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  • 平成14年度|
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  • 補助金

地域活性化創造技術研究開発費補助金等の経理が不当と認められるもの


(238)−(246)地域活性化創造技術研究開発費補助金等の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 (1)  一般会計 (組織)経済産業本省 (項)情報処理振興対策費
(2) 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 (1)  近畿経済産業局
(2) 東北、関東、九州各経済産業局
補助の根拠 予算補助
<近畿経済産業局>  
補助事業者
(事業主体)
一般機械器具製造業者
<東北経済産業局>  
補助事業者 岩手県
間接補助事業者
(事業主体)
一般機械器具製造業者ほか2中小企業者
<東北経済産業局>  
補助事業者 秋田県
間接補助事業者
(事業主体)
土木工事業者
<関東経済産業局>  
補助事業者 東京都
間接補助事業者
(事業主体)
事務用品製造業者
<九州経済産業局>  
補助事業者 鹿児島県
間接補助事業者
(事業主体)
酒類製造業者
補助事業 (1) 戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進
(2) 地域活性化創造技術研究開発等
補助事業の概要 (1) 民間企業等がビジネスシステム構築事業等を行うもの
(2) 中小企業者等が新製品、新技術等に関する研究開発等を行うもの
事業費の合計 (1) 37,828,378円 (平成13年度)
(2) 244,330,991円 (平成11年度〜13年度)
282,159,369円  
上記に対する国庫補助金交付額の合計 (1) 18,050,000円  
(2) 65,843,001円  
83,893,001円  
不当と認める事業費 (1) 2,775,390円 (平成13年度)
(2) 88,458,332円 (平成11年度〜13年度)
91,233,722円  
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 1,168,000円 (平成13年度)
(2) 28,037,200円 (平成11年度〜13年度)
29,205,200円  

1 補助金の概要

 経済産業省では、民間企業等に対して、戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進に要する補助金を交付している。また、中小企業庁では、中小企業者等に対して、地域活性化創造技術研究開発に要する補助金及び中小企業経営革新支援対策に要する補助金を交付している。
 これらの補助金の交付の目的、補助の対象、補助の対象となる事業費及び補助率は次表のとおりである。

補助金名 交付の目的 補助の対象 補助の対象となる事業費 補助率
<経済産業省>
戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進事業費補助金 地域における情報化を促進し、地域間の情報化投資格差を解消するために、全国的に戦略的な情報化投資を活性化させること 民間企業等が行うビジネスシステム構築事業等に要する経費の一部を国が直接補助するもの 開発等職員の人件費等 当該経費の2分の1以内
<中小企業庁>
地域活性化創造技術研究開発費補助金 中小企業の技術開発を促進し技術改善を図り、もって中小企業製品の高付加価値化等に資すること 中小企業者等が行う新製品、新技術等の研究開発等に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するもの 原材料、構築物、機械装置等の購入費、研究開発に直接関与する研究者の人件費等 当該経費の3分の1以内で、かつ都道府県が事業主体へ補助する額の2分の1以内
中小企業経営革新支援対策費補助金 中小企業の創意ある向上発展を図り、もって国民経済の健全な発展に資すること 中小企業者等が行う経営革新のための事業に要する経費の一部を国が都道府県を通じて補助するもの 原材料、機械装置等の購入費等 同上

 また、事業主体は補助の対象となる事業費を補助事業期間内に支払うこととされている。
 そして、事業主体となる中小企業者等は、事業完了後に、実績報告書を経済産業局(内閣府沖縄総合事務局を含む。)又は都道府県に提出し、経済産業局又は都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

2 検査の結果

 北海道経済産業局ほか7経済産業局及び北海道ほか30都府県の471件の補助事業について検査を実施した。その結果、近畿経済産業局及び東京都ほか3県の9件の補助事業(補助対象事業費計241,415,666円)において、事業主体が、補助対象事業費を補助事業期間内に支払っていなかったり、補助事業期間中に購入した機械装置等を補助事業に使用していなかったり、補助対象の機械装置を実際には購入していなかったりなどしていた。このため、補助対象事業費91,233,722円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額29,205,200円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体が事実と相違した内容の実績報告を行っていたこと、経済産業局又は都県の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを経済産業局又は都県の別・事業主体別に示すと次のとおりである。

