科目 | (項)安全性研究費 |
(項)核融合研究費 | |
(項)放射線利用研究費 | |
(項)原子力試験研究費 | |
(項)共通経費 | |
(項)一般管理費 | |
(項)事業運営費 | |
部局等の名称 | 日本原子力研究所本部、東海、高崎両研究所(契約部局) |
日本原子力研究所本部、東海、大洗、那珂、高崎各研究所(支払部局) | |
契約の概要 | 電子複写機で使用するコピー用紙の購入 |
契約金額 | 7810万余円 | (平成13、14両年度) |
節減できた購入額 | 3390万円 | (平成13、14両年度) |
1 契約の概要
日本原子力研究所では、原子力施設の安全性研究、核融合研究等の業務を行うに当たり、必要となる物品等の購入契約を締結している。そして、本部ほか6研究所等(注)
(以下「各研究所等」という。)では、これらの業務において電子複写機を頻繁に使用することから、これに伴い必要となるコピー用紙を大量に購入し、日常的に使用している。
各研究所等における物品等の購入契約は、日本原子力研究所会計規程(昭和45年達第7号)等に基づき実施されており、あらかじめ物品等の規格、数量等を定めた仕様書を作成の上、原則として一般競争に付して行うこととなっている。ただし、契約の性質又は目的が一般競争に付することに適さないなどの場合には、指名競争に付し、又は随意契約によることができることとなっている。
2 検査の結果
各研究所等では、平成13、14両年度にコピー用紙(カラー用紙を除く。以下「用紙」という。)の購入を、13年度において21件(契約総額4010万余円)、14年度において19件(契約総額4323万余円)それぞれ随意契約により行っている。
コピー用紙のような、特殊な品質が要求されず、毎年大量かつ継続的に使用され、契約額が多額に上る物品の購入については、原則として一般競争に付することとされているが、各研究所等では、上記のように随意契約により購入している。
そこで、各研究所等における用紙購入契約について、用紙の仕様は適切か、仕様と契約方式の関連性はどのようになっているか、また、契約額は割高になっていないかなどに着眼して検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
各研究所等のうち、本部及び東海、高崎両研究所(以下「3研究所等」という。)では、電子複写機で使用する用紙を、その規格ごとに一箱当たりの価格を定めるなどした単価契約により購入しており、その契約件数及び契約総額は、13年度で5件、3778万余円、14年度で5件、4031万余円、両年度で計10件、7810万余円となっていた。
なお、東海研究所では、那珂、大洗両研究所で使用する用紙についても一括して契約している(支払は各研究所で行っている)。
3研究所等では、上記の契約に当たり、次のように商品名を指定した仕様により用紙の購入を行っていた。
すなわち、本部及び東海研究所では、使用している電子複写機のメーカーが、本部は1社、東海研究所は那珂、大洗両研究所の分も含めて3社であったことから、それぞれの電子複写機のメーカーが推奨する特定製造メーカーの用紙の商品名を指定した仕様としていた。また、高崎研究所では、使用している電子複写機のメーカーは2社であったが、このうち設置台数の多い電子複写機のメーカーが推奨する商品名を指定した仕様としていた。このため、当該指定商品を供給できる用紙販売業者が限定されることになり、競争に付することに適さないとして、随意契約によっていた。
そして、3研究所等が用紙の仕様において上記のような取扱いをしていたのは、電子複写機のメーカーが推奨する用紙を使用しない場合、機器の品質劣化や機能不全を招くおそれがあることを理由としていた。
しかし、近年、電子複写機の性能や用紙の品質が向上してきており、信頼できる製造メーカーの用紙であれば一定の品質が確保されていることから、どの機種でも使用できる状況になっている。このため、仕様においては、JIS規格の試験方法による紙厚や古紙配合率の数値等を示したり、例示的に特定の商品名を示す場合であってもそれと同等品、相当品としたりなどした仕様(以下「一般的な仕様」という。)とすれば足り、特定の商品名を指定する必要はないと認められた。
現に、本院が他機関における用紙の調達状況を調査したところ、いずれの機関においても、その仕様は一般的な仕様になっており、あらかじめ特定の商品名を指定しているものはなく、また、この仕様により購入した用紙を使用しても、特段の支障は生じていない状況であった。そして、上記の他機関における用紙の単価は、3研究所等の購入単価に比べて40%〜50%程度安価になっていた。
また、各研究所等のうち、関西研究所及びむつ事業所においては、契約金額が少額なため、必要の都度、随意契約により用紙を購入していたが、その仕様については、電子複写機の機種にかかわらず、商品名を指定しない一般的な仕様としていた。そして、上記の他機関と同様に、一般的な仕様により購入した用紙を使用しても特段の支障は生じておらず、また、用紙の単価も3研究所等に比べて40%程度安価になっていた。
したがって、3研究所等においても、商品名を指定せず一般的な仕様とすることにより、異なる商品を取り扱う用紙販売業者が入札に参加できることから、契約における競争性が確保され、経済的な用紙の調達を行うことができると認められた。
13、14両年度の用紙購入額7810万余円について、上記の他機関における購入単価を基に修正計算すると、購入額は約4410万円となり、約3390万円が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、3研究所等において、近年、電子複写機の性能及び用紙の品質が向上し、特定の製造メーカーの商品に限定しなくても機器を支障なく使用できる状況となっているのにこれに対する認識が不足していたこと、また経済的な購入を行うことについての認識が十分でなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、日本原子力研究所では、用紙購入契約における競争性を確保し、その経費が経済的なものとなるよう、15年8月に、各研究所等に対して通知文書を発し、電子複写機の使用に支障を来さない品質の用紙であれば製造メーカーを限定しない旨の共通仕様書を定め、同年10月における契約から適用する処置を講じた。