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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金(22)−(132)

保健事業費等負担金の経理において、健康診査の単価の適用を誤ったため負担金が過大に交付されているもの


(24)保健事業費等負担金の経理において、健康診査の単価の適用を誤ったため負担金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保険衛生諸費
部局等の名称 厚生労働本省(交付決定庁)
栃木県(支出庁)
国庫負担の根拠 老人保健法(昭和57年法律第80号)
補助事業者
(事業主体)
宇都宮市
国庫負担対象事業 保健事業(健康診査)
国庫負担対象事業の概要 壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図るため、住民に対し基本健康診査等の診査及び診査に基づく指導を行うもの
上記に対する国庫負担金交付額 211,834,243円 (平成13、14両年度)
不当と認める国庫負担金交付額 16,062,927円 (平成13、14両年度)

1 負担金の概要

 保健事業費等負担金(健康診査費分)(以下「負担金」という。)は、老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づき、壮年期からの健康についての認識と自覚の高揚を図ることを目的に、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、その区域内に居住地を有する40歳以上の者等に対し、基本健康診査や歯周疾患検診等の診査及び当該診査に基づく指導を行う健康診査の実施に要する経費の一部を、国が負担するものである。
 この負担金の交付額は、交付要綱に基づき、次のとおり算定することとなっている。
〔1〕 診査の種類ごとに定められている基準単価(基本健康診査については、更に集団検診、医療機関の一括方式又は個別方式などの実施方法ごとに定められている。)から、受診者等から徴収する費用の一部の額の基準として診査の種類ごとに定められている費用徴収基準額(基本健康診査については、更に実施方法ごとに定められている。)を控除した額に、それぞれの受診人員数を乗じて得た額の合計額を基準額とする。
〔2〕 〔1〕により算出された基準額、補助対象経費の実支出額及び総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)を比較して最も少ない額に3分の1を乗じて得た額を交付額とする。
 そして、基本健康診査の実施方法のうち、集団検診は、市町村が医師等を雇い上げたり、民間検診団体等に委託したりして、市町村保健センターや公民館等の施設で実施するものとされ、また、医療機関の一括方式は、病院や診療所等に委託して、それらの医療機関において、期日、時間を定めて、その間専ら診査を実施するものとされている。
 宇都宮市では、集団検診や医療機関の一括方式などの実施方法により、平成13年度38,941人、14年度41,728人に対して基本健康診査を実施したなどとして負担金の交付額を13年度100,016,436円、14年度111,817,807円と算定し、両年度計211,834,243円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、同市では、負担金の交付額の算定に当たって、宇都宮市保健センター(以下「保健センター」という。)を診査会場とし、民間検診団体に委託して実施した基本健康診査の受診人員13年度8,377人、14年度8,890人について、保健センターが医療法(昭和23年法律第205号)に基づく診療所として許可を受けていたことから、医療機関の一括方式の基準単価8,058円(13、14両年度同額)を適用して基準額を算出していた。そして、この基準額と補助対象経費の実支出額と差引額とを比較してこのうち最も少ない基準額により交付額を算定していた。
 しかし、基本健康診査は委託契約により民間検診団体が実施しており、保健センターの職員は基本健康診査には携わっていないことから、保健センターが医療機関として基本健康診査を実施しているとは認められず、実施方法は集団検診に該当すると認められる。
 したがって、負担金の交付額の算定を行うに当たっては、医療機関の一括方式の基準単価ではなく、集団検診の基準単価4,306円(13、14両年度同額)を適用すべきであり、これにより適正な負担金の交付額を算定すると、13年度92,234,235円、14年度103,537,081円となり、交付額との差額、13年度7,782,201円、14年度8,280,726円、計16,062,927円が過大に交付されていると認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において交付要綱を十分に理解していなかったこと、厚生労働省において実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。