  経済産業局又は都県名 事業主体 補助事業 年度 事業費
(補助対象事業費)
左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(238) 近畿経済産業局 一般機械器具製造業者 戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成推進 13 37,828
(37,828)
18,050 2,775 1,168 精算過大

 この補助事業は、適正価格で高品質な畳を供給する体制を確立するためのインターネットを利用した情報ネットワークシステムの開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、開発等職員の人件費等に要したとする事業費37,828,378円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金18,050,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記の補助対象事業費に、事業主体の給与体系上負担しない超過勤務時間等に係る人件費2,420,990円及び当該開発以外の業務に係る旅費等354,400円を含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は35,052,988円となり、前記の補助対象事業費37,828,378円との差額2,775,390円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,168,000円が過大に交付されていた。

(239) 岩手県 一般機械器具製造業者 地域活性化創造技術研究開発 11 34,964
(34,964)
11,100 4,262 1,282 精算過大及び補助の対象外
(240) 12 16,806
(16,806)
5,566 8,000 2,650 精算過大
  小計       51,770
(51,770)
16,666 12,262 3,932  

 これらの補助事業は、平成11年度においては塩化ビニル類を含む可燃廃棄物を熱分解してガス化し、これを燃焼させて有害成分を除去し無公害化する焼却炉の開発を、12年度においては前年度までの開発に基づき、低価格で超小型の熱分解ガス化炉の開発をそれぞれ行うものである。

(1) 11年度補助事業について

 事業主体は、本件事業の実施に当たり、焼却炉の試作のための機械装置等の購入費等、技術指導受入費等に要したとする事業費34,964,196円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金11,100,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、既存の焼却炉を改造するなどして研究開発を実施したため、実際には焼却炉の試作に使用していない機械装置等の購入費等3,735,740円及び外部からの技術指導に該当せず補助の対象とならない技術指導受入費等527,120円、計4,262,860円を上記の補助対象事業費に含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は30,701,336円となり、前記の補助対象事業費34,964,196円との差額4,262,860円に係る国庫補助金相当額1,282,000円が過大に交付されていた。

(2) 12年度補助事業について

 事業主体は、本件事業の実施に当たり、構築物の建設費等に要したとする事業費16,806,795円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金5,566,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、補助事業期間中に構築物の建設が完了しなかったため、実際には当該研究開発に使用していない焼却炉試験室の建設費8,000,000円を上記の補助対象事業費に含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は8,806,795円となり、前記の補助対象事業費16,806,795円との差額8,000,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金2,650,000円が過大に交付されていた。

(241) 岩手県 土木工事業者 地域活性化創造技術研究開発 11 68,700
(33,033)
9,840 28,571 8,352 精算過大
(242) 13 38,000
(38,000)
12,543 22,913 7,515
  小計       106,700
(71,033)
22,383 51,484 15,867  

 これらの補助事業は、平成11年度においては下水道管内部の破損等の状況を長距離にわたって調査する走行ロボットの開発を、13年度においては下水道管内部に光ファイバーケーブルを敷設する牽引装着ロボットの開発をそれぞれ行うものである。

(1) 11年度補助事業について

 事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費68,700,953円(補助対象事業費33,033,334円)に対して、国庫補助金9,840,001円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記補助対象事業費のうち、機械装置等の購入費等28,571,430円については、補助事業期間終了後に分割して支払うこととしたため、実際には補助事業期間内に支払っていなかった。
 したがって、適正な補助対象事業費は4,461,904円となり、前記の補助対象事業費33,033,334円との差額28,571,430円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金8,352,700円が過大に交付されていた。

