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  • 平成15年度|
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雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの


(18)雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費
部局等の名称 厚生労働本省(平成15年度以降の支給庁)
  北海道労働局ほか22労働局(平成14年度以前の支給庁)
  札幌公共職業安定所ほか149公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 431人
失業等給付金の支給額の合計 求職者給付  311,563,702円 (平成13年度〜16年度)
就職促進給付 7,651,556円 (平成14年度〜16年度)
319,215,258円  
不適正支給額 求職者給付 120,849,699円 (平成13年度〜16年度)
就職促進給付 7,651,556円 (平成14年度〜16年度)
128,501,255円  

1 保険給付の概要

(雇用保険)

 雇用保険は、常時雇用される労働者等を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合などに、その生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。

(失業等給付金の種類)

 失業等給付金には、次の求職者給付及び就職促進給付のほか、教育訓練給付及び雇用継続給付の4種がある。
ア 求職者給付には7種の手当等があり、このうち、
〔1〕 基本手当は、失業等給付金の支給額の大半を占めかつ失業者の生活の安定を図る上で基本的な役割を担うもので、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給される。
〔2〕 高年齢求職者給付金は、被保険者であって65歳前から引き続き65歳以降も同一の事業主に雇用されている者が失業した場合に支給される。
〔3〕 特例一時金は、被保険者であって季節的に雇用される者等が失業した場合に支給される。
イ 就職促進給付には5種の手当等があり、このうち再就職手当は、受給資格者が基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給される。

受給資格者 被保険者が、離職し労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にあり、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あることの要件を満たしていて、公共職業安定所において基本手当を受給する資格があると決定された者

(失業等給付金の支給)

 上記の手当等は、公共職業安定所が次のように支給を決定し、これに基づいて厚生労働本省(平成14年度以前は都道府県労働局)が支給することとなっている。
ア 基本手当、高年齢求職者給付金及び特例一時金については、受給資格者等から提出された失業認定申告書等に記載されている就職又は就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認の上、失業の認定を行って支給を決定する。
イ 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入年月日等について調査確認を行って支給を決定する。

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道労働局ほか24労働局の札幌公共職業安定所ほか251公共職業安定所管内において、12年度から16年度までに失業等給付金の支給を受けた者のうち11,737人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道労働局ほか22労働局の札幌公共職業安定所ほか149公共職業安定所管内において、13年度から16年度までに支給を受けた431人に対する失業等給付金(支給額319,215,258円)について、128,501,255円が適正に支給されていなかった。これを給付の種別に示すと次のとおりである。

ア 求職者給付

 札幌公共職業安定所ほか148公共職業安定所管内の428人に対する基本手当、高年齢求職者給付金及び特例一時金(支給額311,563,702円)について、120,849,699円(基本手当117,376,674円、高年齢求職者給付金811,075円、特例一時金2,661,950円)が適正に支給されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職していながらその事実を失業認定申告書等に記載していないなどのため、同申告書等の内容が事実と相違するなどしていたのに、上記の149公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによると認められる。

イ 就職促進給付

 稚内公共職業安定所ほか33公共職業安定所管内の39人に対する再就職手当について、支給額7,651,556円全額が適正に支給されていなかった。
 このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入年月日を記載するなどしていたのに、上記の34公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによると認められる。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県労働局ごとに示すと次のとおりである。

労働局名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業等給付金 左のうち不適正失業等給付金
    千円 千円
北海道 札幌ほか9 477 36 24,972 9,761
  稚内ほか1 25 2 334 334
  小計     25,306 10,095
青森 青森ほか6 417 18 8,524 1,730
  弘前ほか1 31 2 498 498
  小計     9,023 2,229
宮城 仙台ほか2 168 4 1,913 990
  古川 18 1 181 181
  小計     2,095 1,171
山形 山形ほか2 157 9 6,077 1,217
   
  小計     6,077 1,217
栃木 宇都宮ほか4 352 6 2,268 1,231
  鹿沼ほか2 54 3 1,260 1,260
  小計     3,528 2,492
群馬 前橋ほか4 258 14 9,644 1,956
  前橋ほか1 29 3 349 349
  小計     9,994 2,306
埼玉 川口ほか8 295 47 47,409 25,522
   
  小計     47,409 25,522
千葉 千葉ほか7 358 31 25,145 11,680
  千葉ほか2 19 4 618 618
  小計     25,764 12,299
東京 五反田ほか13 879 53 34,739 13,697
  足立ほか3 78 5 972 972
  小計     35,711 14,669
神奈川 横浜ほか7 344 24 23,628 13,306
  横浜 3 1 79 79
  小計     23,707 13,385
石川 金沢ほか1 120 4 1,849 950
  金沢 1 1 344 344
  小計     2,193 1,294
岐阜 大垣ほか6 232 11 9,893 2,179
  美濃加茂 6 1 179 179
  小計     10,073 2,359
愛知 名古屋南ほか8 430 20 13,751 4,461
  岡崎ほか2 24 3 837 837
  小計     14,589 5,298
京都 京都西陣ほか7 391 25 16,017 4,980
  京都西陣ほか3 34 5 905 905
  小計     16,922 5,885
大阪 大阪東ほか8 258 14 13,243 7,307
   
  小計     13,243 7,307
兵庫 神戸ほか6 327 23 20,747 5,512
   
  小計     20,747 5,512
島根 浜田ほか4 259 13 6,698 1,464
   
  小計     6,698 1,464
香川 高松ほか4 288 12 8,308 3,831
  坂出 39 2 222 222
  小計     8,530 4,054
高知 高知ほか3 279 15 9,108 2,711
  須崎 15 1 127 127
  小計     9,236 2,838
福岡 福岡中央ほか4 147 5 3,894 593
  福岡中央 2 1 358 358
  小計     4,253 952
長崎 長崎ほか6 429 17 10,055 3,218
  諫早 9 1 129 129
  小計     10,184 3,347
鹿児島 鹿屋ほか5 263 13 7,520 1,315
  国分 13 1 107 107
  小計     7,627 1,423
沖縄 沖縄ほか2 197 14 6,150 1,227
  沖縄ほか1 24 2 144 144
  小計     6,295 1,372
求職者給付計 149箇所 7,325 428 311,563 120,849
就職促進給付計 34箇所 424 39 7,651 7,651
合計       319,215 128,501
注(1) 上段は求職者給付に係る分、下段は就職促進給付に係る分である。
注(2) 公共職業安定所数及び不適正受給者数については、各給付間で重複しているものがあり、実数はそれぞれ150箇所、431人である。