科目 | (畜産助成勘定)(項)畜産助成事業費 |
部局等の名称 | 農畜産業振興事業団(平成15年10月1日以降は独立行政法人農畜産業振興機構)本部 |
補助の根拠 | 農畜産業振興事業団法(平成8年法律第53号) |
事業主体 | 社団法人全日本畜産経営安定基金協会(平成15年1月31日以降は社団法人全日本配合飼料価格・畜産安定基金) |
事業の委託先 | 社団法人新潟県配合飼料価格安定基金協会 |
助成事業 | BSE対応肉用牛肥育経営特別対策 |
事業の概要 | 牛海綿状脳症(BSE)の関連対策の一環として、牛肉の取引価格の低下により、素牛費、飼料費等の生産費も賄えない状況となっている肥育牛の生産者に対して、その経営の安定を図るために経費の不足を補てんするもの |
補てん金交付額 | 460,313,600円 | (平成13、14両年度) |
上記に対する事業団の補助金交付額 | 460,313,600円 | |
不当と認める補てん金交付額 | 3,971,500円 | (平成13、14両年度) |
不当と認める事業団の補助金交付額 | 3,971,500円 | (平成13、14両年度) |
1 事業の概要
農畜産業振興事業団(以下「事業団」という。)では、平成13年9月10日に発生が確認された牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)の関連対策の一環として、社団法人全日本畜産経営安定基金協会(15年1月31日以降は社団法人全日本配合飼料価格・畜産安定基金。以下「全日本協会」という。)等が事業主体となって13、14両年度に実施したBSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業に対して補助金を交付している。
この事業は、BSEの発生確認に伴う牛肉の取引価格の低下により、肥育牛の生産者が素牛費、飼料費等の生産費も十分に賄えない状況となっていることから、その経営の安定を図るため、農林水産省が定めたBSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業実施要領(平成13年13生畜第4311号農林水産省生産局長通知)等に基づき、肥育牛の生産者における素牛、飼料等の購入費等の経費の不足について補てん金を交付するものである。この補てん金は、農林水産省が肥育牛の一月ごと及び品種区分(肉専用種、乳用種及び交雑種の別)ごとに行う統計調査の結果、肥育牛1頭当たりの月平均粗収益が肥育牛1頭当たりの家族労働費を除く生産費を下回った場合に、その下回った額を限度として肥育牛を販売した生産者に交付されるものとなっている。
ここで、肥育牛とは肉用牛として出荷することを目的として飼養されている牛で、このうち補てん金の対象となる肥育牛は、専ら肉量の増加を目的としておおむね10箇月以上飼養された牛であること、品種区分、肥育期間、販売年月日等が的確に把握できるものであることなどの要件を満たす牛とされている。また、当該肥育牛が繁殖に供されなくなった経産牛である場合には、肉量の増加を目的として飼養していたかどうかを確認する意味で、更に出荷時の重量に関する要件があり、枝肉で出荷される乳用種の経産牛については、その枝肉重量が400kg以上の牛とされている。
そして、生産者は、補てん金の対象となる肥育牛を販売したときは、全日本協会等から事業の委託を受けている各都道府県の配合飼料価格安定基金協会等に、その販売を証する書面とともに販売の実績報告書を提出し、各都道府県の協会等は、販売された肥育牛が補てん金の対象となる牛であることを確認した上で、これを全日本協会等に提出することとされている。
全日本協会では、社団法人新潟県配合飼料価格安定基金協会(以下「新潟県協会」という。)から提出された生産者からの肥育牛の販売の実績報告書等に基づき、13年度1,356頭分189,929,800円、14年度1,918頭分270,383,800円、計3,274頭分460,313,600円の補てん金を交付し、これにより事業団から同額の補助金の交付を受けている。
2 検査の結果
上記の3,274頭について、生産者から新潟県協会に提出された販売の実績報告書等により検査したところ、経産牛143頭のうち乳用種の経産牛13年度20頭、14年度5頭、計25頭は、出荷時の枝肉重量がいずれも400kgを下回っており、補てん金の交付対象としての要件を満たしていなかった。
このような事態が生じていたのは、新潟県協会において制度に対する認識が十分でなく、生産者に対して交付要件の周知徹底を図らなかったこと及び交付要件の確認が十分でなかったこと並びに全日本協会において新潟県協会に対する指導が、また、事業団において全日本協会に対する指導がそれぞれ十分でなかったことによると認められる。
したがって、これら25頭に係る補てん金計3,971,500円(事業団の補助金相当額同額)は、交付対象とならない牛を対象に交付されたものであって、不当と認められる。