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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第42 東日本電信電話株式会社、第43 西日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項|
  • (東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社)

独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算を適切に行うよう改善させたもの


(3)(4)独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算を適切に行うよう改善させたもの

会社名 (1) 東日本電信電話株式会社
(2) 西日本電信電話株式会社
科目 (1) 営業費用
(2) 営業費用
部局等の名称 (1) 東日本電信電話株式会社長野支店ほか7支店
(2) 西日本電信電話株式会社静岡支店ほか10支店
契約名 独身寮運営請負契約
契約の概要 独身寮の運営に関する業務として、入居者に対する食事の提供等の業務を行わせるもの
契約の相手方 (1) 財団法人電気通信共済会
(2) 財団法人電気通信共済会
契約 平成14年3月〜4月 随意契約
独身寮の運営に関する業務に係る請負費 (1)  5億3155万余円 (平成14年度)
(2)  6億8274万余円 (平成14年度)
節減できた請負費 (1)  1億2270万円 (平成14年度)
(2) 1億5850万円 (平成14年度)

1 契約の概要

(独身寮の運営に関する業務)

 東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、社員に対する福利厚生の一環として独身寮(単身寮を含む。以下同じ。)を多数管理・運営している。そして、独身寮の運営に関する業務(以下「運営業務」という。)について、NTT東日本では、本社及び各支店において財団法人電気通信共済会ほか1会社に、また、NTT西日本では、本社及び各支店において同財団法人に、それぞれ請け負わせている。
 両会社では、請け負わせる運営業務の内容を次のとおりとし、これを年間(365日)を通じて行わせ、食事については、原則として朝・夕の1日2回提供させることとしている。
〔1〕 調理業務(入居者に対する食事の提供及びこれに付帯する業務)
〔2〕 管理補助業務(火災・盗難の予防、施設の監視等の寮管理の補助的業務)
〔3〕 清掃業務(施設内外の共用部分の清掃及び衛生の保持に関する業務)

(運営業務に要する費用の積算)

 両会社では、運営業務に係る請負契約に当たっては、「平成10年度の運営請負契約について」(平成10年日本電信電話株式会社事務連絡第85号。以下「事務連絡」という。)等に基づき、独身寮ごとに、次のとおり1年間の運営業務に要する費用の額(以下「運営費」という。)を積算することとしている。

独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算を適切に行うよう改善させたものの図1

 そして、年間の労務単価及び調理業務に必要な人員数は、次により算出することとしている。
〔1〕 年間の労務単価は、調理業務が年間(365日)を通じて行われることを前提としていることから、厚生労働省の調査による類似業種における常用労働者の現金給与総額をその労働者1名が365日稼働することとした場合の金額に換算するなどして算出する。
〔2〕 調理業務に必要な人員数は、次の式により算出する。

独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算を適切に行うよう改善させたものの図2

 このうち、喫食率は、入居者全員が必ずしも毎回食事をするとは限らないことから、実際には食事が提供されないこととなる食数に対応した人員数を減ずるために乗じるものである。そして、喫食率は、次の式により、過去1年間について各月ごとに算出した月間の喫食率のうちの最大のものを使用することとしている。

独身寮の運営に関する業務に要する費用の積算を適切に行うよう改善させたものの図3

2 検査の結果

(検査の着眼点)

 両会社では、独身寮を多数管理・運営しており、運営業務に係る請負費も多額に上っていることなどから、運営費の積算が適切に行われているかに着眼して検査した。

(検査の対象)

 NTT東日本については、本社及び長野支店ほか7支店(注1) の独身寮126施設(請負費16億5633万余円)について検査した。また、NTT西日本については、本社及び名古屋支店ほか12支店(注2) の独身寮114施設(請負費12億0560万余円)について検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 食事は年間(365日)を通じて1日2回提供することとなっていて、年間の労務単価についても、365日の通年稼働を前提としたものとなっている。また、喫食率は、入居者全員が必ずしも365日朝・夕食事をするとは限らないことから、実提供食数に応じて適切な調理業務に必要な人員数を算出するために用いる率である。したがって、「月間の喫食率」を算出する際の「各月の食事提供回数」は、通年稼働を前提とした各月ごとの食事の提供予定回数である「各月の暦上の日数×2」の数を用いる必要があり、NTT東日本本社において請け負わせた独身寮75施設、NTT西日本本社及び名古屋支店ほか1支店(注3) において請け負わせた独身寮42施設については、この数により喫食率が算出されていた。
 しかし、NTT東日本の長野支店ほか7支店(独身寮51施設、これに係る請負費5億3155万余円)及びNTT西日本の静岡支店ほか10支店(注4) (独身寮72施設、これに係る請負費6億8274万余円)においては、次のような誤った方法により喫食率を過大に算出していた。
(ア) NTT東日本の長野支店ほか2支店(注5) 及びNTT西日本の静岡支店ほか10支店では、「各月の食事提供回数」について、休日等で食事を提供しなかった回数を除外し、実際に食事を提供した回数とするなどして喫食率を算出していた。
(イ) NTT東日本の宮城支店ほか4支店(注6) では、事務連絡に基づく喫食率の算出方法によらず、各日ごとに、朝、夕それぞれの提供食数を入居者数で除しで求めた数値の平均値を求め、これらのうち年間で最大の値を喫食率とするなど、各支店の独自の考え方により喫食率を算出していた。

(節減できた請負費)

 本件について、適切な喫食率に基づき運営費を積算したとすると、NTT東日本の長野支店ほか7支店における独身寮51施設に係る請負費5億3155万余円は4億0882万余円、NTT西日本の静岡支店ほか10支店における独身寮72施設に係る請負費6億8274万余円は5億2422万余円となり、それぞれ約1億2270万円、約1億5850万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
(ア) NTT東日本の本社及びNTT西日本の本社において、「各月の食事提供回数」の定義を明確にしないまま、これを用いて喫食率を算出することとしていたこと
(イ) NTT東日本の各支店及びNTT西日本の各支店において、喫食率の趣旨について十分理解していなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本及びNTT西日本では、15年9月に各支店に対して指示文書を発し、運営費の積算方法、特に喫食率の具体的な算出方法を周知徹底する処置を講じた。

(注1) 長野支店ほか7支店 長野、新潟、宮城、福島、青森、山形、秋田、北海道各支店
(注2) 名古屋支店ほか12支店 名古屋、静岡、岐阜、三重、金沢、広島、岡山、山口、愛媛、福岡、熊本、鹿児島、沖縄各支店
(注3) 名古屋支店ほか1支店 名古屋、三重両支店
(注4) 静岡支店ほか10支店 静岡、岐阜、金沢、広島、岡山、山口、愛媛、福岡、熊本、鹿児島、沖縄各支店
(注5) 長野支店ほか2支店 長野、新潟、北海道各支店
(注6) 宮城支店ほか4支店 宮城、福島、青森、山形、秋田各支店