会計名及び科目 |
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部局等の名称 | 環境本省(平成13年1月5日以前は厚生本省) | ||||||||||||||||
補助の根拠 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等 | ||||||||||||||||
補助事業者 (事業主体) |
市4、町10、村1、一部事務組合16、計31事業主体 | ||||||||||||||||
補助事業 | 廃棄物処理施設整備事業 | ||||||||||||||||
補助事業の概要 | 一般廃棄物を処理するため、ごみ処理施設等の整備を行うもの |
事業費 | 483億5584万余円 | (平成10年度〜13年度) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 127億8241万円 | |
うち事務費に係る国庫補助金相当額 | 1億5103万余円 | |
節減できた事務費に係る国庫補助金相当額 | 4486万円 | (平成10年度〜13年度) |
1 補助事業の概要
環境省では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等に基づき、廃棄物の円滑かつ適正な処理を行うことにより生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、ごみ処理施設等の設置などの廃棄物処理施設整備事業(以下「施設整備事業」という。)を行う市町村、一部事務組合等に対し、廃棄物処理施設整備費国庫補助金(以下「国庫補助金」という。)を交付している。
そして、上記国庫補助金の交付額は、平成10年度1660億0859万余円、11年度1936億3718万余円、12年度2419億0370万余円、13年度2977億2442万余円と毎年度多額に上っている。
国庫補助金の交付額は、「廃棄物処理施設整備費の国庫補助について」(昭和53年厚生省環第382号厚生事務次官通知。以下「交付要綱」という。)等に基づき、その整備に要した工事費及び事務費を対象として次のとおり算定することとされている。
(ア) 国庫補助金の交付の対象となる事業費(以下「補助対象事業費」という。)は、交付要綱の算定基準によって算定される工事費及び事務費それぞれの基準額(実支出額が基準額より少ないときは実支出額)の合計額とする。
(イ) 補助対象事業費と、施設整備事業に要する総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較していずれか少ない方の額を国庫補助基本額とする。
(ウ) 国庫補助基本額に所定の補助率を乗じて得た額を交付額とする。
上記補助対象事業費のうち、事務費は、交付要綱において、補助事業者が事業を実施するために直接必要な事務に要する費用(旅費及び賃金、委託料等の庁費)とされており、その基準額(以下「事務費基準額」という。)は、工事費に次表の(1)から(6)にある工事費の額の区分に応じて定められた率(以下「事務費率」という。)を乗じて得た額の範囲内とするとされている。すなわち、事務費率は、交付要綱において、一般管理費率、現場管理費率等と同様、工事費が増大するにつれて逓減するものとして定められている。
工事費 | 事務費率 |
(1) 工事費が5,000万円以下の場合 (2) 工事費が5,000万円を超え10,000万円以下の場合 (3) 工事費が10,000万円を超え30,000万円以下の場合 (4) 工事費が30,000万円を超え50,000万円以下の場合 (5) 工事費が50,000万円を超え100,000万円以下の場合 (6) 工事費が100,000万円を超える場合 |
3.5% 3.0% 2.5% 2.0% 1.0% 0.5% |
2 検査の結果
施設整備事業においては、当該事業で実施する施設建設工事の工期が2箇年度以上にわたる場合が多く、また、建設工事の契約額が多額であることから、当該事業に係る事務費も多額となる。そこで、施設整備事業に係る補助対象事業費を算定する際の事務費の算出が適切なものとなっているかに着眼して検査を行った。
10年度から13年度までの間に、本件国庫補助金の交付を受けて実施された施設整備事業のうち、施設建設工事の工期が2箇年度以上にわたっているものを対象として、北海道ほか32都府県(注1) の203事業主体が実施した256事業における事務費の算出について検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記の256事業のうちの北海道ほか15県(注2)
の31事業主体が実施した34事業(事業費計483億5584万余円、国庫補助金計127億8241万円)においては、施設整備事業における施設建設工事の工期全体を1契約で実施しているが、工期が2箇年度以上にわたっていることから、全体工事費の額を補助対象となる各年度に分割し、その分割した各年度の工事費の額に事務費率を乗じて各年度の事務費基準額を算出し、10年度から13年度までの事務費基準額を計5億1491万余円(国庫補助金相当額1億5103万余円)としていた。
しかし、施設整備事業の工期が2箇年度以上にわたる施設建設工事においても、当該工事費の算出に際し、一般管理費、現場管理費等は、通常、当該工事に係る工事原価等の額に応じた一般管理費率、現場管理費率等に基づいて算出されている。そして、施設整備事業における事務費基準額の算出に当たっては、前記のとおり、交付要綱において、一般管理費、現場管理費等と同様、工事費の額の増大に応じて逓減する事務費率を乗じて算定することとされているのであるから、各年度に分割した工事費の額に全体工事費の額に適用される事務費率と比べて高率となる事務費率を乗じて事務費基準額を年度ごとに算出しているのは適切ではないと認められた。
したがって、施設整備事業において、施設建設工事の工期が2箇年度以上にわたる場合の事務費基準額は、各年度に分割した工事費の額ではなく、全体工事費の額に応じた事務費率を乗じて算出することとし、もって国庫補助金が適切に算定されるよう改善する要があると認められた。
前記34事業について、全体工事費の額に事務費率を乗じて事務費基準額を算出すると3億5725万余円となり、これに基づいて事務費に係る国庫補助金相当額を計算すると1億0616万余円となることから、この34事業について交付を受けた前記の事務費に係る国庫補助金相当額1億5103万余円との差額4486万余円が節減できたと認められる。
このような事態が生じていたのは、環境省において、交付要綱に施設整備事業が2箇年度以上にわたる場合の各年度の事務費基準額の算出方法を明確に定めていなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、環境省では、15年5月に交付要綱を改正し、施設整備事業が2箇年度以上にわたる場合の事務費基準額については、全体工事費の額に対応した事務費率に基づき算出することとし、算出した事務費基準額は、その範囲内で各年度に配分することとする処置を講じた。
(注1) | 北海道ほか32都府県 北海道、東京都、京都、大阪両府、青森、岩手、宮城、秋田、山形、埼玉、千葉、新潟、富山、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、兵庫、奈良、和歌山、岡山、鳥取、広島、山口、愛媛、香川、徳島、福岡、長崎、佐賀、宮崎、鹿児島各県 |
(注2) | 北海道ほか15県 北海道、青森、岩手、宮城、山形、岐阜、静岡、愛知、滋賀、兵庫、岡山、山口、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島各県 |