科目 | 設備投資勘定 | |
部局等の名称 | 東日本電信電話株式会社本社 | |
購入の概要 | 平成14年度に、光ファイバケーブルを利用したインターネット接続サービスを提供するための装置としてメディアコンバータ、スイッチングハブ及びルータを購入するもの | |
購入数量 | メディアコンバータ | 613台 |
スイッチングハブ | 497台 | |
ルータ | 757台 | |
購入費 | 25億2479万余円 | |
上記のうち購入の要がなかった数量 | メディアコンバータ | 83台 |
スイッチングハブ | 11台 | |
ルータ | 11台 | |
節減できた購入費 | 5240万円 |
1 設備の概要
東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)では、平成13年8月から、加入者と設備センタビルとの接続に光ファイバケーブルを使用することで、インターネットに高速で接続する月額利用料定額のサービスをBフレッツとして提供している。
このサービスには、接続速度等の違いにより、ベーシックタイプ、ビジネスタイプ、マンションタイプ、ファミリータイプ及びニューファミリータイプの種別がある。
そして、NTT東日本では、14年度末現在で、東京支店ほか16支店(注1)
において、合計111,047契約のBフレッツのサービスを提供している。
NTT東日本では、Bフレッツのサービスを提供するため、設備センタビルに、〔1〕加入者側の回線で使用する光信号と設備センタビルで使用する電気信号とを相互に変換するメディアコンバータ等、〔2〕プロバイダと加入者とのインターネット接続を有効にするルータ、〔3〕メディアコンバータ等からの複数の配線をルータに接続するスイッチングハブを設置しており、〔1〕〜〔3〕の各装置は加入者側からメディアコンバータ等、スイッチングハブ、ルータの順に接続されている(参考図1参照)
。
そして、各装置の設置台数の決定方法及び接続端子等の使用方法については、本社が制定した「標準実施方法 地域IP網設備(IP網)」(以下「標準実施方法」という。)等において定められている。
メディアコンバータ等には、Bフレッツのサービス種別に応じた複数の種類があり、いずれも、加入者側の光ファイバケーブルを接続する加入者収容パッケージを搭載するスロットを複数個有しており、スイッチングハブと接続するための接続端子も複数個有している。
そして、メディアコンバータ等のうちビジネスタイプ、べーシックタイプ及びニューファミリータイプの回線を収容する装置(以下「MCII」という。)のスロットの使用方法は、本社の指示により、設備センタビルに設置する1台目については、ビジネスタイプの需要があることを見込んで1番目から6番目までのスロットはビジネスタイプのみに使用することとされており、7番目以降のスロットは他の2種類のサービスで使用することとされている。また、スロットを使い切った場合には、順次増設することとされており、2台目以降に設置するMCIIについては、スロットの位置に関係なく3種類すべてのサービスで使用することとなっている(参考図2参照)
。
スイッチングハブに装備されているメディアコンバータ等との接続端子については、標準実施方法において、サービス種別ごとに使用する端子の数を固定した複数の使用パターンが定められており、この使用パターンを適切に選択して、メディアコンバータ等が有する接続端子を、サービス種別ごとにすべて接続できるだけの台数を設置することとなっている。
また、ルータは、標準実施方法において、スイッチングハブを設置するごとにこれに対応して設置することとされている。
Bフレッツのサービスヘの加入の申込みは、各支店の販売部門で受け付けており、同部門では、この情報を顧客情報等を管理する社内用のシステム(以下「社内システム」という。)に入力し、これにより使用する装置等を決定するほか、設備構築部門が設置した装置の設置状況もこれとは別に入力している。
また、各支店の設備構築部門では、設備センタビル別の販売計画に基づいて、メディアコンバータ等の台数やメディアコンバータ等とスイッチングハブとの接続端子数が不足する時期を予測するなどして、Bフレッツのサービス提供に必要な各装置を設置するための設備計画を策定している。
2 検査の結果
Bフレッツのサービスは提供を開始して以降、サービスエリアの拡大等に伴い、加入者が増加している。また、Bフレッツのサービスを提供するための装置は、その性能が向上しており、価格も下落する傾向にある。そこで、これら装置の購入が経済的、効率的に行われているかに着眼して検査した。
