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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 補助金(22)−(132)

医療施設等施設整備費補助金において、補助事業により取得した建物を無断で担保に供するなどしていたもの


(25)医療施設等施設整備費補助金において、補助事業により取得した建物を無断で担保に供するなどしていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生施設整備費
部局等の名称 福岡県
補助の根拠 予算補助
補助事業者 福岡県
間接補助事業者
(事業主体)
学校法人教育ビジネス学園
補助事業 理学療法士等養成所施設整備事業
補助事業の概要 医療従事者の養成力の充実を図るため、理学療法士等養成所の施設整備を行うもの
上記に対する国庫補助金交付額 139,675,000円 (平成13年度)
不当と認める国庫補助金交付額 139,675,000円 (平成13年度)

1 補助金の概要

 医療施設等施設整備費補助金(理学療法士等養成所施設整備事業分)は、医療従事者の養成力の充実などを図るため、市町村、学校法人等が理学療法士及び作業療法士法(昭和40年法律第137号。以下「法」という。)等に定める理学療法士等を養成する学校又は養成所の施設(以下「施設」という。)を整備する事業に対して都道府県が補助するなどの場合、その補助等に要する費用の一部を国が補助するもので、補助の対象となる施設は、法等の定める実習室等の設備を備えるなどの基準を満たす施設とされている。
 そして、この国庫補助事業により取得した不動産については、医療施設等施設整備費補助金交付要綱(平成13年厚生労働省発医政第555号。以下「交付要綱」という。)において、都道府県知事等の承認を受けないで、この補助金の交付の目的に反して使用したり、担保に供したりなどしてはならないとされている。
 学校法人教育ビジネス学園(以下「法人」という。)では、理学療法学科と作業療法学科の2学科を有する専門学校を新設するため、平成13年度に理学療法士等養成所施設整備事業として、法人所有の土地に校舎(鉄骨造り9階建て、延べ床面積3,252m )を事業費516,600,000円で建設している。そして、法人では、この事業に対して、福岡県から139,675,000円の補助金の交付を受け、同県では同額の国庫補助金の交付を受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、法人では、本件補助事業により取得した校舎を、14年4月に各種学校として開校する前の14年3月に、同県に無断で、金融機関に対し担保に供していた。そして、法人では、各種学校から、学校教育法(昭和22年法律第26号)に定める専修学校に変更するため、同県に私立専修学校設置の認可申請を行い、その際、認可の条件の一つである当該校舎等が担保に供されていないことの基準を満たすため、同年11月に金融機関に申入れを行い一時的に担保を解除した。その後、法人では、15年4月に専修学校の認可を受けたことから、同年8月に再度、同県に無断で上記の金融機関に対しこの校舎を担保に供していた。そして、16年5月の会計実地検査時においても、引き続き担保に供している状況であった。
 しかし、上記のように、本件補助事業により取得した校舎を同県に無断で、担保に供しているのは、補助金の交付条件に違背しており、本件補助事業に係る国庫補助金139,675,000円が不当と認められる。
 また、法人では、同県に14年4月、本件補助事業に係る実績報告書を提出した直後に、この校舎の改修工事を行い、法等により保有することが定められている作業療法実習室としてのレクレーション室を、同県に無断で補助金の交付の目的に反して役員室等に改修するなどしていた。
 このような事態が生じていたのは、法人において、本件補助金の交付条件に違背する行為を反復継続して行うなど著しく不誠実であったこと、同県において、法人から提出された本件補助事業に係る実績報告書の審査・確認が十分でなく、また、法人に対する指導監督が十分でなかったことによると認められる。