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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第12 環境省|
  • 不当事項|
  • 補助金(261)−(264)

廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付額の算定に当たり、事務費率の適用を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの


(263)(264)廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付額の算定に当たり、事務費率の適用を誤ったため、補助金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)環境省 (項)廃棄物処理施設整備費
     平成11年度以前は、  
    厚生省所管 一般会計 (組織)厚生本省
         (項)環境衛生施設整備費
部局等の名称 (1) 富山県
(2) 香川県
補助の根拠 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等
補助事業者
(事業主体)
(1) 新川広域圏事務組合
(2) 観音寺市
補助事業 (1) 埋立処分地施設整備事業
(2) 汚泥再生処理センター整備事業
補助事業の概要 (1) 一般廃棄物を処理するため、埋立処分地、浸出水処理設備等からなる埋立処分地施設を整備するもの
(2) し尿及び浄化槽汚泥を処理するため、汚泥再生処理センターを整備するもの
事業費 (1) 2,275,350,000円 (平成10、11両年度)
  (うち補助対象事業費 1,779,531,600円)
(2) 1,719,795,000円 (平成10年度〜12年度)
  (   同   1,426,554,000円)
3,995,145,000円    
  (   同    3,206,085,600円)
上記に対する国庫補助金交付額 (1) 444,882,000円    
(2) 475,517,000円    
920,399,000円    
不当と認める補助対象事業費 (1) 12,260,000円 (平成10、11両年度)
(2) 18,771,000円 (平成10年度〜12年度)
31,031,000円    
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 3,065,000円 (平成10、11両年度)
(2) 6,256,000円 (平成10年度〜12年度)
9,321,000円    

1 補助金の概要

(廃棄物処理施設整備費国庫補助金)

 廃棄物処理施設整備費国庫補助金は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等に基づき、廃棄物の円滑かつ適正な処理を行うことにより生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、ごみ処理施設、埋立処分地施設、汚泥再生処理センター等の廃棄物処理施設の整備を行う市町村、一部事務組合等に対し交付されるものである。
 この補助金の対象となる経費は、「廃棄物処理施設整備費の国庫補助について」(昭和53年厚生省環第382号厚生事務次官通知。以下「交付要綱」という。)により、廃棄物処理施設の整備に要した工事費及び事務費とされている。

(事務費の算定)

 事務費は、事業の実施のために必要な事務に係る旅費、需用費、委託料等で、その補助の対象となる額は、交付要綱により、補助対象の工事費に所定の事務費率を乗じて得た額(以下「事務費基準額」という。)で、実支出額がこれより少ないときは実支出額とされている。そして、事務費率は、3.5%を最高として、工事費が増大するにつれて逓減するものとなっている。

2 検査の結果

 北海道ほか34都府県の323事業主体について検査したところ、富山県新川広域圏事務組合が平成10、11両年度に実施した埋立処分地施設整備事業(事業費2,275,350,000円、これに対する国庫補助金444,882,000円)及び香川県観音寺市が10年度から12年度までの間に実施した汚泥再生処理センター整備事業(事業費1,719,795,000円、これに対する国庫補助金475,517,000円)において、次のとおり、事務費率の適用を誤っている事態が見受けられた。
 すなわち、上記の2事業主体では、その補助対象となる工事費がそれぞれ1,757,271,600円、1,397,783,000円となっている。そして、補助金の交付申請書及び実績報告書の提出に当たり、事務費については、2.5%の事務費率を用いて事務費基準額を算出し、これより実支出額が少ないことから、その実支出額22,260,000円、28,771,000円により、補助対象事業費を1,779,531,600円、1,426,554,000円と算定していた。
 しかし、この事務費率は、9年10月に上記の2事業主体がそれぞれ県に提出した施設整備計画書において用いていた9年度当時の事務費率によったもので、10年度以降の事業については、交付要綱が改正されて、事務費率が次表のように改定されている。

9年度以前 10年度以降
工事費 率(%) 工事費 率(%)
5,000万円以下
5,000万円を超え10,000万円以下
10,000万円を超える場合
3.5
3.0
2.5
5,000万円以下
5,000万円を超え10,000万円以下
10,000万円を超え30,000万円以下
30,000万円を超え50,000万円以下
50,000万円を超え100,000万円以下
100,000万円を超える場合
3.5
3.0
2.5
2.0
1.0
0.5
事務費率を適用した場合の額が、当該事務費率の直近下位の事務費率を適用して計算される最高額に満たない場合は、当該最高額の範囲内において増額することができる。

 したがって、本件各事業の場合、正しくは0.5%の事務費率を適用すべきものであった。ただし、0.5%の事務費率を適用した場合、上表の注書きにあるように直近下位の事務費率1.0%を適用して計算される最高額10,000,000円に満たず、また、当該最高額が実支出額より少ないことから、事務費を各10,000,000円として補助対象事業費を算定すると、それぞれ1,767,271,600円、1,407,783,000円となり、これに対する国庫補助金441,817,000円、469,261,000円と交付済額との差額3,065,000円、6,256,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、2事業主体において、補助金交付額の算定に当たり交付要綱等に対する理解が十分でなかったこと、また、県において、事業主体から提出された実績報告書等の審査、確認が十分でなかったことなどによるものと認められる。