによる内部統制が行われている。
そして、国の機関の会計監査を担当する部門(以下「会計監査機構」という。)は、国の機関に属する組織ではあるが、それぞれの監査対象の規模、性格等に応じた合理的な監査体制を整備し、適切な監査方法を選定し、客観的かつ効果的な監査を実施する必要がある。また、本院の会計検査は、これらの会計監査を踏まえて実施するのが効果的であることなどから、本院では、国の機関の毎年度の会計監査の実施状況について調査するとともに、国の機関の監査担当職員を対象に会計監査に関する講習会を昭和61年から毎年開催するなどして会計監査の内容の向上等に資するよう努めてきた。しかし、国の機関においては、一つの府省等に複数の会計監査機構が存在し、監査機構間の関係も府省等によって異なり、監査方法等も様々である。
そこで、国の機関の会計経理とこれをチェックすべき内部監査の現状に対する国民の高い関心を踏まえ、今回、国の機関における内部監査のうち本院の会計検査と密接な関連を有する会計監査の状況を把握し、会計監査機構が会計経理の適正性等を確保する上で留意すべき事項について分析した。