会計名及び科目 | 一般会計 (組織)検察庁 | (項)検察官署 |
(項)検察費 |
部局等の名称 | 横浜地方検察庁ほか20地方検察庁 |
契約の概要 | 通信ネットワーク、庁用電話等の通信回線を利用して電気通信サービスを受けるもの |
契約の相手方 | 東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 |
支払金額 | 3965万余円 | (平成13、14両年度) |
節減できた通信料 | 1048万円 | (平成13、14両年度) |
1 通信ネットワーク等の通信回線の概要
法務省では、その業務を遂行するため、通信ネットワーク、庁用電話等の各種回線(以下「通信回線」という。)を使用している。
そして、これらの通信回線の使用に係る契約については、法務本省及び地方支分部局ごとに、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社及びエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下、それぞれ「NTT東日本」、「NTT西日本」及び「NTTコミュニケーションズ」といい、これらの会社を併せて「NTT各社」という。)との間で、それぞれディジタル通信回線等の使用契約を締結し、利用に応じた通信料(通話料を含む。以下同じ。)を支払っている。
法務省では、通信回線に係る通信料を節減するため、次表のとおり、平成13年4月から、NTT各社が利用者に対して提供している割引制度の適用を受けている。
表 法務省において適用を受けている割引制度
割引制度名 | 割引制度の内容 | 契約会社 | 通信・通話区分 | 割引率 |
企業単位通信料金割引 | 同一企業の複数の事業所で使用する回線で一つのグループを構成し、当該グループの回線について支払う月額通信料の合計額に応じて、通信料が割引になるもの | NTT東日本及びNTT西日本 | 市内通信・通話 | 15.0% |
下記以外の区域に係る県内市外通信・通話 | (注)
40.0% |
|||
〔1〕 法人向複数回線割引 〔2〕 期間契約割引 |
〔1〕 グループの回線について支払う月額通信料の合計額に応じて、通信料が割引になるもの 〔2〕 法人向複数回線割引と組み合わせ、一定の期間契約を行うことなどにより、通信料が割引になるもの |
NTTコミュニケーションズ | 東京都、愛知県、大阪府の区域に係る県内市外通信・通話 | 46.5% |
県間通信・通話 | ||||
国際通信・通話 |
上記の割引制度の適用を受けるためには、対象となる複数の通信回線を特定してNTT各社に対して当該通信回線をグループ登録する必要がある。このため、法務省では、当初の割引制度の適用申請に当たり、対象となる通信回線の使用契約の状況を地方支分部局に調査確認させるなどした上で、NTT各社に対して、原則として専用回線を除くすべての通信回線を法務省名義でグループ登録する手続を執っている。
そして、当初の割引制度の適用申請以降に通信回線を増設する場合には、各地方支分部局が、NTT東日本又はNTT西日本のサービス提供区域に応じて、追加使用契約の申込みを行うとともに、その際併せてグループへの追加登録の手続を執ることになっている。
2 検査の結果
法務省の各部局のうち、全国の検察庁における通信回線に係る契約数は、14年度末現在で2,289回線と多数に上っている。また、犯罪の組織化、複雑化等に対応するなどのため、13年3月から運用が開始された検察庁における通信ネットワークは、運用開始以降14年3月までの間、各地方検察庁(以下「地検」という。)において、地検本庁とその管内各支部等を結ぶ通信ネットワークに係る通信回線の増設が行われいる。このため、検察庁の通信回線について、NTT各社の各種の割引制度の適用を適切に受けているかなど、通信回線に係る通信料の支払が適切かつ経済的なものとなっているかに着眼して検査した。
検査に当たっては、NTT各社からの請求書の記載内容により、割引制度の適用を受けていないと思料される回線が見受けられた横浜地検ほか20地検(注)
において通信回線として契約している908回線、これらに係る支払額の合計245,571,199円(13年度111,320,452円、14年度134,250,747円)を対象として検査した。
検査したところ、次のとおり14年度末現在において割引制度の適用を受けていなかった回線が145回線見受けられた。
(ア)13年4月の割引制度の当初の適用申請の際、登録する手続が執られていなかったもの
通信ネットワークに使用する回線 | 2回線 | |
庁用電話に使用する回線 | 16回線 |
(イ)各地検において13年度末に追加契約する際、グループに追加登録する手続が執られていなかったもの
通信ネットワークに使用する回線 | 127回線 |
しかし、これらの回線は、いずれも割引制度の適用を受けない特段の理由は見当たらず、グループに追加登録することなどによって、容易に割引制度の適用を受けられたにもかかわらずこれを行わなかったため、割高な通信料を支払う結果となっており、適切ではないと認められた。
したがって、上記の145回線については、グループに追加登録する手続を執って割引制度の適用を受け、通信料の節減を図る要があると認められた。
前記21地検における145回線の通信回線について、当初の割引制度の適用申請の際又は追加契約した際に、所定の手続により割引制度の適用を受けていたとして計算すると、その支払額3965万余円(13年度602万余円、14年度3363万余円)は2917万余円(13年度503万余円、14年度2413万余円)となり、1048万余円(13年度99万余円、14年度949万余円)節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
(ア)各地検において、通信ネットワーク等に使用する通信回線について、割引制度やその手続等を十分に理解していなかったこと
(イ)法務本省において、通信ネットワーク等に使用する通信回線について、割引制度及び手続等に係る周知並びに指導及び監督が十分でなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、法務省では、15年10月に各地検に対して通知を発するなどして、今後の通信回線の使用契約に当たっては、割引制度やその手続等を十分に理解して割引制度の適用を受けるよう周知徹底を図るとともに、本件割引制度の適用を受けていなかった145回線の通信回線について、同月までに、NTT各社に対してグループに追加登録する手続を執らせ、割引制度の適用を受けさせることとする処置を講じた。