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中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの


(271)中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 一般会計(雇用保険勘定) (項)雇用安定業務費
部局等の名称 北海道センターほか7センター
支給の相手方 17事業主
中小企業雇用創出人材確保助成金の支給額の合計 80,632,287円 (平成11年度〜14年度)
不適正支給額 51,266,849円 (平成11年度〜14年度)

1 中小企業雇用創出人材確保助成金の概要

(中小企業雇用創出人材確保助成金)

 雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)では、新たな事業分野への進出又は事業の開始(以下「新分野進出等」という。)に係る改善計画を都道府県知事に提出し、その認定を受け、新分野進出等に必要となる労働者(以下「対象労働者」という。)を雇い入れた中小企業者(以下「事業主」という。)に対して中小企業雇用創出人材確保助成金(以下「助成金」という。)を支給している。この助成金は、中小企業における良好な雇用機会の創出の促進を図るため、雇用保険で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、事業主の当該対象労働者に係る賃金負担の一部を助成するものである。

(中小企業雇用創出人材確保助成金の支給)

 助成金の支給を受けようとする事業主は、都道府県知事に改善計画を提出した後、機構の各都道府県センター(以下「都道府県センター」という。)に対し、新分野進出等に伴う事業の用に供するための施設又は設備等の計画、対象労働者の雇入れ見込み数などを記載した実施計画を提出することとなっている。そして、支給対象期(対象労働者の雇入れ日(注1) から起算した6箇月。平成13年9月30日までに対象労働者を雇い入れた場合は、この最初の6箇月を第1期、次の6箇月を第2期とする各期)の末日の翌日から1箇月以内に、都道府県センターに対し、施設又は設備等の内容及び費用の額、対象労働者の氏名などを記載した支給申請書及び申請に必要な添付書類を提出することとなっている。
 都道府県センターは、支給申請書等の記載内容を確認の上、支給要件に適合しているかどうかを審査して支給を決定し、これに基づいて助成金を支給することとなっている。
 助成金は次のことなどを支給要件としている。
〔1〕 対象労働者が事業主の新分野進出等に係る部署において勤務していること
〔2〕 新分野進出等のための施設又は設備等に要する費用を300万円以上負担すること
〔3〕 実施計画の提出日の翌日を始期、改善計画の認定日の翌日から起算して1年を終期とする期間内において実施計画で定められた期間(以下「実施計画期間」という。)内に対象労働者を新たに雇い入れること
 そして、その支給額は、対象労働者の賃金に相当する額の一部(注2) (13年9月30日までに対象労働者を雇い入れた場合は、支給対象期ごとに、対象労働者に支払った賃金の額に所定の支給率(注3) を乗じて得た額)となっている。

(注1) 対象労働者の雇入れ日 賃金締切日が定められている場合は、雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日
(注2) 賃金に相当する額の一部 支給対象期の末日が属する年度の前年度に係る当該事業所の労働保険の確定保険料算定の基礎となった賃金総額に基づき算定した6箇月分の平均賃金額の4分の1の額。当該事業所が創業間もないなどのため、前年度の確定保険料を有しない場合は、1人当たり40万円
(注3) 所定の支給率 3分の1。暫定措置として対象労働者を平成11年1月1日から12年9月30日までの間に雇い入れた場合及び12年5月16日から13年3月31日までの間に公共職業訓練を修了した者を12年10月1日から13年9月30日までの間に雇い入れた場合は2分の1

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道センターほか15センターにおいて、11年度から14年度までの間に助成金の支給を受けた事業主のうち276事業主について、支給申請書等の記載内容が事実でかつ支給要件に合致するかに着眼して検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道センターほか7センターで、17事業主に対する支給(支給額80,632,287円)について51,266,849円が適正に支給されていなかった。
 上記の不適正支給となっていたものの主な態様は、次のとおりである。
(ア) 新分野進出等に係る部署以外の部署で勤務している者を対象労働者として申請した事業主に対して支給していたもの
(イ) 施設又は設備等の費用について、実際には300万円以上は支払っていないのに支払ったこととして申請した事業主に対して支給していたもの
(ウ) 実施計画期間前に既に雇い入れている者を新たに雇い入れたこととして申請した事業主に対して支給していたもの
 このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったため支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、北海道センターほか7センターにおいて、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによると認められる。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県センター別に示すと次のとおりである。

都道府県センター名 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した中小企業雇用創出人材確保助成金 左のうち不適正中小企業雇用創出人材確保助成金

北海道センター

18

3
千円
17,812
千円
8,783
茨城センター 12 1 601 601
東京センター 15 2 18,855 13,326
神奈川センター 15 2 15,597 5,681
長野センター 14 3 6,111 3,390
徳島センター 20 3 5,969 4,042
愛媛センター 20 1 914 671
福岡センター 20 2 14,770 14,770
134 17 80,632 51,266