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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第17 特別会計の決算分析について|
  • 3 本院の所見|
  • [別添] 個別の特別会計の状況|
  • ク その他事項関係|
  • (保険系)

森林保険特別会計


31 森林保険特別会計

(特別会計の概要)

 森林保険特別会計は、森林保険特別会計法(昭和12年法律第26号)に基づき、森林国営保険法(昭和12年法律第25号)により国が経営する保険であって、人工の森林に係る火災のほか、気象を原因とする災害、噴火災害による損害をてん補する森林保険に関する経理を明確にするため設置されている。

(歳入歳出の構造)

 平成13年度決算では、歳入119億円、歳出24億円で、剰余金95億円のうち、翌年度繰越額、未経過保険料相当額及び支払備金相当額からなる次年度繰越資金87億円を控除した7億円を本会計に設置している財政法第44条の資金である積立金として積み立てている。
 主な歳入は、保険料41億円と前年度繰越資金受入77億円である。このうち前年度繰越資金受入は、12年度の歳計剰余金のうちの未経過保険料相当額及び支払備金相当額で、未経過保険料は、決算年度以前に払い込まれた保険料のうち次年度以降の期間に係る金額、支払備金は、決算年度において既に支払義務が発生しているが未払いの保険金等である。これらは、損益計算上、前年度繰越資金受入額を利益、次年度繰越資金を損失に計上するとともに、後者の次年度繰越資金については、貸借対照表の負債の部に未経過保険料及び支払備金として計上している。
 一方、主な歳出は、森林保険費10億円と森林保険業務費14億円である。このうち森林保険費は、保険金の支払、保険料還付金等である。また、森林保険業務費は、その大半が、法律及び政令により国が負担すべき都道府県に対する事務取扱交付金並びに市町村等に対する事務取扱交付金及び事務取扱手数料であり、森林保険に関する事務に要する費用として交付する経費である。
 なお、本会計に対する一般会計からの繰入額はない。

(歳入歳出等の推移)

 歳入歳出等の推移をみると次のとおりとなっており、歳入、歳出はそれぞれ別々の動きを示している。

歳入歳出等の推移をみると次のとおりとなっており、歳入、歳出はそれぞれ別々の動きを示している。

 歳入は、元年度から12年度までの間は減少傾向にあったが、13年度は急増している。これは、これまで森林国営保険と並んで森林損害てん補制度を担ってきた全国森林組合連合会(以下「全森連」という。)の森林災害共済が13年度から共済契約の新規引受けを停止したため、森林国営保険への加入が増加し、保険料収入が増加したためである。
 保険料収入以外の歳入については、未経過保険料及び支払備金からなる前年度繰越資金の割合が高いことから、歳入全体の動きはこれに影響されている。雑収入は、そのほとんどが預託金利子収入であり、近年の金利低下に伴い減少傾向にある。
 歳出は、多少の変動はあるものの、相対的に低い水準で推移している。
 歳出のうち保険金の支払である森林保険費は、各年度の災害の発生状況に左右され、昭和56、平成3、4、7、12各年度に保険金支払が急増している。保険金の支払は、災害の認定に時間を要するため、災害の発生した年度だけでなく、翌年度又は翌々年度まで続くことが特徴である。元年度以降の年度別の損害てん補状況は次のとおりである。

森林保険特別会計の図1

 また、元年度以降の森林保険の事務取扱交付金及び手数料は次のとおりであり、12年度までは保険加入の漸減等に伴い微減傾向にあったが、13年度は保険加入の増加を反映して増加している。

また、元年度以降の森林保険の事務取扱交付金及び手数料は次のとおりであり、12年度までは保険加入の漸減等に伴い微減傾向にあったが、13年度は保険加入の増加を反映して増加している。

 積立金は、前記のとおり決算上の剰余を積み立てるもので、決算上不足を生じたときこれを補足することとしている。多額の保険金の支払が発生して当年度損失を生じた昭和56年度に不足を補足しているが、その後は順調に積増しされており、平成13年度末の積立金残高は122億円となっている。

(資産及び負債・資本等の状況)

 13年度末の資産計217億円はすべて現金預金である。また、負債・資本計の内訳は、支払備金7億円、未経過保険料79億円、繰越利益122億円及び当年度利益7億円である。
 負債・資本等の推移についてみると、次のとおり、昭和57年度以降毎年度、当年度利益を計上していることから、繰越利益が増加している。この繰越利益は前記の積立金残高に相当している。

森林保険特別会計の図2

(注)
 昭和56年度は当年度損失を計上している。

 なお、本会計の総資産217億円に対して、平成13年度末現在の責任保険金額の合計は1兆1638億円となっている。

(留意すべき事項等)

 我が国の森林損害てん補制度は、森林国営保険のほか、全森連の森林災害共済及び民営保険(火災保険のみ対応)によって担われてきた。特に、7年度以降は、森林国営保険と森林災害共済が共同で事務を処理するとともに、保険・共済責任を5割ずつ分担する森林共済セット保険を実施してきた。
 しかし、民有林人工林面積(793万ha)に占める加入面積(森林災害共済を含む。)の割合を示す加入率は年々低下し、13年度末の加入面積は154万ha、加入率は19.4%となっている。
 このような中で、木材価格の低迷等による経営上の理由により、全森連が13年4月から共済契約の新規引受けを停止し、これに伴って森林共済セット保険の新規引受けも終了している。
 このため、森林共済セット保険を含め、これまで全森連が共済責任を負っていた森林災害共済については、14年7月から、順次、森林国営保険に新たに加入する手続を進めている。
 したがって、これらの推移について留意する要がある。