47の都道府県及び3千を超える市町村を中心とする地方公共団体においては、福祉、教育、社会資本整備を始め多岐にわたる行政サービスを提供しており、その活動は住民生活と切り離すことのできないものである。この地方公共団体の財政は、全体として近年悪化してきており、社会的にも様々な関心を呼んでいる。
これらの地方公共団体に対して、国は、国民の租税負担の公平化や一定の行政水準の維持等の観点から、毎年度多額の資金を移転している。
本院は、国の財政援助先についても検査しているが、特に地方公共団体については、財政援助の額が多額であること、財政援助を受けて実施する事業の内容が住民にとって身近な事項であることなどにかんがみ、重要な検査対象として位置付け、多角的な観点から検査してきた。地方公共団体に対する会計検査の状況を平成10年次から14年次までの5箇年次でみると、実地検査人日数については全体の20%強となっており、決算検査報告に掲記した指摘事項については、件数では全体の50%強、金額では年次により異なるが全体の15%から35%となっている。また、平成10年度決算検査報告及び平成13年度決算検査報告では、国から地方公共団体に対する財政資金の流れにとって重要な交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)の状況について、決算分析の一環として掲記している。
さらに、昨今、国の財政及び地方の財政が厳しくなってきている中で、「国と地方」の改革についての様々な議論がなされており、これに対応して、地方公共団体に対する財政資金の流れについて国民の関心も高まってきている。