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  • 平成14年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 2 国が資本金の2分の1以上を出資している法人の決算|
  • [2]公団、事業団等の決算|
  • (その他)

預金保険機構


(12)預金保険機構

 この機構は、預金者等の保護を図るため、次のような業務を行うことなどにより、もって信用秩序の維持に資することを目的として設置されているものである。

(ア)金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払等を行うとともに、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助等を行う業務、金融整理管財人の業務、及び金融整理管財人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行の設立、当該設立された銀行の経営管理等を行う業務

(イ)金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等を行う業務

(ウ)住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社を設立し、当該設立された会社に対して資金援助等を行う業務

(エ)金融機関等の資産の買取り等を行う業務

(オ)金融機関等が発行する株式等の引受け等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務

 その資本金は14事業年度末現在で54億5500万円(うち国の出資51億5000万円)となっている。
 同機構の会計は、一般、危機対応、特例業務、特定住宅金融専門会社債権債務処理、金融再生及び金融機能早期健全化の6勘定に区分して経理することとされており、その勘定別の14事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
 なお、金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等に関する経理を行う危機対応勘定については、14事業年度において同勘定により経理される業務の実績はないことから、収入支出決算は行われていない。

(一般勘定)

 この勘定は、ペイオフコスト(金融機関が破綻した場合、預金者一人当たりの保険金の支払限度額は1000万円とされ、これを基に計算した保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用)以内の資金援助等の実施に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入決定済額 5,597,319,868 4,410,637,823
(支出)    
 支出予算現額 7,881,740,651 5,147,716,983
 支出決定済額 5,654,155,729 4,350,691,782
 不用額 2,227,584,922 797,025,200

 不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額5兆5739億5000万円)の1兆3089億5000万円、他勘定繰入(同2兆2000億円)の8911億9060万余円、及び事業外費用(借入金の利息。同287億7094万余円)の254億3515万余円である。

2 損益

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
 経常収益 523,719,846 294,056,707
 (うち保険料収入) (509,944,606) (292,049,820)
 経常費用 1,389,160,346 884,641,926
 (うち他勘定へ繰入) (1,308,809,393) (843,471,253)
 特別損失 71
 当期損失金 865,440,500 590,585,290
(損失金の処理)    
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 865,440,500 590,585,290
(繰越欠損金 3,055,395,961 2,464,810,670)

3 借入金

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
借入金残高 3,926,400,000 3,117,800,000
(市中金融機関)    

4 主な業務実績

区分   14事業年度 (13事業年度)
資金援助(金銭の贈与)の実施 件数 11件 5件
金額 71,675,007千円 31,947,565千円

(特例業務勘定)

 この勘定は、ペイオフコストを超える特別資金援助等の実施に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入決定済額 10,210,574,130 8,339,486,236
(支出)    
 支出予算現額 16,011,201,630 23,196,317,340
 支出決定済額 9,679,069,279 8,280,887,956
 不用額 6,332,132,350 14,915,429,383

 不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額5兆2320億円)の2兆2377億円、借入返済金(同6兆2153億円)の2兆1109億円及び資金援助事業費(同4兆3578億3900万円)の1兆9625億2298万余円である。

2 損益

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
 経常収益 3,287,164,178 1,837,623,857
 (うち特例業務基金受入) (1,589,874,903) (667,547,387)
 (うち一般勘定より受入) (1,308,809,393) (843,471,253)
 経常費用 2,629,996,763 1,899,699,498
 (うち資金援助事業費) (2,396,043,704) (1,782,727,271)
 特別損失 5,276
 当期利益金(△当期損失金) 657,167,414 △62,080,916
(利益金又は損失金の処理)    
 繰越欠損金の補てんに充当 657,167,414
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 62,080,916
(繰越欠損金 742,835,366 680,754,449)

3 借入金

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
借入金残高 3,087,300,000 3,371,100,000
(市中金融機関)    

4 特例業務基金国庫債券

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
特例業務基金国庫債券償還累計額 10,432,643,207 9,054,844,499
同未償還額 2,567,356,793 3,945,155,501

 特例業務基金国庫債券については、国から預金保険機構に対し9事業年度に7兆円が、さらに12事業年度に6兆円が交付された。
 なお、特例業務勘定については、預金保険法附則第21条の規定により、14年度末をもって廃止され、廃止の際に同勘定に属する資産及び負債を一般勘定に帰属させた。また、同勘定の廃止に伴い未償還国庫債券については、同法附則第20条の2の規定により国に返還された。