東京支店ほか16支店において、14年度に購入し設備センタビルに設置したMCII613台、スイッチングハブ497台及びルータ757台に係る購入費25億2479万余円を対象として検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(ア) 設備センタビルに設置される1台目のMCIIのスロットについては、1番目から6番目まではビジネスタイプのみに使用することとされているため、ベーシックタイプ及びニューファミリータイプに対する需要が見込まれる場合、この部分に未使用のものがある場合でも新たに2台目以降のMCIIを増設していたものがあった。
これらについて、1番目から6番目までのスロットの使用をビジネスタイプに限定せず、他の2種類のサービスにも使用できるものとすれば、新たにMCIIを購入する要がなかったと認められるものがあった。
(イ) スイッチングハブに関する設備計画の策定に当たっては、メディアコンバータ等との接続端子のサービス種別ごとの使用状況について把握する要があるが、社内システムに入力されたデータが利用できるようになっていなかったため、設備構築部門では、社内システムのデータとは別に、販売部門から提供された一定期間の販売状況を集計したものを使用していた。そして、この数値は設備計画策定時には、必ずしも最新のデータとはならないとして、直近の販売状況を推測して見積もっており、このことなどのため、設備計画が過大となり、スイッチングハブを過大に購入して増設しているものがあった。
これらについては、新たにスイッチングハブを購入する要がなかったと認められた。
(ウ) ルータについては、標準実施方法に基づき、スイッチングハブの設置の際に併せて設置しており、(イ)のとおり、スイッチングハブを過大に購入して増設しているものがあったため、これに併せて増設したルータについても新たに購入する要がなかったと認められるものがあった。
本件については、次のような方法によりMCIIのスロットを効率的に利用するなどして設備構築が経済的になるようにすれば、東京支店ほか10支店(注2)
で14年度に購入したMCII83台、スイッチングハブ11台及びルータ11台は購入の要がなく、合計約5240万円節減できたと認められた。
(ア) MCIIについては、1台目の1番目から6番目までのスロットの使用をビジネスタイプのみに限定せず、ベーシックタイプ及びニューファミリータイプでも使用できるものとする。
(イ) スイッチングハブ及びルータについては、設備構築部門が社内システムのデータを利用できるようにして、利用者の加入状況やスイッチングハブの接続端子の使用状況等を適時適切に把握し、これを基に設備計画を策定する。
このような事態が生じていたのは、次のようなことによると認められた。
(ア) 本社において、MCIIのビジネスタイプ用のスロットが使用されていない設備センタビルがあるにもかかわらず、これを他のサービスタイプで利用させていなかったこと
(イ) 本社において、各支店の設備構築部門がスイッチングハブの接続端子の使用状況等を適時適切に把握し、設備計画の策定に利用できるような体制を整備していなかったこと
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本では、本社において、販売状況に連動した設備の使用状況に関するデータを各支店において利用できるように情報提供を行うこととするとともに、15年10月に、各支店に対して次のような指示文書を発するなどして、Bフレッツのサービスを提供するための装置の購入費の節減を図る処置を講じた。
(ア) 設備センタビルに設置される1台目のMCIIの1番目から6番目までのスロットをビジネスタイプ用に限定していることを改め、べーシックタイプ及びニューファミリータイプにも使用できることとすること
(イ) スイッチングハブ及びルータの設置に当たっては、本社が提供する上記のデータを利用して設備センタビルごとのスイッチングハブの接続端子の使用状況等を適時適切に把握し、これを反映した経済的な設備計画の策定を行うこと
(注1) | 東京支店ほか16支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店 |
(注2) | 東京支店ほか10支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、長野、新潟、宮城、福島、北海道各支店 |