(2) 13年度補助事業について

 事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の購入費等に要したとする事業費38,000,000円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金12,543,500円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記補助対象事業費のうち、機械装置等の購入費等22,913,000円については、上記(1)と同様に補助事業期間内に支払っていなかった。
 したがって、適正な補助対象事業費は15,087,000円となり、前記の補助対象事業費38,000,000円との差額22,913,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金7,515,000円が過大に交付されていた。

(243) 岩手県 土木工事業者 地域活性化創造技術研究開発 13 19,708
(19,708)
6,568 7,682 2,561 精算過大及び補助の対象外

 この補助事業は、従来の工法では対応できなかったコンクリート表面の微細なヘアークラックの補修を可能にする高圧注入器の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、研究者の人件費等に要したとする事業費19,708,179円(補助対象事業費同額)に対して、国庫補助金6,568,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、出向元の会社が給与を支払っていたなどのため、実際には給与の支払実績がない研究者の人件費4,978,865円及び臨時に雇用されていて補助の対象とならない者の人件費2,704,000円、計7,682,865円を上記の補助対象事業費に含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は12,025,314円となり、前記の補助対象事業費19,708,179円との差額7,682,865円に係る国庫補助金相当額2,561,000円が過大に交付されていた。

(244) 秋田県 土木工事業者 地域活性化創造技術研究開発 13 34,076
(30,290)
10,095 3,668 1,223 精算過大及び補助の対象外

 この補助事業は、セメントミルクを地盤に高圧噴射してその支持力を増大させ、鋼管杭の本数を減らすことによるコストダウンと工期短縮を図る土木基礎工事の新しい施工法の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置等の借用費、構築物の据付費等に要したとする事業費34,076,193円(補助対象事業費30,290,065円)に対して、国庫補助金10,095,500円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、自社が所有する建設機械等を使用していたため、実際には借上げの事実がない機械装置等の借用費3,160,206円及び構築物の据付等に要する経費に該当せず補助の対象とならない経費507,971円、計3,668,177円を上記の補助対象事業費に含めていた。
 したがって、適正な補助対象事業費は26,621,888円となり、前記の補助対象事業費30,290,065円との差額3,668,177円に係る国庫補助金相当額1,223,000円が過大に交付されていた。

(245) 東京都 事務用品製造業者 中小企業経営革新支援対策 13 11,733
(11,175)
3,725 8,560 2,853 精算過大

 この補助事業は、シャープペンシルの残芯をゼロにする部品の製造装置の開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、機械装置の購入費等に要したとする事業費11,733,750円(補助対象事業費11,175,000円)に対して、国庫補助金3,725,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記補助対象事業費のうち、射出成形機の購入費8,560,000円については、自社が所有する射出成形機を使用していたため、実際には購入していなかった。
 したがって、適正な補助対象事業費は2,615,000円となり、前記の補助対象事業費11,175,000円との差額8,560,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金2,853,500円が過大に交付されていた。

(246) 鹿児島県 酒類製造業者 地域活性化創造技術研究開発 13 20,340
(19,609)
6,405 4,800 1,600 精算過大

 この補助事業は、従来は廃棄していた黒糖焼酎蒸留粕を原料として健康飲料を製造する方法について研究開発を行うものである。事業主体は、本件事業の実施に当たり、試験棟取得のための構築物の購入費等に要したとする事業費20,340,925円(補助対象事業費19,609,719円)に対して、国庫補助金6,405,000円の交付を受けていた。
 しかし、事業主体は、上記補助対象事業費のうち、試験棟の取得費4,800,000円については、補助事業期間終了後に試験棟を取得したため、実際には補助事業期間内に支払っていなかった。
 したがって、適正な補助対象事業費は14,809,719円となり、前記の補助対象事業費19,609,719円との差額4,800,000円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金1,600,000円が過大に交付されていた。

(238)-(246) の計 282,159
(241,415)
83,893 91,233 29,205