5 主な業務実績

区分   14事業年度 (13事業年度)
特別資金援助の実施 金額 3,108,124,955千円 2,119,546,674千円
(うち金銭の贈与) 件数 40件 32件
  金額 (2,313,255,462千円) (1,713,152,665千円)
(うち協定銀行へ資産の買取りの委託)(注1) 件数 51件 37件
  金額 (794,869,493千円) (406,394,009千円)
破綻した金融機関からの買取資産(貸付金)の回収(注2) 金額 10,121,530千円 13,237,705千円
事業年度末買取資産残高 金額 84,011,655千円 94,133,185千円
 上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権    
   破綻先債権   14,684,086千円 14,981,872千円
   延滞債権   42,862,728千円 50,039,747千円
   3カ月以上延滞債権   2,091,726千円 2,464,108千円
   貸出条件緩和債権   481,562千円 517,454千円
  60,120,104千円 68,003,183千円
貸倒引当金(注)   49,517,159千円 46,384,356千円
 貸倒引当金に計上する金額は、破綻先、実質破綻先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除した額とされている。また、破綻懸念先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除し、その残額のうち債務者の支払能力を総合的に判断して必要と認める額とされている。上記以外の債務者に係る債権については、過去の一定期間における貸倒実績に基づき算出した貸倒実績率を債権額に乗じた額とされている。
(注1)  ペイオフコスト以内の資金援助(資産の買取りの委託)11件67,072,998千円を含む。
(注2)  10年2月の預金保険法の改正が行われる前までは、預金保険機構が株式会社整理回収銀行に対して破綻した金融機関の資産の買取りを委託できるのは、信用組合に限られていたため、同機構は10年1月に破綻した株式会社阪和銀行の貸付金等資産2082億余円を直接買い取っている。

(特定住宅金融専門会社債権債務処理勘定)

 この勘定は、旧住宅金融専門会社から譲り受けた貸付債権等の財産の管理、回収及び処分等を行う債権処理会社への助成金の交付、借入れに係る債務の保証、納付金の収納等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入決定済額 13,805,878 11,868,497
(支出)    
 支出予算現額 14,001,271 13,036,779
 支出決定済額 13,774,918 11,823,327
 不用額 226,353 1,213,452

2 損益

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
 経常収益 26,398,723 22,635,556
 (うち資産運用収入) (12,614,981) (10,788,638)
 (うち金融安定化拠出基金戻入) (12,577,560) (10,728,772)
 経常費用 52,886,218 62,011,093
 (うち債権処理会社助成事業費) (39,065,055) (50,116,084)
 当期損失金 26,487,494 39,375,536
(損失金の処理)    
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 26,487,494 39,375,536
(繰越欠損金 95,882,285 56,506,748)

3 金融安定化拠出基金

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
金融安定化拠出基金残高 908,792,532 908,755,111

4 主な業務実績

区分   14事業年度 (13事業年度)
債権処理会社への業務推進助成金の交付 金額 12,577,560千円 10,728,772千円
債権処理会社からの納付金の収納 金額 149,167千円 77,180千円

(金融再生勘定)

 この勘定は、一般金融機関からの資産の買取り等を行う特定協定銀行に対する貸付け等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入決定済額 8,354,849,113 7,045,665,417
(支出)    
 支出予算現額 15,452,712,198 11,804,162,488
 支出決定済額 7,718,336,201 7,026,860,139
 不用額 7,734,375,996 4,777,302,348

 不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額9兆2550億5000万円)の3兆6993億5000万円、特定協定銀行貸付金(同2兆7244億円)の2兆5007億円及び協定銀行貸付金(同2兆8602億円)の1兆3807億円である。

2 損益

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
 経常収益 237,102,551 138,481,051
 (うち資産買取事業収入) (38,272,202) (52,032,771)
 経常費用 475,569,053 269,620,589
 (うち資産買取事業費) (62,852,950) (90,739,411)
 当期損失金 238,466,501 131,139,537
(損失金の処理)    
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 238,466,501 131,139,537
(繰越欠損金 769,876,619 638,737,082)

3 借入金

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
借入金残高 5,655,800,000 5,265,600,000
(市中金融機関)    

4 主な業務実績

区分   14事業年度 (13事業年度)
特定協定銀行への一般金融機関からの資産の買取りの委託 金融機関数 110金融機関 87金融機関
金額 205,697,889千円 20,570,824千円

(金融機能早期健全化勘定)

 この勘定は、金融機関等の株式等の引受け等(資本増強)を行う協定銀行に対する資金の貸付け等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
(収入)    
 収入決定済額 10,995,662,486 14,240,298,671
(支出)    
 支出予算現額 14,035,589,541 24,113,637,306
 支出決定済額 10,995,803,985 14,240,532,379
 不用額 3,039,785,558 9,873,104,926

 不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額7兆1259億円)の1兆5741億8990万円、借入返済金(同6兆8338億円)の1兆4217億円及び事業外費用(債券の利息等。同755億2392万余円)の437億0459万余円である。

2 損益

区分 14事業年度 (13事業年度)
  千円 千円
 経常収益 50,028,886 100,511,215
 (うち協定銀行貸付金利息収入) (31,390,550) (36,038,160)
 (うち協定銀行納付金収入) (18,638,263) (64,470,198)
 経常費用 30,912,052 36,461,454
 (うち事業外費用) (30,017,329) (36,301,821)
 当期利益金 19,836,834 64,049,761
(利益金の処理)    
 翌事業年度に積立金として整理 19,836,834 64,049,761
(積立金 88,355,568 24,305,807)

3 借入金等

区分 14事業年度末 (13事業年度末)
  千円 千円
借入金残高 2,084,100,000 4,623,900,000
(市中金融機関)    
預金保険機構債券発行残高 6,120,000,000 3,600,000,000

 なお、この機構について検査した結果、「第4章 特定検査対象に関する検査状況」に「特定住宅金融専門会社に係る譲受債権等の回収業務の実施状況について」 を掲記した。