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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金(22)−(132)

医療施設運営費等補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの


(23)医療施設運営費等補助金の経理において、補助対象事業費の精算が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生諸費
部局等の名称 静岡県
補助の根拠 予算補助
補助事業者 静岡県
間接補助事業者
(事業主体)
浜松市
補助事業 救命救急センター運営事業
補助事業の概要 地域住民の救急医療の確保を図るため、救命救急センターを運営するもの
上記に対する国庫補助金交付額 95,283,000円 (平成12、14両年度)
不当と認める国庫補助金交付額 7,761,000円 (平成12、14両年度)

1 補助金の概要

 医療施設運営費等補助金(救命救急センター運営事業分)は、地域住民の救急医療の確保を目的として、都道府県知事の要請を受けた病院の開設者が行う救命救急センターの運営事業に対して都道府県が補助する場合などに、その経費の一部を国が補助するものである。
 そして、その交付額は、所定の基準額、補助対象経費の実支出額(以下「実支出額」という。)及び総事業費から診療収入額及び寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)を比較して最も少ない額を選定し、これに3分の2を乗じて得た額と都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費とし、これに補助率2分の1を乗じて得た額となっている。
 そして、総事業費及び実支出額の対象となる経費は、運営に要した借入資金に係る借入利息、給与や退職金等の人件費、減価償却費等となっている。このうち、〔1〕借入利息については施設整備に係るものはその対象外とすること、〔2〕退職金については、救命救急センターの母体となる病院全体の退職金支出額に、救命救急センターの人員を病院全体の総人員で除して得た値を乗じた額とすること、〔3〕減価償却費については償却資産のうち国庫補助金の交付を受けて取得した資産はその補助金分を控除することとなっている。
 浜松市では、平成12、14両年度に実施した同市が運営する県西部浜松医療センターの運営事業について、基準額、実支出額及び差引額を比較して、いずれも基準額が最も少ない額であるとして、静岡県から補助金を受け、同県に実績報告書を提出していた。そして、同県では、基準額に3分の2を乗じるなどして補助対象事業費を12年度86,198,000円、14年度104,368,000円とし、県補助金に対する国庫補助金12年度43,099,000円、14年度52,184,000円、計95,283,000円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、同市では、12、14両年度において、総事業費及び実支出額を算出するに当たり、総事業費に施設整備に要した借入資金に係る借入利息を計上したり、総事業費及び実支出額に、退職時に救命救急センターに在籍していた職員に対して支払った退職金の額をそのまま計上したり、国庫補助金の交付を受けて整備した建物等の資産について国庫補助金相当分を控除せずに減価償却費を計上したりしていた。このため、両年度における総事業費及び実支出額がそれぞれ過大となっていた。
 したがって、適正な総事業費及び実支出額により計算すると差引額が最も少ない額となることから、これを基に補助対象事業費を算定すると、12年度76,877,000円、14年度98,168,000円となり、補助対象事業費が過大に精算されている。そして、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、12年度38,438,000円、14年度49,084,000円となり、交付額との差額、12年度4,661,000円、14年度3,100,000円、計7,761,000円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、同県において同市から提出された実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。