特別会計は、それぞれ特別会計法に基づき、その歳入歳出を一般会計と区分して経理するために設置されるものであり、平成13年度現在、37特別会計が設置されている。
財政法(昭和22年法律第34号)第13条によると、特別会計を設置するのは、〔1〕特定の事業を行う場合、〔2〕特定の資金を保有してその運用を行う場合、〔3〕その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限ることとされている。
これらの特別会計は、一般会計とともに社会経済環境の変化に対応して財政に求められる資源配分、所得再分配及びマクロ経済安定化の機能を担っており、それぞれの分野において必要とされる国の施策を実施している。特別会計の歳出規模は、一般会計の4倍程度に及んでいるが、一般会計の歳出のうちの6割は特別会計の財源に充てる繰入金で占められているなど、一般会計と密接な関係を有している。
このように、特別会計は、その財政活動を通して国民生活に大きな影響を及ぼすものであるが、それぞれの事業を実施するに当たり、一般会計からの財源移転を受けているものがある。また、これまでの財政運営において多額の債務を抱えているもの、あるいは損失を生じているものがあるほか、当面する経済情勢の下で、引き続き財政資金の投入を必要としているものもある。
そこで、現在、国の財政が厳しい運営を強いられていることにかんがみ、特別会計のこれまでの財政運営の状況について、財政の機能及び役割との関連を踏まえ、決算分析に必要と考えられる期間を対象として、歳入・歳出、債務の動向、一般会計からの財政負担の動向等を中心に検査した。
財政制度等審議会等によれば、現在設置されている37特別会計は、表1の〔1〕の事業特別会計(企業、保険事業、公共事業、融資事業、行政的事業各特別会計)、〔2〕の資金運用特別会計、〔3〕の整理区分特別会計に分類されている。
これらの特別会計の経理方法には、現金の収納又は支払の事実に基づいて経理を行う現金主義と、現金の授受にかかわらず財産の増減及び異動の発生の事実に基づいて経理を行う発生主義の2種類がある。
現金主義は、財政法第2条に規定する国の会計の原則的な経理方法である。一方、発生主義は、企業的経営を行う造幣局、印刷局、国有林野事業(国有林野事業勘定)及び郵政事業の4企業特別会計並びに食糧管理特別会計が各特別会計法等において採用している経理方法である。
発生主義を採用している上記の5会計は、複式簿記により会計行為を記録し、貸借対照表及び損益計算書を作成している。現金主義を採用している会計の中でも、保険収支や資金収支を経理している保険事業特別会計、融資事業特別会計、行政的事業特別会計の一部及び資金運用特別会計の17会計は、歳入歳出決算を決算修正するなどして損益計算書を作成しており、この17会計を含む18会計が貸借対照表を作成している。この結果、37会計中23会計で貸借対照表又は損益計算書を作成している。
特別会計の分類及びその経理方法等は、表1のとおりとなっている。
表1 特別会計の分類と会計経理の方法
分類 | 特別会計名 | 経理方法 | 財務諸表 | 備考 | |
〔1〕 事業特別会計 | 企業 | 郵政事業 造幣局 印刷局 国有林野事業 |
2 2 2 2 |
B・P B・P B・P B・P |
治山勘定 |
保険事業 | 簡易生命保険 地震再保険 厚生保険 船員保険 国民年金 労働保険 農業共済再保険 森林保険 漁船再保険及漁業共済保険 貿易再保険 注(4) 自動車損害賠償責任再保険 注(5) |
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 |
B・P B・P B・P B・P B・P B・P B・P B・P B・P B・P B・P |
児童手当勘定 福祉年金勘定 業務勘定 業務勘定 業務勘定 |
|
公共事業 | 国営土地改良事業 道路整備 治水 港湾整備 空港整備 |
1 1 1 1 1 |
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融資事業 | 産業投資 都市開発資金融通 |
1 1 |
B・P B・P |
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行政的事業 | 郵便貯金 登記 特定国有財産整備 国立学校 国立病院 食糧管理 農業経営基盤強化措置 特許 自動車検査登録 |
1 1 1 1 1 2 1 1 1 |
B・P — — — B・P B・P B — — |
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〔2〕 資金運用特別会計 | 財政融資資金 注(4)
外国為替資金 |
1 1 |
B・P B・P |
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〔3〕 整理区分特別会計 | 交付税及び譲与税配付金 国債整理基金 電源開発促進対策 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策 注(6) |
1 1 1 1 |
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