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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第33 独立行政法人農業技術研究機構)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

研究用機器等の設置に当たり、据付け等の作業の実態を考慮の上、施設整備工事に含めずに別途購入することにより、共通費の積算額の低減を図るよう改善させたもの


研究用機器等の設置に当たり、据付け等の作業の実態を考慮の上、施設整備工事に含めずに別途購入することにより、共通費の積算額の低減を図るよう改善させたもの

科目 建物、構築物及び建設仮勘定
部局等の名称 独立行政法人農業技術研究機構(平成15年10月1日以降は独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構)
工事名 動物衛生研究所動物衛生高度研究施設新営工事ほか6工事
工事の概要 試験研究等のための施設の新設、改修等を行う工事
工事費 73億3965万余円  
請負人 動物衛生研究所動物衛生高度研究施設新営奥村組・テクノ菱和・弘電社異工種建設工事共同企業体ほか4会社
契約 平成14年6月〜15年2月 一般競争契約、随意契約
共通費の積算額 9億9966万余円  
低減できた共通費の積算額  5310万円  

1 施設整備工事の概要

(契約の機要)

 独立行政法人農業技術研究機構(以下「機構」という。)では、農業に関する技術上の試験及び研究等を行うことにより、農業に関する技術の向上に寄与することを目的として、平成14、15両事業年度に、機構の内部組織である動物衛生研究所ほか4研究所(注) において、動物衛生研究所動物衛生高度研究施設新営工事ほか6工事を、計73億3965万余円で実施している。これらは、試験研究等のための施設の新設、改修等を行う施設整備工事であるが、この工事に当たって、上記の施設で使用する電子顕微鏡、分光光度計、炭酸ガスインキュベーターなどの研究用機器等215台(積算額計12億0543万余円)を設置している。

(研究用機器等の設置に係る費用の積算)

 施設整備工事で設置される研究用機器等の積算価格については、同工事の設計・積算業務を委託された設計業者が、研究用機器等の取扱業者から徴した見積価格(本体価格のほか、運搬費、据付調整費及び試験運転調整費を含めた価格)を基に算定している。
 そして、機構が施設整備工事の積算をする際に準拠している農林水産省大臣官房経理課制定の「営繕工事積算基準」、「営繕工事共通費積算基準」及び「営繕工事共通費積算基準の運用」によれば、施設整備工事については、直接工事費に加えて共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等(以下、これらを併せて「共通費」という。)を算定することとなっており、上記の研究用機器等についても共通費が積算されることとなる。
 機構では、研究用機器等を施設整備工事で設置することについて、元請の施設整備工事業者と研究用機器等の取扱業者が同工事で施工した配線、配管等への接続の調整をしたり、機器等の規格に応じた据付位置やスペースの調整等をしたりするため、工事と一体として設置する必要があるとしている。

2 検査の結果

(検査の着眼点及び対象)

 機構では、毎年、研究用機器等を多数調達しており、施設整備工事に含めて設置しているものも多くあることから、機器等の設置に係る積算が作業の実態を反映したものとなっているかに着眼して、前記の電子顕微鏡等215台の研究用機器等の積算額計12億0543万余円及び前記7工事に係る共通費積算額計9億9966万余円を対象として検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、上記の研究用機器等215台のうち、電子顕微鏡等121台(積算額計4億8934万余円)については、研究用機器等の取扱業者が、自ら実験台の上に設置したり、施設整備工事で既に配線、配管された電源コンセント、ガス管あるいは配水管等に接続又は挿入したりしていて試験運転も完了していた。そして、その設置に当たって、元請の施設整備工事業者と研究用機器等の接続や据付位置等について、特段の調整などを行ってはいなかった。
 したがって、研究用機器等の中には、施設整備工事に含めずに、別途購入により設置することとしても支障がないものがあり、これらについては機器等の共通費を積算する要がないものと認められた。

(低減できた共通費)

 前記の電子顕微鏡等121台について、施設整備工事に含めずに別途研究用機器等の購入により設置することとして、共通費を修正計算すると、計9億4649万余円となり、前記の積算額計9億9966万余円を約5310万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、研究用機器等の設置に当たって経済的な調達に対する配慮が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、15年10月に機構の事業を承継し、生物系特定産業技術研究推進機構の事業を追加した独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構では、同年10月に各研究所に対して事務連絡を発し、施設整備工事と併せて研究用機器等を設置する場合、その据付け等の作業の実態を十分考慮の上、別途購入により設置することとしても支障がないものは施設整備工事に含めずに契約することとし、同年11月以降に契約する工事から適用することとする処置を講じた。

動物衛生研究所ほか4研究所 中央農業総合研究センター、果樹研究所、畜産草地研究所、動物衛生研究所、東北農業研究センター