会計名及び科目 | 郵政省所管 一般会計 (組織)郵政本省 | (項)郵政本省 |
総務省所管 一般会計 (組織)総務本省 | (項)情報通信格差是正事業費 | |
財務省所管 産業投資特別会計(社会資本整備勘定) | ||
(項)改革推進公共投資情報通信格差是正事業資金貸付金 |
部局等の名称 | 総務本省(平成13年1月5日以前は郵政本省) |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 (事業主体) |
市1、町1、連携主体1、計3事業主体 |
補助事業 | 電気通信格差是正 地域インターネット導入促進基盤整備 情報通信格差是正 広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備 地域イントラネット基盤施設整備 |
補助事業の概要 | 地域における高度情報化社会の均衡ある発展を図るため、高度情報通信ネットワーク等先導的な情報通信基盤の施設等を設置するもの |
事業費の合計 | 845,117,910円 | (平成12年度〜14年度) |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 336,200,000円 | |
不当と認める事業費 | 38,338,636円 | (平成12年度〜14年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 16,952,000円 |
1 補助金の概要
総務省(平成13年1月5日以前は郵政省)では、地域における情報基盤を整備し高度情報化社会の均衡ある発展を図るため、電気通信格差是正事業等の一環として、次のような広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備事業等を行う市町村等に対し、その事業に要する経費の一部として電気通信格差是正事業費補助金等を交付し又は無利子貸付金(注) を貸し付けている。
(1)広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備事業
広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備事業は、複数の市町村にまたがる区域において、都道府県又は市町村で構成される事業主体(以下「連携主体」という。)が、広域的情報通信ネットワークの基盤となる施設及び設備を設置するものであり、その補助対象事業費は、当該事業に必要な伝送施設、送受信装置等の設備の設置に要する経費とされている。そして、補助金の交付については、当該事業を市町村の連携主体が行う場合は補助対象事業費の2分の1に相当する額を当該連携主体に交付することとなっている。
(2)地域イントラネット基盤施設整備事業
地域イントラネット基盤施設整備事業は、都道府県、市町村等が地域におけるLAN(地域イントラネット)等の施設及び設備を設置するものであり、その補助対象事業費は、当該事業に必要なセンター施設、伝送施設、送受信装置等の設備の設置に要する経費等とされている。そして、補助金の交付については、当該事業を市町村が行う場合は補助対象事業費の3分の1に相当する額を当該市町村に交付することとなっている。
(3)地域インターネット導入促進基盤整備事業
地域インターネット導入促進基盤整備事業は、65歳以上の人口比率が高いなどの条件に該当する市町村が、各種行政分野においてインターネットを活用して地域住民に双方向の行政サービスを提供する施設及び設備を設置するものであり、その補助対象事業費は、当該事業に必要な伝送施設、送受信装置等の設備の設置に要する経費とされている。そして、補助金の交付については、補助対象事業費の3分の1に相当する額を当該市町村に交付することとなっている。
そして、事業主体は事業完了後に実績報告書を総務省に提出し、同省はその内容の審査を行うとともに必要に応じて現地調査等を行うこととなっている。
2 検査の結果
福島県ほか11都県において、県、市町村、連携主体等の計194事業主体について検査した結果、3事業主体が実施した3件の補助事業(補助対象事業費計845,117,910円)において、事業主体が、補助対象事業費に補助の対象とはならない設備の購入費等を含めていたり、光ファイバケーブル(以下「光ケーブル」という。)の材料費等の負担額を適切に算定していなかったりなどしていた。このため、補助対象事業費38,338,636円が過大になっていて、これに係る国庫補助金相当額16,952,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、総務省において事業主体から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
これを事業主体の所在する県別に示すと次のとおりである。
