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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 予算経理

虚偽の勤務実績によって給与等を支出しているもの


(51)(52)虚偽の勤務実績によって給与等を支出しているもの

会計名及び科目 国立病院特別会計(療養所勘定) (項)療養所経営費
部局等の名称 (1) 国立療養所帯広病院(支出庁)
(2) 国立療養所八雲病院(支出庁)
厚生労働本省(平成13年1月5日以前は厚生本省)、北海道厚生局(平成13年1月5日以前は北海道地方医務局)(指導監督庁)
給与等の概要 国立療養所の職員に対し支給する俸給、各種手当
虚偽の勤務実績によって支出した給与等の合計額 (1) 6,488,981円 (平成10、11両年度)
(2) 155,542,884円 (平成8年度〜14年度)
162,031,865円  
不当と認められる額 (1) 6,488,981円 (平成10、11両年度)
(2) 111,682,844円 (平成8年度〜14年度)
118,171,825円  

1 国立療養所帯広病院及び国立療養所八雲病院の概要

 厚生労働省(平成13年1月5日以前は厚生省)では、特殊な療養を要する者に対して医療を行い、併せて医療の向上に寄与することを目的として国立療養所を設置し、その指導、監督を行っている。
 このうち、国立療養所帯広病院は、心疾患患者、重症心身障害児(者)等についての診療を行うため、内科、循環器科ほか6科の診療科を有しており、また、国立療養所八雲病院は、進行性筋ジストロフィー症児(者)、重症心身障害児(者)等についての診療を行うため、内科、小児科ほか2科の診療科を有している。
 そして、両病院に勤務する職員に対しては、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)及び国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)に基づいて俸給、各種手当(以下「給与等」という。)が支払われている。

2 検査の結果

 両病院における給与等の支出に係る経理について検査したところ、次のとおり、会計法令に違反した不正な経理を行っており、経理が著しく適正を欠いていた。
(1)国立療養所帯広病院では、医師1名について、7年4月1日から11年6月20日までの間、常勤の職員として雇用したとしていた。しかし、職員別給与簿等の会計書類が残されていた11年1月以降6月20日までの勤務状況について検査したところ、当該医師は病院に全く勤務しておらず、給与等6,488,981円は勤務実績がないのに支出されたものであって不当と認められる。
 なお、病院では、上記の給与等を当該医師には支払わずに別途に経理し、旅費等に充てていたとしているが、関係帳簿が廃棄されていて確認はできない状況であった。
(2)国立療養所八雲病院では、医師延べ14名について、8年10月から14年12月までの間、常勤の職員として雇用したとしていた。しかし、職員別給与簿等の会計書類が残されていた9年1月以降14年12月までの勤務状況について検査した。ところ、1名については勤務状況は全く確認できず、残りの13名については確認できない月があったり、確認できる月でも勤務は月数回から十数回となっていたりしていて、常時勤務している医師とは認められず給与等155,542,884円は虚偽の勤務実績によって支出されたものであった。
 上記の給与等として支出された155,542,884円は医師14名に支払われていたが、この額から実際に勤務していたことが確認できた勤務回数に対する非常勤としての対価(謝金等)相当額43,860,040円を差し引いた111,682,844円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、両病院において、病院の運営に当たり適正な経理を行う旨の認識が著しく欠けていたこと、また、厚生労働本省及び北海道厚生局(13年1月5日以前は北海道地方医務局)において、病院の予算執行についての実態把握及び指導が十分でなかったことなどによると認められる。