科目 | (新エネルギー勘定)エネルギー需給構造高度化業務経理 | |
(項)その他の石油代替エネルギー開発等事業費 | ||
部局等の名称 | 新エネルギー・産業技術総合開発機構(平成15年10月1日以降は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)本部 | |
補助の根拠 | エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号) | |
補助事業者 | 財団法人省エネルギーセンター | |
間接補助事業者(事業主体) | 地球環境平和財団 | |
補助事業 | 省エネルギー設備導入事業 | |
補助事業の概要 | 地域レベルにおける省エネルギー設備の導入を図るために、平成13年度に、4軒のペンションに熱交換給湯システムを設置するもの |
事業費 | 41,415,897円 | |
上記に対するセンターの補助金交付額 | 18,997,718円 | |
上記に対する機構の補助金交付額 | 18,997,718円 | |
不当と認める事業費 | 41,415,897円 | |
不当と認めるセンターの補助金交付額 | 18,997,718円 | |
不当と認める機構の補助金交付額 | 18,997,718円 |
1 補助事業の概要
新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)では、国の補助金を財源として、財団法人省エネルギーセンター(以下「センター」という。)に対し、新エネルギー・省エネルギー地域活動支援事業費補助金(省エネルギー地域活動支援事業)を交付している。
この補助金は、センターが、民間団体等が第三者のために実施する省エネルギー設備導入事業等を対象として、その実施に要した経費の額に2分の1を乗じるなどして算定した額を省エネルギー地域活動支援事業費補助金(以下「センター補助金」という。)として民間団体等に交付する場合に、センターに対しその同額が交付されるものである。
センターでは、平成13年度に、省エネルギー設備導入事業(以下「補助事業」という。)を実施した地球環境平和財団(以下「財団」という。)に対し、センター補助金18,997,718円を交付していた。
本件補助事業は、ペンション4軒に貯水槽、ボイラー、熱交換器等から成る温泉熱を利用した熱交換給湯システムを設置することにより、ペンションにおける灯油使用量を削減し省エネルギー効果を発現させるものである。
そして、財団では、本件補助事業が完了したとして、〔1〕システムの設置工事費30,470,034円、〔2〕システムの設計・施工監理業務に係る委託費7,980,000円、及び〔3〕事業の実施に係る旅費等の経費(以下「その他経費」という。)2,965,863円、計41,415,897円の事業費を要したとする実績報告書等を14年1月にセンターに提出し、同年3月にセンター補助金18,997,718円の交付を受けていた。
2 検査の結果
検査したところ、本件補助事業は、実績報告書の内容が事実と異なるなどしていて、次のとおり適切を欠いたものとなっていた。
(ア)財団では、本件補助事業を事業費の2分の1に相当する自己負担を行うことなくセンター補助金の額以内で実施するため、センター補助金の交付決定を受けた際の事業費に合わせた虚偽の見積書や契約書を施工業者に作成させるなどしていた。
また、設置工事費30,470,034円を全く支払っていないにもかかわらず、施工業者に虚偽の領収証等を作成させた上、これを実績報告書に添付して、工事代金を全額支払ったこととしていた。さらに、委託費及びその他経費計10,945,863円についても、実績報告書を提出するまでに実際に支払っていたものは、その他経費の中の旅費の一部の24,570円のみで、他は設置工事費と同様に、業者に虚偽の領収証等を作成させるなどしていた。
(イ)財団では、4軒のペンションにそれぞれシステムを設置したとして、実績報告書に設置機器等の一覧表を添付してセンターに報告していたが、実際の設置状況についてみると、1軒については、既設の貯水槽を囲う小屋囲いを施工したのみで、機器を全く新設しておらず、また、他の3軒については、一部の機器を新設せずに既設のものをそのまま使用していて、実績報告書の内容と異なっていた。
そこで、本件設置工事の実施に伴い作成したとする設計図書により工事内容を確認しようとしたところ、当該設計図書は不明確な点が多く、具体的な内容が明確には把握できず、本件補助事業で実施したとしているシステムの設置工事の内容が判然としない状況であった。
このような事態が生じていたのは、財団において、補助事業を適正に実施することについての基本的な認識が欠如していたこと、機構及びセンターにおいて、本件補助事業の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業は、その実施が著しく適切を欠いたものとなっていて、これに係る機構からの補助金交付額18,997,718円が不当と認められる。