県名 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(2) | 福島県 | 連携主体(南会津郡舘岩村、伊南村) | 広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備 | 13、14 | 326,970 (326,970) |
163,485 | 25,037 | 12,519 | 補助の対象外 |
この補助事業は、南会津郡舘岩村及び伊南村において、両村の公民館をそれぞれ舘岩村情報センタ、伊南村情報サブセンタとして整備するとともに、小中学校、診療所等19箇所の公共施設に情報端末等の機器を設置し、これらの公共施設を舘岩村情報センタを起点にして光ケーブル(延長53.3km)で接続するネットワークを整備することとしたものである。事業主体は、本件事業費を326,970,000円(補助対象事業費同額)とし、国庫補助金163,485,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体では、当初計画を変更し、伊南村に所在する公共施設については伊南村情報サブセンタから接続することとして工事費を減額し、その分、幼稚園等の公共施設への光ケーブルの敷設費やパーソナルコンピュータの購入費等を追加していた。そして、この中に、本件事業に関係のない施設の空調設備費や補助の対象とはならないソフトウェアの購入費等25,037,823円を含めていた。
したがって、適正な補助対象事業費は301,932,177円となり、前記の補助対象事業費326,970,000円との差額25,037,823円に係る国庫補助金相当額12,519,000円が過大に交付されていた。
(3) | 新潟県 | 小千谷市 | 地域イントラネット基盤施設整備 | 14 | 486,429 (483,151) |
161,050 | 5,412 | 1,804 | 補助金の過大交付 |
この補助事業は、小千谷市において、小中学校、図書館等54箇所の公共施設に情報端末等を設置するとともに、これらの公共施設とセンター施設とを光ケーブル(延長80.4km)で接続するネットワークを整備したものである。事業主体は、本件事業のうち、光ケーブルの敷設についてはケーブルテレビ会社と共同で行うこととしていたが、その材料費の負担額は、単独で敷設するものと仮定した場合に使用する心数の光ケーブルの材料費としていた。そして、本件事業費を486,429,300円(補助対象事業費483,151,410円)とし、国庫補助金161,050,000円の交付を受けていた。
しかし、実際には、事業主体が使用する心数とケーブルテレビ会社が使用する心数を合わせた心数の光ケーブルが敷設されており、このような場合には、実際に敷設された光ケーブルの材料費を両者の使用する光ケーブルの心数の割合であん分して負担すべきであった。
したがって、適正な補助対象事業費は、過小に算定されていた労務費等を考慮するなどしても477,738,815円となり、前記の補助対象事業費483,151,410円との差額5,412,595円に係る国庫補助金相当額1,804,000円が過大に交付されていた。
(4) | 滋賀県 | 愛知郡愛東町 | 地域インターネット導入促進基盤整備 | 12 | 34,996 (34,996) |
11,665 | 7,888 | 2,629 | 事業の計画不適切 |
この補助事業は、愛知郡愛東町において、町庁舎内にサーバ等を設置するとともに、診療所等5箇所の公共施設及び自治会が管理する23箇所の集落センター等にノート型パーソナルコンピュータ(以下「ノートパソコン」という。)等を情報端末として設置し、これらの施設をインターネット等を介して接続するネットワークを整備することとしたものである。事業主体は、本件事業費を34,996,500円(補助対象事業費同額)とし、国庫補助金11,665,000円の交付を受けていた。
しかし、ノートパソコン等を設置した上記施設のうち23箇所の集落センター等は通常は施錠されている施設であり、地域住民が自由に出入りできる環境にないことから、これらの施設にインターネットの情報端末を設置することとした計画は適切ではなかった。さらに、事業主体では、インターネットへの接続費用を負担しないこととしていて、その接続計画も曖昧なままであったため、集落センター等に設置したノートパソコンはインターネットに接続されていない状況であった。
したがって、集落センター等に設置したノートパソコン等(購入費相当額7,888,218円)は、計画が適切でなかったため情報端末として機能しておらず、これに係る国庫補助金相当額2,629,000円が不当と認められる。
(2)−(4)の計 | 848,395 (845,117) |
336,200 | 38,338 | 16,952 |